第2回


 『前回の反省』ラジオ本編よりも収録後に行われたミニコーナーの方がラジオらしかった。




 映像無し、音声無し、文字オンリーの新感覚ラジオ『川野流の中波放送』の時間となりました。パーソナリティーを務めるのは、先ほどスタッフに「前回の収録だけど僕は『停波放送』の方が好きだな」って言われローテンションの川野流です。今回からご覧いただく方はどうぞよろしくお願いいたします。


 では早速、番組に届いたメールを何通か読みたいと思います。が、実は今回は第1回目の放送前の収録なのでまだメールが来ていないので第1回の収録から今日までにあった私の近況報告をさせていただきます。


 まずは、前回の特別コーナー『川野流とは誰?』で伝えきれなかった私の自己紹介を制限なしで紹介しようと思います。


 生年月日は一九九七年の十一月二日生まれで、収録日の時点ではまだ高校生です。って、これは前回ちらっと言いましたね。趣味や特技も前回の放送をご覧になった方ならわかると思いますが、趣味は読書で、特技と言って良いのか分からないと前回も言ったかと思いますが少林寺拳法をやっていました。


 これくらいで良いですか? そうですか。窓の外の大人からオープニングトークは十分との報告があったので自己紹介の途中でしたがオープニングトークはこの辺にさせて頂きます。


 えっ? はい、分かりました。私は知らされていなかったのですが、この後、第2回にしてゲストが登場するとのことです。突然の報告に驚きを隠せませんがこれから少しの時間『川野流の中波放送』にお付き合い下さい。




「という事で、フリートークの時間です。構成作家の真矢咲さんの話ではゲストが来るという事でこのフリートークからはオープニングトークとは違って会話の際にカギ括弧が入っているそうです。映像も音声も無いので分からないと思うので説明させて頂くと、私の目の前にいるゲストの方が喋りたそうな表情でニヤついているので早速お呼びしたいと思います。どうぞ」


「どうも、デスティニー田中です。川野の友人です」


「という事で、ゲストの私の同級生で『D』ことデスティニー田中さんです。何故か私よりもラジオ慣れしていますが、正真正銘の素人です」


「おいおい、いきなり俺をDと呼んでも誰もわからないだろ。川野が言った『D』と言うのは、デスティニーの頭文字です。ちなみに俺をDと呼ぶのは川野だけです」


「説明ありがとうございます。それで、どうしてDがゲストに?」


「最初は『川野流と素人』ってタイトルでこの文字ラジオを放送する予定で、その番組の素人として参加して欲しいって俺にオファーが来たのがきっかけで。オファーが来たのは川野の知り合いの中でラジオ向きなのは俺だけだったかららしい。勿論断ってやったけどな」


