第3話 風のにおい

 2日目、未熟者の僕には休日が与えられていた。だから、今日は、ずっとアルバイトをする。朝は、掃除から始めることを僕はならっていたので、それに、徹していた、すると、同じく朝にシフトがある。田中さんが、出勤してきた。田中さんは、僕と違い、「未熟」ではない。明確な目的をもって毎日を生きている。僕はというと、願いに向けて、アルバイトそして、未熟者であったので勉強をしていた。しかし、義務という、課せられた学業ではない。自分で決め、進学したと言う方が正しい。それが、僕と田中さんの違い、そして、「働く」への思いの強さのちがいである。いつも、彼は仕事に追求している。高みを目指しているというか、心を込めて行っている。僕はというと、願いへの距離、いまでは、給料という形の言い方に変わったと自分で思う。それを何回も計算して、働いていた。仕事の内容には全くといっていいほど固執していなかった。

「おはよう、今日はいつもより寒いよね。」

「はい。寒くて、寒くて、掃除早めに終わらせましたよ。」そういうと、僕は店内に入ろうとした。 

「そしたら、今日はおでんがよく売れそうだ。」田中さんがいった。

 視野が広い。かんがえが、自分より深いと思った。周りから見ると、僕が疎く、僕の視野が狭いそう感じるのだろう。僕なりに、次の行動を考えた。おでんの具材を多く作る、その作業が妥当だと考えた。習ったマニュアル通りしかし、今日は、気持ち多め、マニュアルに反した量をつくった。しかし、このような天気の場合この対応がいちばん正しいと言えるだろう。今までとは違った。周りから見た僕は今まで、機械的に作業してただろう。しかし、今は、自分でも思う。柔軟に仕事をしている。

 こんな朝でも関係ない。コンビニは24時間営業だから。いつでも客はくる。休みなどない。田中さんと、僕。朝早くから、二人で営業を回していた。

 今日は長い。お昼過ぎまでである。長く感じる時間は、辛い時間とも言えるそう感じる。なぜなら、わたしにとって、短く感じる時間、遠くを眺めるときはほんとうにみじかくかんじる。僕は、こんなかんがえごとをするとき、よく、ぼーっとしてしまう。すると、商品を並べていた田中さんが、僕にいった。

 「どうした?つかれたのか。」

 「大丈夫です。少し考えていました。」少し慌てていった。

 「なぁ、君は、何で働いてるんだ?」


 唐突だった。僕には見たいものがある。田中さんと比べると、小さなことであったが、これが今の僕の働く理由であった。でも、どんな意図で田中さんが、これを僕に聞いたのかわからなかった。ぼーっとしていたことに怒っているのであろうか?それとも、ただ純粋にそれの答えを聞きたいだけなのであろうか。わからなかった僕は、こたえにとまどった。

 「それは、、、、」

 「じゃあさ、やりたいことはあるの?」

素直に答えた………

 「僕、見たいんです。今いるこの東京という目まぐるしく変わるばしょの、形、風、色、そんなものを外から見てみたい。そう思うんです。それが何に繋がるのかは、わからないですけど、それを確かめないと前に進めないと思ったんです。それで、遠くまでいくためのお金がほしくて。」そこまで、話したところで、田中さんが、口を開いた。 

 「君は、いい夢を持ってるじゃないか。なぁ、ぼくも、その景色一緒に見ていいかな。」

「え、、あ、はい!」

 「それと、今から、夢を追うもの同士、だから、信二でいいから、」

 「はい!ありがとうごさいます。」

 


 おでんは、売れた。今日、自分の思うように、自然な行動をした。もう、前までの、僕ではない。応用のない、機械的なひとでないということ。

 「おつかれさまでした。」コンビニをでると、まだ、感じたことのない風のにおいがした。

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