第15回

川野流「『新年度から新たに始めたい事』この仕事を始めてから芸能界に関わることが多くなったのでラジオ以外のお仕事もしてみたいです。『川野流の中波放送』今夜も放送スタート」



流「川野流の中波放送 この番組は黒さならどこにも負けないラーメン屋『黒一点』と水守プロダクション、和水プロダクションの提供でお送りいたします」




春夏秋冬 歩んできた

はじめは1人で

1人が2人になり

2人から3人へ

そして4人へ


これからも続いていく この挑戦

春夏秋冬 歩んでいく




川野流「こんばん波~ 前回の公開録音をこっそり見に行っていた川野流です」


デスティニー田中「こんばん波~ クラスメイトに『今日の公開録音見に行ったよ』とメールが来て初めてその日が公開録音の日だと知ったデスティニー田中です」


桜木美春「私が真顔で美沙が笑顔で映っていた公開録音終了後のツーショット写真を美沙がブログに上げると数時間後にネットニュースで『桜木美沙、相方と喧嘩か?』という見出しで生地にされていたけれど、それに対する一般の人のコメントが『いつも通り』で私たちの事をよく知ってくれていると思って少し嬉しかったスプリングスの桜木美春です」


桜野美沙「最近、街中で『スプリングキャンペーン』って書かれた張り紙やのぼりを見かけるたびに『スプリングスキャンペーン』と見間違えているスプリングスの桜野美沙です」


流「僕とDは公開録音には出演していないので収録の雰囲気は久しぶりですね」


美春「流くんは公開録音の時は視聴者側に居たからわからないと思うけれど、公開録音の時は出演者側もいつもとは違う雰囲気での収録だからこの雰囲気は流くんやデスティニーくんと同じように久しぶりなのよ」


田中「美春さんと美沙さんは前回や自身のラジオで公開録音や公開生放送をしていますけど、普段の収録と公開録音とかってどっちが好きですか?」


美沙「わたしは公開録音とか公開生放送のリスナーの皆に見てもらいながらラジオをする独特の雰囲気が好きだな」


流「やっぱりアイドルという事もあって人前でのお仕事が好きなんですね」


田中「同じアイドルでも美春さんは違うと思うぞ」


美春「そのとおりね。私は公開録音よりも普段の収録の方が本当にカットして欲しいところはカットしてもらえるから気楽に出来るから好きよ」


田中「その割にカットしてくれって収録中に言っている所は頑なにカットしないよな、この番組」


美沙「その事についてのメールが届いているから読ませてもらうね」


流「この番組にメールが届くなんて珍しいですね」


美春「前回の公開録音を見に来たリスナーからメールがたくさん届いているらしいわよ」


美沙「それじゃあ、早速届いたメールを読むね。ラジオネーム『焼きラーメンさん』から『流さん、デスティニー田中さん、スプリングスのお2人こんばん波~ 僕は公開録音でたまたまこの番組を知って、家に帰ってから第1回から第13回までの放送を見てこれからもこの番組を視聴していこうと思いました。そこで1つ気になったことがあるのですが、皆さんは「カットして」と言ってもカットしてもらえないなど意地悪をされていますが収録外でもこのような意地悪をされているのでしょうか?』とのことです」


流「公開録音からリスナーになってくれた方なんですね」


美春「質問に対する回答だけれど、スタッフの意地悪は番組内だけよね?」


田中「意地悪というよりはただの戯れだし、収録外では全員で飯を食べに行っているからな」


美沙「よく美春ちゃんがケンカしているけど、喧嘩するほど仲が良いって言うからね」


流「はっきり言えるのはこの番組はスタッフに対する愚痴をスタッフの前で漏らす事もありますし、スタッフから意地悪をされることもありますが、仲良く収録をしています」


美春「メールに対する回答が終わったところで、スタッフからあるテーマについて話して欲しいとのことだから、台本の1ページを開いて」


流「ここからの進行は僕が行います。さて、スタッフからのトークテーマですが僕が冒頭に宣言したのと同じく『新年度から新たに始めたい事』です。まずはDからお願いします」


