I am living with beating

Side A

 翌日、ハルヒは、文芸部室で新たなる企みを披露していた。

「SIS弾でゲームを作るわっ! 剣を使ったアクションとシューターを切り替えて、空からの攻撃も可能なアクション・シューティング・フライトシュミレーター!」

「そんなに詰め込んだら、ボタンの数が足りないだろ。操作方法の変更とかどうするんだよ」

「だから、コントローラを三つ使うの! 全部を私たちが一から作るの! 3Dプリンタがこれだけもてはやされてるんだし、声や動きで操作できるんだから、コントローラを自分でカスタマイズする日も遠くないわ!」

「それだけの技術や設備が、この部屋にあるとは思えないが?」

「スマートフォンのアプリがお手軽に出来るんだから、何かやれるところからやればいいの! やれた気になって楽しくなればいいの! だからまずは敵キャラのデザインを―――」

「ああ、そうだな……」


Side B

 SF研の部室で、私は微笑みながら、壁の向こうの声を聞いていた。

「あはは…… なんだか、前より元気になっちゃたみたいだね」

「マスター! 我らも負けてはおれませんぞ!」

「うーん…… 私はそいういのは、ちょっと……」

「らしくありません! 何か言ってください! 私が強引に最新機材を引っ張り出してきます!」

「それも、ちょっと…… そうだなぁ、画面に色々なセロハンをかざすと、それぞれで別のものが見える仕掛けの謎解きアドベンチャーとか、かな?」

「さすがですっ! マスター! 対象の似顔絵を自分で描き、それがそのまま変装マスクになる仕掛けも盛り込みましょう! 出来の良し悪しは、敵キャラの反応でわかるようにする―――」

 すると、望さんが割り込んできた。

「違うわっ! それをやるなら仲間に銃の隠し場所を教える際に、地図を描く仕掛けを入れるのよ!最終的に集まった装備の質や量で、上手いか下手かを判別する―――」

「私は、潜入とか戦闘とかじゃないのがいいんだけどなぁ……」


 二つの部屋が騒がしくなっていった。互いに強くなるだけでなく、打ち消し合うのでもなく。

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