第17回




 5月2日、バイオプログラミングというユニットを結成してから初めての朝を迎えた川野流とデスティニー田中の2人はある人物に呼び出され某空港に来ていた。


川野流「Dはどうしてここに呼ばれたのか聞いている?」


デスティニー田中「いいや、全く」


流「ここで待っているようにと言われましたけど……」


田中「待ち合わせ場所は本当にここで合っているのか?」


 いつもの収録ブースとは異なりあまり来ることのない空港に戸惑い、挙動不審気味に辺りをうろうろと見渡している2人の前に2人を呼びだした人物がキャリーバッグをひいて現れた。


真矢咲「流クン、デスティニークン、お待たせ」


流「咲さん、おはようございます」


田中「おはようございます」


咲「うん、おはよう。早速だけど、今から飛行機に乗るから搭乗手続き済ませに行くよ」


バイオプログラミング「えっ?」


咲「言っていなかったけど、これから北海道までお花見に行きます」


田中「花見?」


流「北海道はちょうど今が見頃ですけど、急ですね」


咲「昨日の会議でこの間はスプリングスの2人で中波放送をやったから今回は2人の番って事で、サプライズ屋外録音をする事になったからよろしく」


田中「昨日の今日って」


咲「2人が今日は予定無いのは事務所に確認済みだからね」


流「事務所に所属させて頂いたのも昨日の出来事なのですが」


咲「それについては事前にスプリングスせんぱいが教えてくれたから」


流「そうでしたか。それで、僕たちはこれから北海道に向かう訳ですね?」


田中「俺たちは最低限の荷物しか持って来ていないのだが」


咲「それだけあれば大丈夫。さぁ、時間もないからさっさと手続きを済ませちゃうよ」


 バイオプログラミングの2人と咲そして、川野流の中波放送スタッフ2名は搭乗手続きを済ませ、午前中の内に北海道へと飛び立った。




春夏秋冬 歩んできた

はじめは1人で

1人が2人になり

2人から3人へ

そして4人へ


これからも続いていく この挑戦

春夏秋冬 歩んでいく




流「という事で、僕たちが北海道に来るまでの話を聞いていただきました。そして、ここからは北海道からお送りしたいと思います」


田中「空港に着いてからここまで寝ていたからわからないのだが、ここは北海道の何処だ?」


流「大人の都合で市町村名までは明かせませんが、空港から車で1時間半の範囲にある咲さんの家の別荘らしいです」


田中「構成作家ってそんなに儲かる仕事なのか?」


流「そう言うことでは無くて、単純に家がお金持ちだから、だそうです」


田中「嫌味な言い方だな」


流「ただの一般人なのに飛行機ではプレミアムクラス、空港までリムジンがお迎えに来てくれていたのにお金持ちではないという方が嫌味ですよ」


田中「確かにそうだよな」


流「リスナーにここまで伝えたうえで言うけど、Dはよくリムジンで眠れたよね」


田中「流だけならまだしも、一緒に来ているラジオのスタッフまで初めて乗るリムジンに緊張して何も話せなくなっていたから退屈でな」


流「道中は会話が無くて退屈だったのは僕も同意しますが、流石にリムジンでは眠れませんよ」


田中「普通に眠れると思うけどな」


流「どんなに眠たかったとしてもリムジンで寝るなんてことは出来ないですよ。慣れてきたら別ですけど」


田中「今の話で気になったことがあるのだが聞いても良いか?」


流「何ですか?」


田中「流は他人の運転は平気なタイプか?」


流「色々な人の車に乗せてもらう事がありますけど、余程手荒な運転ではない限り誰の運転でも平気ですね。Dはどうですか?」


田中「俺は自分か親の運転以外は無理だな。バスとか今日のリムジンは別だけどな」


流「結局人によりますよね。僕もあまり仲が良くない人の車は怖いので乗りたくないですし」


田中「結局はな」


流「折角屋外での収録なので周りの風景についてお話ししましょうか」


田中「あまりにこの風景にそぐわない会話を長々としていたから『風景について語れ』なんてカンペが出されても仕方は無いな」


流「先ほどもお伝えした通り、僕たちはこの番組の構成作家である咲さんの別荘の一角を使わせて頂いて屋外録音をしているのですが、見渡す限り桜の木が生えていて僕らだけがこの風景を楽しむのは勿体ないような気がしますね」


田中「その分俺たちがこの風景を覚えていけばいいんだろ?」


流「Dはてっきり花より団子だと思っていたのですが」


田中「俺だって花を愛でるときくらいあるさ。目の前に醤油ラーメンがあるならそっちを選ぶけどな」


流「Dが花を愛でる姿が全く想像つきませんね」


田中「そうは言っても花見で花だけしか見ていない奴はいないだろうから、結局は花を愛でるより団子に集中してしまうけどな」


流「確かにその通りですね」


田中「それで、折角のこの風景を見ながら俺たちは何をすればいいんだ?」


流「フリートークをして欲しいとのことなので僕たちの近況でも話しましょうか」


田中「俺たちの近況って言うとバイプロのことか?」


流「詳しい話はこの後収録する前回の中波放送でお話ししていると思うので軽くだけ触れましょうか」


田中「そうだな。まずは何から話す?」


流「事務所に入った経緯とかじゃないですか?」


田中「事務所に入った経緯か。確か15回の収録をした翌々日くらいだよな?」


流「これではリスナーの皆さんに伝わらないと思うので僕の方から補足させて頂くと、第15回の収録で僕がスカウトお待ちしていますと言ったのですが、その収録を聞いていた水守プロダクションのプロデューサーさんから僕たち2人に連絡がありまして5月1日付で水守プロダクションに所属させていただくことになりました」


田中「バイプロってユニット名はスカウトされた日に決まったんだよな」


流「Dはバイオプログラミングをバイプロと略して言っていますが、リスナーの皆さんやこれからバイオプログラミングのファンになって頂ける方にもそう呼んで頂きたいですね」


田中「バイプロのファンだからバイオプログラマーって呼び名にするか」


流「その呼び名が定着するかどうかは別として、呼び名自体は悪くは無いですね」


田中「だろ?」


流「折角ですからこの場を借りてお願いしておきましょうか?」


田中「そうだな。これから俺たちのファンになってくれる人、この時点でファンになってくれた人たちは今日からバイオプログラマーと名乗ってくれ」


流「よろしくお願いします」




バイプロ「川野流の中波放送」




さぁ、決めようか 最強のラーメン

賽は投げられた 激アツに大ゲキトツ



塩 塩

醬油


醤油 醤油



塩 塩

醬油


激アツに


醤油 醤油


大ゲキトツ


この勝負

この勝負


引き分け!




流「さて、サプライズの屋外録音回でしたがどうでしたか?」


田中「ほとんど話題に出さなかったが、凄く綺麗な桜だった。今度はスプリングスの2人も一緒に来たいな」


流「後で写真を撮って送りましょうか」


田中「咲さん以外は男しかいないこの空間をか?」


流「面白いじゃないですか」


田中「確かに面白いな」


流「次回は7月末に更新予定ですね」


田中「という事は今回の放送は6月末の更新なのか。季節外れにも程があるな」


流「時間にルーズなこの番組っぽさはありますけどね」


田中「もうすぐ20回になるんだからしっかりしてくれ」


流「普段はサボりたがりのDに言われたくないと思いますけど」


田中「俺はやる時にはやるから」


流「本当ですかね? という事でお相手はバイオプログラミングの川野流と」


田中「やる気スイッチは終わってからONになる。バイプロのDでした」


バイプロ「ばっ波~」


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