田中「俺からか? そうだな、前から何度も夢に見てはいるが未だに実現できていない1週間3食ラーメン生活がしてみたいな」


美沙「それ絶対に身体に悪いよ」


美春「最近はヘルシーなラーメンがあるみたいだけれど、デスティニーくんは醤油ラーメン以外食べないものね」


田中「そう言われるのはわかっているんだけどな」


流「Dは仲良くなった頃からいつかやるって言っていますよね」


田中「最近はこの番組に出ることで今までより懐が温かくなっているから現実的に不可能な夢ではないからな」


美春「健康面に気を使って3日間くらいならギリギリ大丈夫じゃないかしら? 健康に詳しくはないから断定はできないけれど」


美沙「わたしもそう思うな」


田中「2人にそう言われたら仕方ないですね。最初は3日間くらいから始めるかな」


流「次は美沙さんの『新年度から新たに始めたい事』を聞かせてください」


美沙「わたしは……美春ちゃんには少し申し訳ないけど、ソロのお仕事がやってみたいな」


美春「そう、良いと思うわよ」


流「美春さん、随分と歯切れの悪い返事ですね。そして、Dは何とも言えない顔をしてどうしました?」


田中「いや、美沙さんは美春さんが」


美春「ちょっと待って」


田中「ソロで番組をやっていることを知らないのかなって思ったから」


美春「デスティニーくん、何で知っているのよ」


美沙「え? 今、言っていた事は本当なの?」


美春「……本当よ」


田中「本当にすいません。知っていてボケているものだと思ったので」


美春「デスティニーくんは悪くないわ。悪いのは美沙に言わなかった私だもの」


流「なんだか不穏な雰囲気ですけど、放送は続けて良いんですか? 水守プロダクションのマネージャーさんは大丈夫と言っていますが」


美春「私もリスナーの皆さんを不快な気分にさせてしまうかもしれないけれど、このまま放送してもらってくれて構わないと思っているわ。ただ、少しの間だけ私と美沙だけで話をさせてもらえないかしら? もちろん、今から話す部分も可能な限り放送してくれて構わないから。美沙もそれで良いわよね?」


美沙「いいよ」


流「では、僕とDはここで一度席を外させてもらいます」



流「川野流の中波放送」



美春「……」


美沙「……」


美春「秘密にしていたことは謝るわ。いえ、謝らせてください」


美沙「美春ちゃん、怒っていないからいつもの喋り方で話して。なんか、こそばゆいから」


美春「そう? それなら、そうさせてもらうわ」


美沙「いつからなの?」


美春「今年の1月からよ」


美沙「なんで隠していたの?」


美春「12月の初めにオファーを貰って、マネージャーに相談したらいい機会だからやってみればいいって言われてやることにしたのだけど、今までは美沙と一緒に活動してきたから突然ソロで活動をする事に美沙が反対してきたら嫌だし、ネット番組だから美沙はきっと見ないと思って秘密にしていたの」


美沙「そうだったんだね」


美春「こんなことになるくらいなら最初から美沙に言っておくべきだったわね。今になって考えてみれば美沙が私のソロでの仕事に反対するはずが無いものね」


美沙「当たり前だよ。わたしたちは同じユニットの仲間だから困っていたら支えてあげる。だから美春ちゃんも」


美春「ええ、私も美沙を支えさせてもらうわ」


美沙「流くん、田中くん、もう戻ってきていいよ」



スプリングス「川野流の中波放送」



流「さて、Dと美沙さんの『新年度から新たに始めたい事』は聞かせてもらいましたので最後は美春さんお願いします」


田中「よくあの空気感の中で気持ちを切り替えられたな」


流「話題が切り替わるので気持ちも切り替えないとこれから話してくれる美春さんに悪いじゃないですか」


美春「私がこの空気を作り出した張本人なのだけどね」


美沙「美春ちゃん、折角流くんが暗い雰囲気を切り替えてくれたのにそういう事言わないの」


美春「ごめんなさいね。それで、私の『新年度から新たに始めたい事』を話せば良いのよね?」


田中「無いなんて答えは禁止で」


美春「仕方ないわね。私の『新年度から新たに始めたい事』は眼鏡を集めることかしらね」


田中「美春さんって、視力悪くないですよね?」


美春「むしろ良い方だから生まれてから今日に至るまで眼鏡とはほとんど無縁の生活を送ってきたのだけれど、前に共演をしたあるアイドルから眼鏡を勧められて興味を持ったのよ」


