第14話「この先どうなるのやら」

「あ、ところでイリアはどこに泊まってるんだ?」

 ガイストが尋ねると

「実はさー、今日宿取れなかったのよー。だからあたしもここに泊まっていいでしょー?」

「おい、いくらなんでも年頃の娘と同じ部屋ってのは」

「別にいいじゃない仲間なんだし。それとも何か不都合でも?」

「いや、その」

 ガイストは見ちゃイカンと思いつつも胸に目が行ってた。

「そんなええもん見せられたら魔が差してしまうぜ」

 バンジョウがニヤつきながらイリアの胸を指さして言う。

「あ、そうなんだ。でもさー、これから一緒に旅するんだから慣れてよねー」

「……まあ、そうだな。努力する」


「それじゃ決まりね」

「ああ、ベッドはあと一つ余ってるからそれを使えばいい」

「うんわかった。それじゃあおやすみー」

 イリアは速攻でベッドに入ると、疲れていたのかすぐに寝息を立てた。


 そしてガイストとバンジョウが寝ている三人を見ながら話し出した。

「まあ、何はともあれこれで全員揃ったな」

「そうだな。後はセリスの家に行けばいいのか」

「順調に行けばここからあと数日の距離だ」

「そうか。でもそこからまたどこかへ行かなければならないかもしれんな」

「ああ。黒い霧を払うのにはどうすればいいかわからんからな」

「そうだな。……俺はいつまで皆と一緒にいられるんだろうな」

 バンジョウが少し寂しそうに言った。


「ん? 旅が終わったとしても……あ、そうか。お前は」

「ああ、俺はいずれは元の世界に帰るからな」

「そうだったな。その時が来たらセリスが泣きわめきそうだ」

「お前は泣いてくれないのか?」

「俺は泣かん。たとえもう二度と会えなかったとしても、お前が仲間で親友である事に変わりはないからな」

「……そうかい。ありがとよ親友」

「ああ。さ、寝るか」

「そうだな」




 次の日の朝

 ガイストはセリスとセイラにイリアを紹介した。

「イリアお姉ちゃん、よろしくね」

「イリアさん、よろしくお願いします~」

「ええ、よろしくー」


「さ、朝ごはん食べに行こうか」

「うん、セイラちゃん、行こ」

「はい~」

 セリスとセイラは手を繋いで先に食堂へ行ってしまった。

「ねえガイストさん、あの二人仲いいねー」

 イリアが二人が出て行った方を見ながら言った。

「そうだな。ところでイリア、俺達の事は呼び捨てでいいぞ」


「そう? じゃあガイスト、あの二人ってどんな仲?」

「ちゅーしてたくらいの仲だ」

 バンジョウが答えた。

「嘘、マジで?」

 イリアは驚いた表情になっていた。

「おいバンジョウ、嘘ではないがあれは少し違う気が」

「ん、気付かなかったか? 昨夜寝ながらちゅーしてたぞ」

「……ま、まあやましい気持ちなどないから、いい」


「よくないよ」


「「え?」」

 ガイストとバンジョウは同時にイリアを見た。


「ひっついて一緒に寝てるだけでもイライラするのに」

 イリアは怒りの表情になっていた。

「これ以上やるなら……」

 そして目に炎が映ってるようにも見える。


「おいイリア、お前もしかして」

 ガイストがイリアに尋ねた。

「あ、わかっちゃった?」

「ああ、まさか」

「言わないで。あたしだって変なのはわかってるよ。でも好きなものはしょうがないじゃない」

 イリアはガイストの言葉を制した。

「いや、変じゃねえぞ。好きになった奴がたまたま若かっただけの事だ」

 バンジョウはイリアを慰めるように言った。

「ありがと、そう言って貰えると嬉しいわ」


「お前も変態だからなあ」


「おいガイスト、変態言うな」

「そうよ。あたしはあの子を変な目で見てないわよ」


「あ、ああすまん。悪かった」

「いいよ。でもセイラちゃんを穢すならたとえ優者でも容赦は」


「「ってそっちかーーーー!」」

 ガイストとバンジョウはハモって突っ込んだ。


「ええそうよ。あたしはセイラちゃんが」

「うわー、百合のロリコンだったのかよ。これはまた」

 バンジョウは自分の事を棚に上げて引いていた。

「違うわよ、あたしはセイラちゃんだから好きなの。って早く行かないとどんどん……ああ、セイラちゃーん!」

 イリアは食堂の方へ走って行った。



「なあバンジョウ」

「なんだ?」

「この先どうなるんだろうなあ」

「さあなあ。まあ頑張ろうや、親友」

「ああ……痛っ」

 ガイストは胃を押さえながら呟いた。

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