「親指立ててドヤ顔をするほどでは無いと思いますけど」


「ドヤァ」


「声に出さなくても良いですから。と言うか、声に出したら無駄に一行使う事になっちゃいますから」


「ドヤ、ドヤ、ドヤァ」


「やめんかっ」


「はい、川野の突っ込み頂きました。本調子?」


「全然ですよ。話が横道にそれましたが、パーソナリティーのオファーは断ったのにどうしてこの番組のゲストのオファーは受けた理由と言うのは?」


「分かっている癖に」


「確かに私は分かっていますけど、リスナーの皆様はDの事を全く知らないですから」


「そう言うなら仕方ない。リスナー諸君よく聞くが良い。俺の将来の夢はニートだ」


「公共の電波を使ってしょうもない夢を語らないでください。それに、答えになっていないですよ」


「いつものことながら川野は文句が多いな。流石にニート志望でも、金は必要だから2の付く収録回にだけゲスト出演するという契約でオファーを受けた」


「私の知らないところで随分と勝手な契約を結んだみたいですけど、それだと20回から29回は毎回参加することになりますよ」


「はっ! 騙された。さっきの契約は下一桁が2の回だけに変更してください」


「愛想笑いされているみたいですけど」


「何としてもさっきの契約を結び直さないと(切実)」


「それでは、折角Dにゲストに来てもらったのでこの後も引き続きお付き合いいただきます」


「台本通りの進行に戻った」


「余計な事は言わなくても良いですから」




「改めまして川野流です」


「デスティニー田中です。休憩中に食べた差し入れのカップ麺が美味しかったです」


「フリートークとコーナーの間に休憩時間があった事とか言わなくても良いですから」


「でも、美味しかった」


「そうですか。では、気を取り直してゲストのDを迎えてやるのはこちらの新コーナーです。D紹介よろしくお願いします」


「えっと? 『一問十答』」


「コーナーの説明を簡潔にさせていただきますと、一問一答形式の質問に対して十個の答えを回答するコーナーです。以上です」


「俺から補足すると、このコーナーはこの俺『デスティニー田中』がゲストに来ている時限定のコーナーだそうです」


「初回という事で、前回の『ゲストを作り出せ!』同様、窓の外の大人が書いたハガキを読ませて頂くのでDはそれを一問十答で答えてください」


「任せろ」


「それでは行きます。『窓の外の大人1さん』から『好きな色は?』」


「黒、白、赤、黄、青、白、黒、赤、黒、黒」


「いきなりルールを守っていないじゃないですか。まぁ、Dならそう答えるとは思っていたので次に行きますね。『窓の外の大人2さん』から『最近やったスポーツは?』」


「バスケ、フットサル、バレーボール、バドミントン、ハンドボール、カバディ、カバディ、カバディ、カバディ、プログラミング」


「プログラミングはスポーツでは無いような気がしますけど。聞くのは後にして、次は『窓の外の大人3さん』から『好きな食べ物は?』……答えの予想が容易ですが、どうぞ」


「醤油ラーメン、醤油ラーメン煮卵トッピング、醤油ラーメン大盛り煮卵トッピング、醤油ラーメン中盛り煮卵トッピング、醤油ラーメン大盛りネギ抜煮卵トッピング、醤油ラーメン大盛りネギメンマ抜煮卵トッピング、醤油ラーメンネギ抜煮卵トッピング、醤油ラーメンメンマ抜煮卵トッピング、醤油ラーメンネギメンマ抜煮卵トッピング、醤油ラーメン中盛りネギ抜煮卵トッピング」


「見事に全部醤油ラーメンですね。Dは超が付くほどのラーメン好きなのですが、その話はまた後で聞いてみようと思います。それでは最後のハガキです。『真矢咲さん』構成作家の方から『無人島に持って行くなら?』」


「日本列島、全国のラーメン屋、パソコン、インターネット環境、ゲーム類、スマホ、電気、布団、家、ワームホール」


「全部Dらしい答えでしたけど、見事に全部ふざけましたね」


「えっ? 最後は本気で答えたつもりだけど」


「私も含め、それを理解したリスナーさんはいないと思います。なので、最初の質問の答えから一つずつ自由に話してもらえますか?」


「今、自由で良いと言ったな?」


「私はDに自由に話して良いと言ったらどのような事になるか理解していますが、窓の外の大人からの指示なので構いませんよ」


「ごほん、まずは最初の質問『好きな色は?』の答えから……って、俺なんて答えた?」


「そう言うと思って窓の外の大人がメモしてくださった答えを見ると『黒、白、赤、黄、青、白、黒、赤、黒、黒』らしいですよ」


「そうだった。俺の好きな色は黒だけで、後の白とか黄とかはたまたま目に入った色。え? もう少し詳しい描写をして欲しい? 仕方ないな。白はこの部屋の壁が白いから選んだ。黄は窓の外にいる偉い人が着ている服の色。別に昔はやった一発屋の芸人みたいな黄色いスーツを着ている訳じゃなくて普通のジャケットな。あっ、手を振ったら返してくれた。青は、流が着ている服の色で、その後の白と黒は適当。その次の赤は唐突に思い出した俺の二番目に好きな色。その後二つはやっぱり適当」


