第5回

 『前回の反省』前回、前々回と台本無しでの収録だったのでラジオとして成り立っていませんでしたが、今回からはちゃんとした台本があるのでラジオとして成り立つ放送にしたいと思います。

 という事で『川野流の中波放送』色々とテコ入れをして今回から気分を一新して再スタートです。


流「改めまして川野流です。前回と前々回の放送では大変お見苦しい放送となってしまいましたことをこの場をお借りし関係者一同心からお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。今回の放送からは当たり前のことではありますがキチンと台本を用意してより良い放送となるよう精進致します。という事で前回までの反省を生かしテコ入れを開始した今回からこの番組に新しいメンバーが加わることになりました」

美春「番組をお聴きの皆さん『こんにちは』、『こんばんは』かしら? 『おはようございます』の人もいるかもしれないわね。今回からこの番組のアシスタントに任命された水守プロダクションの桜木美春です」

流「そして、もう一人」

美沙「はいはい。『川野流の中波放送』をお聴きの皆さんチューハー美春ちゃんと同じくアシスタントになった桜野美沙です。よろしく」

流「という事で、このお2人を新たなメンバーとして再始動した『川野流の中波放送』早速お2人とフリートークをしたいのですが、桜野さん」

美沙「美沙で良いよ」

美春「じゃあ、私も美春で良いわよ」

流「それじゃあ、美沙さん。挨拶の時に言っていた『チューハー?』というのは何でしょうか?」

美沙「あぁ、打ち合わせの時にブースの外でこっちを見ている偉い人が『実はこの番組まだお決まりの挨拶が無いから適当に決めちゃって』って言っていたから『中波放送』の『中波』の部分をもじった挨拶を候補として言ってみたんだけど、流くんはメインパーソナリティとしてこの挨拶どうかな?」

流「酎ハイと字面が似ているような気がしますが、悪くないと思います。美春さんはどうですか?」

美春「あら、ラジオは初心者と聞いていたけれど話を回すのが上手いわね。そうね、私も酎ハイと聞こえてしまうけれどこの番組特有の挨拶としては悪くないと思うわ。もし、流くんやスタッフさんから他の候補が無いようならこれをしばらく番組の挨拶として使っていくのもアリね」

流「ちなみにスタッフさんの中で美沙さんの挨拶以外の候補がある人っていますか?」

美沙「全然手が上がらないね」

美春「こんな協力的じゃないスタッフばかりだから流くんが1人で背負い込むような番組になってしまうのよ。協力をしなさい、協力を」

流「まぁまぁ」

美沙「美春ちゃん、わたし達にとっては初回放送なんだから押えて、押えて」

美春「そうね。じゃあ、スタッフさんの挨拶候補は次回までの宿題にしましょう。もちろん作家の真矢さんも、よ」

流「美春さんが躊躇なくスタッフさんを弄ったところで実はこのラジオ、パーソナリティが増えたことで今回からちょっとした変化がるそうです」

美春「言い訳っぽく言うならテコ入れね」

流「まぁ、そうなりますね。それでですね、僕たちはこの時点で分かりませんが僕たちが言葉を発する前に名前が追加されているみたいです」

美沙「つまり、わたしが喋っている時は『美沙「喋る」』ってなっているって事だよね?」

美春「台本に書き加えているだけという疑惑も出てくるけど、視聴者に分かりやすくするための配慮という事よね」

美沙「ちなみに、もう一つの配慮として今回から流くんは一人称を『私』から『僕』に改めたんだよね?」

流「はい、実はそうなんです。賛否両論あるかとは思いますが、この番組は今後この方針で行くつもりですのでご理解ご協力をよろしくお願いします」

2人「お願いします」

流「ちなみに、今のように声を合わせて言った場合は『2人』または『3人』という表記になるそうです」

美沙「これからも今までと変更されるようなことがあったらこのフリートークの時間に伝えていくからね」

流「という事で、次は新しさを感じない新コーナーです」

美春「どういう事かしらね?」




流「という事で」

美春「ちょっと待って」

流「何でしょうか?」

美沙「何でしょうか? じゃないよね?」

美春「打ち合わせの時にも聞いていたし、リハーサルでも特に気にしてはいなかったのだけれど、本番になってやっぱり無音なのはおかしいと思ったわ」

流「そう言われても、文字だけのラジオに音楽を取り入れるのは難しいですからね。スタッフさんも最初の頃は考えるって言っていましたけど最近は忘れているみたいですし」

美春「だから、そういう姿勢がこのラジオを悪くさせていたのよ」

美沙「美春ちゃん、初登場とか関係なくスタッフさんに噛みつきまくりだね」

流「その話は後でこの放送外になるかもしれないですけど時間を設けてもらうのでその時に話し合いましょう」

美春「そうね、その時はスタッフ全員招集よ」

美沙「美春ちゃん目が怖いよ」

流「では、そんな最近堕落しているスタッフさんがコーナー化したこのコーナー『辞書紹介』」

美沙「よく読む辞書を紹介するの?」

流「台本通りのボケをありがとうございます。前回までの放送をご覧の皆さんはご存知のだと思いますが、このコーナーは有名な某辞書の適当なページを開いてそのページに書かれた単語を一つ選んでその単語にあったトークをするというアドリブ力を鍛えるコーナーです。今回は美春さんと美沙さんに人単語ずつ辞書から選んでいただいて自己紹介をして頂きたいと思います」

