病院

つぎの日、昨日晴から事情を聞いたお母さん?と病院に来ていた。

今の凛にはお母さんの記憶も晴の記憶もなかった。だから1度家に帰って晴に会ったときは凄くビクビクしていた。晴の事を紹介すると落ち着いたのか普通に戻っていた。しかし、母親が帰ってきたらまた晴の時と同じ事が起こった。

しかし今度は誠達はいない。晴が凛を落ち着かせていた。

「鈴原さーん、鈴原凛さーん」

凛が呼ばれた。それなのに凛は立とうともしなかった。それもそうだ自分の名前すら覚えていなかったのだから・・・

「凛、呼ばれたから行くよ」

母親の優しい声に凛はただただ黙って頷くだけだった。そして検査をした。

しかしどこにも異常はなかった。

脳も何ともなかった。

体の傷は凄かったが、骨折には至らなかった。

「鈴原さん。貴女は何歳ですか?」

先生の質問に凛は

「・・・・・・」

答えられなかった

「では質問を変えます。貴女は昨日何をしてましたか?」

この質問にも凛は

「・・・・・・・・・」

答えることが出来なかった

「一時的な記憶喪失ですね。なにか凛さんのストレスになるような事がいっぱい起きてしまって記憶喪失になっているんです。時間が経てば戻ると思われます」

先生の言葉は衝撃的だった。

凛は本当に記憶がなくなってしまったのだ。

「後、凛さんは虐めにあってますか?体の傷が今回付いたものとそうでないものがあります。普通の人なら騙すことが出来ると思いますが私は医者なので・・・・・・」

医者の言葉に凛の母親は

「はい、虐めにあっている事は間違いありません。本人から聞きましたから。と言うことは昨日もそれ絡みのことがあって記憶がなくなったということでそょうか?」

「その可能性は極めて高いですね」

凛は何もわからずただただ黙って聞いていることしか出来なかった。

「あの、私学校に行ってもいいんですか?」

凛が発した言葉はそれだった。

虐めにあっていたと言うのになんで学校に行きたいって思うのか不思議だった。

「あぁ行ってもいいよ。学校で虐められてるのだろ?どうして学校に行きたいの?」

先生の質問に今度は

「友達が待ってくれているから。後、彼氏もいるらしいから」

そう言った。

そして診察が終わって凛と母親はお家に帰っていた。

「凛、貴女彼氏いたのね・・・誰?」

「いたよー。誠君だよ」

凛の言葉に凛の母親はビックリしていた。

誠が、ずっと凛の事を好きだったという事は知っていたが凛と付き合っているなんて・・・

「そう。誠君が相手なら問題ないわね。おめでとう」

「ありがと」

素っ気ない会話に見えるが今の凛にとったら精一杯の返事だった。

そしてあっという間に月曜日になってしまった。

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