第49話 遭遇
「まだ気づいてないのか?」
俺は今、アナトレー大陸にあるグラムパスの洞穴の入り口に来ている。
どうやらトゥーエル王国が、俺達に賞金をかけたらしいのだ。
俺だけなら特に問題はなかったのだが、セバス達もとなると話は別だ。
セバスの話というのは、それに関しての話だった。
セバス達は未だ覚醒には至っていないらしい。
そんな状態で【覚醒者】に遭遇してみろ?
覚醒能力がなければ余裕で勝てるだろうが、覚醒能力次第ではかなり危険だ。
というのも、鍛えてもらう過程でレベルを上げたらしいのだ。
そして今では、【覚醒者】であるエルノさん達3人を同時に相手して、勝つらしい。
ただ、マリーだけはまだ勝つことはできないそうだ。
こんな言い方をするとマリーがダメみたいになるが、そうじゃない。
マリーが普通であって、他のメンツが異常すぎるのだろう。
その異常の筆頭が俺なんだけど……俺的にはいいことだからいいけど。
要は一緒に行動することになったのだ。
セバス達にはグラムパスの洞穴に向かうように言っておいたけど、早く合流するに越したことはないだろう。
俺はそう考えて、グラムパスの洞穴を出る。
ーーー
「こっちで合ってるな」
俺は左手の薬指につけられた指輪を見ながらそう言う。
ホントどこら辺に居るかわかるのは便利だな!
俺はそう考えなら歩いていたのだが、こちらに向かってくる気配を感じて立ち止まる。
「セバス達……ではないな」
セバス達はもっと強力な魔力だ。
それに近づいてくる気配は14。
明らかに数が多い。
「だけど問題ないだろう」
俺は特に気にしないことにしたのだが、少し歩いて感じていた気配が目視でききる距離までくると、俺は再び足を止めた。
「あれって……勇者じゃないか?」
俺と一緒に召喚された勇者だよな?
しかも担任の多数決に反対してた奴らなんじゃないか?
メーティス、こちらに向かってきている前の7人は、多数決に反対していた奴らか?
(はい、その通りです)
やっぱりそうか。
けど勇者であるはずの奴らが、どうしてディスペルタルに追いかけられてる?
これも俺が言える立場ではないが、あいつらは一体何をしたんだ?
まー何をしたか知らないが、俺に助ける義理はない。
無視でいいだろう。
そう思って無視しようとしたのだが、ディスペルタルの一人が俺に気付いていたらしく、ファイヤーボールを放ってきた。
俺は飛んでくるファイヤーボールに向かって、全く同じ威力のファイヤーボールをぶつけて相殺した。
「朝野! 頼む助けてくれ!!」
勇者7人の内の1人がそう言いながら、俺の後ろに隠れるように移動してきた。
残りの勇者達も同じように俺の後ろに来る。
俺は一言も助けるなんて言ってないぞ!
助けてもらえる前提で動くな!
ディスペルタルもだ!
こいつらを俺が助ける前提で包囲するな!
勇者7人と俺を包囲したディスペルタルは、即座に魔法の詠唱に入った。
それと同時に、俺の頭上に赤くて丸い球体が生成される。
俺はその球体を感心しながら見つめる。
赤くて丸い球体は、ディスペルタルの魔法詠唱の途中で……爆発した。
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