第8回

桜野美沙「『前回の反省』前回の停波放送をお休みさせてもらって次の仕事へ向かったのにも関わらず、現場に遅刻してしまいました。関係者の皆さんすいませんでした」



川野流「川野流の中波放送」



流「皆さんこんばん波~ブースの中が暑すぎて出だしから早く終わって欲しいと思っている川野流です」


桜木美春「同じく桜木美春」


美沙「右に同じ桜野美沙です」


流「という事で今回はいつも以上に気持ちが繋がっているこの3人でお送りします」


美春「スタッフに聞くけれど、この収録って放送日9月末よね? 今、8月中盤よ」


流「通りでブース内が暑いわけですよね」


美沙「クーラーが動かないらしいからね」


美春「少し前にこのブースを使っていた人は扇風機持ち込んでいたらしいけど?」


流「スタッフさんは誰も持っていなかったみたいですね」


美沙「収録前に買って来られなかったの?」


流「『扇風機は無いけど冷却アイテム用意しています』だそうです」


美春「視聴者向けに言っているのは分かるけれど、私たちは打ち合わせの時点で聞いているから若干呆れているわよ」


流「一刻も早く涼しくなりたいので冷却アイテムを持って来てもらいましょう。お願いします」


美沙「スタッフさんは事前にブース内のクーラーが壊れていると聞いていましたがまさかサウナルーム並みに熱いとは思っていなかったので扇風機ではなくカキ氷機を用意してくれました」


美春「真矢さん、どうしてブースから出ようとしているのかしら? わざわざカキ氷機を持って来てくれたのだからここでおしゃべりでもしながら一緒に食べましょうよ」


真矢咲「いや、私は大丈夫」


流「学生の頃に夏祭りのカキ氷屋でアルバイトをした経験があると噂を耳にしたのですが」


咲「流クン、その噂は事実だけど何処で聞いたのかな?」


美沙「噂は本当だったんですね。それじゃあ、わたし達は番組を進めるのでカキ氷作りお願いします」


咲「今日は3人とも怖いよ」


流「それでは、咲さんがカキ氷を作っている間」


咲「私まで作るなんて一言も」


流「カキ氷を作っている間」


咲「はい、作ります」


流「スタッフさんからのふつおたを読んで行こうと思います」


美沙「1通目はディレクターのUさんから『そろそろ番組テーマソング企画を本格的に始動させたいと思っています。そこで、どのような曲を歌いたいかそれぞれ教えて頂きたいと思います。大人の事情とかは考えなくて良いので自由に話してください』だって」


美春「ここのスタッフがまともに仕事をしていると君が悪いわね。というのは冗談として、番組の顔として流くんはどんな曲を歌いたいかしら?」


流「歌の上手い、下手を考えずに言うならバラードなんてどうでしょうか?」


美沙「バラード? どうして」


流「収録時間が昼間なので忘れがちですけど、この番組は一応夜中に更新しているので気持ちが跳ね上がるような曲よりはしっとりとした落ち着いた曲の方が良いと思いまして」


美春「更新は夜中だけど必ずしも夜中に見るとは限らないのだからあえて気持ちが跳ね上がるような曲を歌うのもありよ」


美沙「わたしはラジオみたいに掛け合い多めの曲を歌ってみたいな」


咲「歌も良いですけど、カキ氷出来ましたよ。お好きなシロップかけて食べて下さい」


流「食べながらで構わないので、咲さんの構想を聞かせて下さい」


咲「そうだな、構成作家としてはオープニングとエンディングで最低2曲は欲しいかな。曲調はオープニングが美春チャンの案を採用して、エンディングには流クンと美沙チャンの案を合わせて採用できるのが理想かな」


美春「あくまで理想の話だからこの通りに実現するかは分からないけれど」


美沙「あぁ、ブースが暑すぎてカキ氷が溶けちゃってるよ」


流「さっさと食べちゃいましょう」



美沙「川野流の中波放送」



流「僅かに涼しくなったところで、このコーナー『一問十答』」


美沙「このコーナーは一つのお題に対して十個の回答をそれぞれ出し合い、回答が被らなかったら一つにつき1ポイント。被ったら0ポイント。そして今回からスペシャルポイントとマイナスポイントが追加されました。その説明は美春ちゃんお願い」