美春「だから当たり前のように辞書が置いてあったのね」

流「時間に余裕があれば僕もやりたいのですが、まずはお2人のどちらから先にチャレンジしますか?」

美沙「はいは~い。わたしからチャレンジします」

流「それでは辞書をお渡ししますので単語を選んでください。ちなみに、一度開いたページからページを変えるのは禁止ですからね。経験則から選んでいる間は無言になってしまうので僕と美春さんで長くならない程度の雑談でもしましょう」

美春「そうなの?」

流「過去2回やった時は探すのに手間取って無言の時間になってしまうことがありました」

美春「聞けば聞くほどこの番組のスタッフにはお説教が必要だと思うわね」

美沙「決まったよ」

流「思った以上に早いですね。ちなみに美沙さんが選んだ単語というのは何でしょうか?」

美沙「えっと、1918ページ『てこう』から『てさばき』の間にあった『デザート』だね」

流「良いページを開きましたね。では、美沙さんの『辞書紹介』お願いします」

美沙「はい、番組をお聴きの皆さん改めましてチューハー。桜野美沙です。デザートに関する話という事で最近わたしがお気に入りのデザートがフルーツタルトです。でも、わたしが好きなのは市販品じゃなくて数年前からお菓子作りをするようになった社長が作ってくれるフルーツタルトが美味しくて大好き。他にデザートというと、わたしと美春ちゃんはよくファミリーレストランでご飯を食べることがあってそこで毎回それぞれ別のデザートを頼んで食べさせ合いっこしてるよね?」

美春「美沙、恥ずかしいからその話はやめなさい」

美沙「は~い。じゃあ、美春ちゃんに怒られたから以上です」

流「ありがとうございました。さて、次は美沙さんにプライベートを明かされて顔が赤くなっている美春さんの番ですよ」

美春「言っておくけれど食べさせ合ったのは一度だけだからね。いつもは交換して一口ずつ食べているだけだから」

美沙「ほらほら、照れてないで美春ちゃんもちゃっちゃとやっちゃって」

美春「わかったわよ。さてと、この辞書意外と重いのね」

流「さて、美春さんが選び始めたので僕たちはフリートークをしましょうか」

美沙「じゃあ、普通に自己紹介しても良い?」

流「ぜひお願いします」

美沙「まずは、名前から。って言っても収録が始まってから随分と時間が経っているから憶えられていると思うけど改めまして桜野美沙です。これでも一応22歳で、美春ちゃんと一緒に『スプリングス』というアイドルグループを組んでいます。これからこの番組の盛り上げ役として頑張るのでこれから応援よろしくお願いします。以上で~す」

流「美沙さんありがとうございました。美春さんはこの間に決まりましたか?」

美春「一応ね」

流「それでは美春さんの『辞書紹介』です。どうぞ」

美春「私が選んだのは1142ページにある『喋る』と書いて『さべる』と読む項目よ。意味は言うまでも無く『喋る』を意味する言葉よ。私がこれを選んだ理由と言うのは、この言葉が私と美沙つまりスプリングスの一部を言い表している言葉だから。まさに今、私たちはスプリングスとしてこの番組のアシスタントに就任して出演しているし、この仕事以外でも普通のラジオや朗読劇、声優と言った感じで喋りに関する仕事を多く行っているからよ。ただ、私たちのマネージャーは私たちが喋るのが好きだと勘違いしているみたいで今回は何と来月発売のCDの特典になっているミュージックビデオのオーディオコメンタリーもしたので良ければ是非お買い求めください」

流「最後は完全に宣伝でしたね」

美春「一応アイドルが本業だからちょっとでも宣伝しておかないと今後食べていけなくなるのよ」

流「大人の事情が垣間見えたところで今回はお別れの時間が迫ってきたようです」

美沙「流くんはやらないの?」

流「この後『川野流の停波放送』という作家の真矢さんも含めて放送後の光景を収録するので僕はその時に時間を貰ってやりたいと思います」

美春「スタッフさんへのお説教もあるからさっさとエンディングに入りましょう」




流「という事で、エンディングです。お2人は今回初登場でしたがどうでしたか?」

美春「今回は何とかなったけれど『辞書紹介』はもし使えそうな単語の無いページを開いてしまったらと思ったら恐ろしいわね。美沙はどうだった?」

美沙「今日は恥ずかしがる美春ちゃんを間近で見られたから満足。あと、来週のスタッフさんが考えたこの番組の挨拶候補楽しみにしてます」

流「それではまた第6回でお会いしましょう。お相手は川野流と」

美春「スプリングスの桜木美春と」

美沙「同じく桜野美沙でした」


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