第4回
ウチは議論を行っているスタッフの輪には入らず停波放送の収録をするため中波放送の収録直後のブース内へと入った。
「流クン、今回もお疲れさま。メールが一通も無くて台本もほとんど白紙なのに一人でよく頑張っていたと思うよ」
「そんな、まだまだですよ。社長さんにも1人では未熟だと指摘されたので」
「流クンさっきそんな事言われていたからね」
「そう言えば、さっき……視聴者の方的には前回の停波放送で社長さんが言っていたアシスタントに加える予定の二人組を真矢さんはご存じらしいですが、どんな方たちか教えてもらえませんか?」
「今回の中波放送でアイドルをあまり知らないって言っていたから流クンは知らないと思うけど、その二人はテレビではあまり見ないけど音楽活動とラジオ番組をメインに活動しているアイドルなの。ウチも前に何度か構成作家として一緒にお仕事したことがある二人だから、もしアシスタントとして番組に参加してくれたら嬉しいかな」
ウチの話を聞いて流クンは不思議そうな顔をしていた。
「確かにラジオ経験のない私とデスティニーが右も左もわからずにラジオを続けていくよりはラジオ経験のある方と一緒にやる方が良いのはわかります。でも、どうしてアイドルの方なんでしょうか?」
「それはウチも気になったから聞いてみたんだけど、第2回の時に『番組のテーマ曲を作る』って話をしたのを覚えている?」
その時はラジオにメールが来るのは当たり前だと思っていたからウチもスタッフも歌詞を募集するという話になっていたけれどそれは恐らく不可能だろう。
「そのテーマ曲を歌う上でもアイドルが居れば良いと思っているらしくて」
「そちらもアシストしてもらえるなら嬉しいですね」
ウチたちがそんな話をしている間にブースの外で緊急会議をしていたスタッフの1人がブースの中のウチ達に一枚の紙を見せて来た。
「会議が終わったみたいですね」
「えっと、なになに? 『ゲストを作り出せ! と一問十答の継続決定!』だって」
「一問十答はまだしもゲストを作り出せ! はメールありきのコーナーだと思うのですが」
「その辺はウチが考えないといけないかな」
この2回の放送でウチはまともな構成を出来ていなかったのだからこれくらいの事は難なくこなせなくてはいけないだろう。
「コーナーの存続が決定したところで今回は締めましょうか。お相手は川野流と」
「次回はちゃんと台本を書きたいと思います。構成作家の真矢咲でした」
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