「聞いていたらわかると思いますが、Dは基本的に適当に生きている人です」


「それほどでもないけど」


「突っ込み待ちだと思うので望み通り突っ込んであげますが、褒めていませんよ」


「流石、川野。俺の考えよく分かっているな」


「さて、次の質問は『最近やったスポーツは?』でそれに対するDの答えは『バスケ、フットサル、バレーボール、バドミントン、ハンドボール、カバディ、カバディ、カバディ、カバディ、プログラミング』でした」


「な、何だ!? その洗練されたスルースキルは?」


「時間の都合上全てのボケを拾っている暇が無いので」


「そういう事ね。あっ、カバディって知っているか?」


「私は知識程度に知っていますが、リスナーの中には存じ上げない方もいると思うので説明してあげて下さい」


「あれだよ。カバディ、カバディって言いながらやるスポーツ」


「好きなスポーツとして挙げた割にはぼんやりとした説明ですね。詳しい説明は私の方からしますね。カバディと言うのは初回放送で使った辞書によると……インドやバングラデシュ、パキスタンの国技だそうです。試合のルールは一チーム七人で対戦して、攻撃側のチームの一人が『カバディ、カバディ』と連呼しながら出来るだけ多くの相手方の体に触って、バレーボールのコートと同じくらいの自陣に戻る回数を競うものだそうです。Dは最近やったみたいですけど、やってみた感想を教えてもらえますか?」


「あのスポーツは遊び半分で出来るスポーツではない。さらに、プログラミングは一種のスポーツである」


「窓の外の大人が出した『巻いて』のカンペを見てのコメントありがとうございます。窓の外の大人に聞きたいのですが、まだこのコーナーもう少し続けられますか? ……。あと一つですね。Dはどれにします?」


「じゃあ、『好きな食べ物は?』で」


「『無人島に持って行くなら?』ですね」


「川野、俺の話を聞いていたか?」


「ラーメンの話は次に持ち越しませんか? 長くなりそうですし」


「巻きの指示が出ているから仕方ないな」


「それでは『無人島に持って行くなら?』ですが、これは本気で答えたと言っていましたね。私には分かりにくいのですが、どのあたりが本気なのでしょうか?」


「普通に、日本列島とワームホールを含めた全部本気。ほら、俺ってラーメン大好きだろ? だからラーメン屋は必須。このラジオ見る為にはパソコンとかスマホは必要だし、それにはネット環境も必要。布団は無人島でもゆっくりと寝たいから」


「日本列島とワームホールの必要性はあります?」


「ほら、日本列島はこのラジオの収録に必要だし、ワームホールは家からすぐにここや学校に行くとき便利だろ」


「存在しない者に関してドヤ顔で語られても困りますが、時間が無くなってしまったみたいなのでこのコーナーはこの辺で終わらせて頂きたいと思います」


「このコーナーはリスナーの皆さんから俺に対しての質問を送ってもらうことで成立するコーナーなので沢山の質問を待っています。応募の際はペンネームを明記したうえでの応募をお願いします。住所、電話番号などの個人情報は犯罪防止の為、明記しないように。要は大人の事情って奴だな」


「いちいち裏の事情を言わなくても良いですから」




「さて、エンディングトークの時間になりました。D、今日の放送の感想は?」


「単純に面白かった。最初は下一桁が2の回だけにしか出演しないって言ったけど、終わってみると、なんか物足りないから4回目の放送くらいでまた出たい」


「そうですけど……。窓の外の大人は是非出て欲しいと言っていますよ」


「えっと、これはラジオ用の冗談で。えっ? はい、次の出演日について後で相談しましょう」


「Dが窓の外の大人にラーメンで釣られた所でお別れの時間となりました。お相手は、巻きの指示が入って少し焦っている川野流と」


「ラーメンに釣られてレギュラーになりそうなDことデスティニー田中でした」


「「また次回お会いしましょう」」

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