美春「スペシャルポイント、マイナスポイント共にスタッフが事前に設定した単語が回答に含まれていたら被っていてもそれぞれ貰えるらしいわ。ちなみにスペシャルポイントは3ポイント。マイナスポイントはマイナス2ポイントよ」


流「現在のポイントは僕が6ポイント。美春さんが7ポイント。美沙さんが8ポイントです」


美沙「今回のお題は『無人島に持って行くなら?』」


流「これって第2回で咲さんがデスティニー田中に出題したお題ですよね?」


美春「問題を使いまわした件については後でたっぷり言い訳を聞くとして回答を発表するわよ」


流の回答  『家』『パソコン』『インターネット環境』『電気』『ガス』『水道』『スマートフォン』『コンビニ』『家族』『無人島を開拓している某アイドル』


美沙の回答 『船』『船を運転できる人』『地図』『方位磁石』『食料』『水』『火』『着替え』『美春ちゃん』『流くん』


美春の回答 『船』『飲食物』『サバイバルナイフ』『まだ読み終わっていない本』『フィルムカメラ』『モリ』『懐中電灯』『寝袋』『運』『無人島生活したことがある芸人さん』


流「今スタッフさんがそれぞれの回答を照らし合せてポイントを計算しているので、僕たちはそれぞれの回答を見直していきましょうか」


美春「流くんは無人島に永住する気満々ね」


流「お2人は無人島から帰る気満々ですね」


美沙「でも、美春ちゃんは無人島から出られない場合の用意もしているから偉いよね」


美春「そう言う美沙だって無人島脱出に関しては用意周到じゃない」


流「取りあえず全員に共通しているのは関係ない人を巻き込んでいる点ですね」


美春「私たちが選んだ人たちは無人島で過ごすことになった時に心強いけれど、少なくとも私は無人島でも船の上でも頼りにはならないわよ」


美沙「大丈夫、美春ちゃんも流くんも一緒の空間にいてくれるだけで心強いから」


流「嬉しい事を言ってもらったところでポイントの計算が終わったようなので発表します。まず、普通のポイントです。僕が8ポイント、美沙さんが7ポイント、美春さんが7ポイントです。続いてスペシャルポイントですが、スタッフさんの設定した単語は『無人島生活経験のある芸能人』でした。この単語に当てはまる回答をしたのは僕と美春さんでした。それぞれスペシャルポイント3ポイントが与えられます」


美沙「美春ちゃん、無人島で生活したことない?」


美春「残念だけどないわよ」


流「続いてマイナスポイントです。スタッフさんの設定した単語は『船』でした。この単語に当てはまる回答をしたのは美沙さんと美春さんでした。それぞれ2ポイントマイナスになります。前回のポイントに今回のポイントを合わせた結果は?」


美沙「わたしが13ポイント、美春ちゃんが15ポイント、流くんが17ポイント」


美春「あら? 前回と順位が逆転したわね」


流「ご褒美が100ポイントですから、まだまだ道のりは長いですね」


美沙「次は一つも被らないで満点取ってやる」


美春「暑いのに暑苦しくなるような事言わないで。さっさとエンディング終わらせてブースから出ましょう」



美春「川野流の中波放送」



流「エンディングです」


美春「簡潔に行くわよ」


美沙「次回はゲストが来るんだって」


流「またデスティニーですか?」


美沙「まだ発表されてないから次回までのお楽しみかな?」


美春「どうせすぐわかるのだからさっさと挨拶するわよ。次回までにクーラーが直っていないようなら扇風機を用意すること。桜木美春と」


流「出来れば羽無しのが良いです。川野流と」


美沙「ワレワレハウチュジンダー。人間の桜野美沙でした」


流「せーの」


三人「ばっ波~」


美春「あ~暑いわ。さっさと出ましょう」

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