流「最近はファッションとして度の入っていない眼鏡をかけている人も多いですからね」


美沙「今日はかけてないけど、流くんは眼鏡持っていたよね?」


流「極端に悪いという事は無いですが僅かに度の入った眼鏡を持っていますよ」


田中「眼鏡をしていない身からすると眼鏡はレンズが汚れたら拭き取らなくちゃいけない手間があって面倒くさい気がするんですけど、美春さんがそれでも集めたいと思った理由というのは?」


美春「デザインね。と言っても、8の字を横倒しにした大雑把なデザインが好きな訳ではないわよ。フレームの色や形、大きさなんて似たような形はあっても全く同じものをかけている人を少なくとも私は見たことがないのよ」


美沙「言われてみればそうかもしれないね」


美春「そうでしょう? それだけ豊富な種類があるという事は、眼鏡はファッションの一部と言っても過言ではないのよ。だから私は新年度からアクセサリーとして色々な眼鏡を集めたいと思うわ」


美沙「美春ちゃんは完全に眼鏡の魅力に取りつかれちゃったみたいだね」


流「今のままでも十分だと思いますけどね」


田中「眼鏡姿も良いと思うけどな」


流「という事で、以上フリートークでした」



田中「川野流の中波放送」



流「次のコーナーはと行きたい所ですが『川野流の中波放送』そろそろお別れのお時間です」


美沙「本当は新コーナーの予定だったんだよね」


美春「私のせいで本当にごめんなさい」


田中「今日は全員にとって貴重な放送だった。カットされていなければスプリングスファンからは神回に指定されるだろうな」


流「カットされてしまったら今回の収録はフリートークしかしていないので撮り直しですね」


美沙「スタッフさんが撮り直しはしないって」


美春「放送するならノーカットでお願いね」


流「この番組のスタッフと言えど、今回は流石にカット出来ないと思いますよ」


田中「だな」


流「さて次回5月末の放送ですが、次回こそは新コーナーをお送りいたしますのでお楽しみに。ここまでのお相手は、隠し事の出来ない川野流と」


田中「隠し事をしていたことをすっかり忘れるデスティニー田中と」


美沙「隠し事を見破れないスプリングスの桜野美沙と」


美春「もう隠し事はしません。スプリングスの桜木美春でした」


流「この後は停波放送です」




さぁ、決めようか 最強のラーメン

賽は投げられた 激アツに大ゲキトツ



塩 塩

醬油


醤油 醤油



塩 塩

醬油


激アツに


醤油 醤油


大ゲキトツ


この勝負

この勝負


引き分け!




流「川野流の停波放送」


美春「今回はご迷惑をおかけしました」


美沙「美春ちゃんが礼儀正しく謝っていると不自然だね」


田中「何か裏があるように感じますね」


流「ちなみに、美沙さんにまだ隠していることがあれば今の内に謝罪した方が良いと思いますよ」


美春「あれ以上の事は無いわよ」


田中「答えにくいと思いますけど、ソロで活動した時の給料は美春さんだけのものですか?」


美春「本当に答えにくい質問ね。まぁ、答えるけれど。さっきも話した通り美沙に黙ってソロで活動はしていたけれど、一応スプリングスの桜木美春としての活動だから給料はスプリングスで分け合うことになっているわよ」


美沙「そうだったの?」


美春「黙っていたことに対する懺悔の気持ちよ」


田中「じゃあ、俺たちもユニットを組んで」


流「組んでもお給料は分け合わないで別々に貰いますよ。分け合うとDがサボることが目に見えるので」


美沙「前から思っていたけど流くんと田中くんは良いユニットになりそうだよね」


美春「水守プロはこの2人をスカウトしたらどうかしら? 冒頭で言っていたけれど、流くんは芸能界に興味が湧いたようだし」


流「スカウトお待ちしています。という事で停波放送はここまでです。お相手は川野流と」


田中「デスティニー田中と」


美春「スプリングスの桜木美春と」


美沙「スプリングスの桜野美沙でした」


4人「ばっ波~」



流「川野流の中波放送 この番組は黒さならどこにも負けないラーメン屋『黒一点』と水守プロダクション、和水プロダクションの提供でお送りいたしました」

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