エピローグ 「声の主」

新しい女王と王の歓迎際が終わり、ようやく落ち着くことができた。

このグリフォンセントラルシティーの住民たちは笑顔で祝してくれ、私達を人間だと見ているのだろう。

これは愉快ゆかいでたまらなかった。

「ああ、なんていう優越感ゆうえつかんたまらない」

女王は嬉しさのあまりほほを赤らめた。

「君に紹介したい人がいるんだ」

ルーマスはひっそりとベットの上に座って言った。

「どなた?」

女王はルーマスに駆け寄り足元に座って甘える。

「僕たちの上に立つ人さ」

ルーマスは女王の頭を撫でた。

「どゆうことですの?」

女王は顔を上げて聞かされてないことに嫉妬感が湧く。

「だけどその前に僕はやらなくてはいけないことがあるんだ。これは僕自身確かめたいことでもあるんだよ」

ルーマスの目は恐ろしく底知れぬ悪として満ちれた目をしていた。

「それは素晴らしいですわ」

女王はルーマスに甘い。とても甘く、信頼を寄せている。

「それから本来いた仲間を紹介するよ」

「本来いた仲間ですって?」

女王は聞いたこともない人物に不快な気持ちがよぎる。

「私達は2人でやっていくのでは?」

「それはあとしばらくのうちの話さ」

女王は不満そうな顔をして顔を歪める。

「本来とはどいうことですの?」

「僕と君と生まれ変わった日を覚えているかい?」

ルーマスは笑顔で話を進めた。

「ええ、研究者たちを殺された瞬間の顔は今でもいい思い出として残っているわ」

女王はいきいきとして話すが、ルーマスは話すを続けた。

「僕たちが生まれ変われたのは他でもないその紹介したい人なんだ」

「意味がわかりませんわ」

女王はねてしまう。私以外の人物を語るルーマスはとても覇気があり、凛々しく見えた。

「僕はを使ってNo.0201を壊すための準備をするよ」

「わかりましたわ。お気をつけて」




ルーマスはそうして部屋を後にするが、部屋を出てへらへら笑いながら廊下を歩き、自分の隠し部屋へと到着すると目を見開き、怒りがルーマスを染み込ませた。

「No.0201よ。何故思い通りにいかない!こんなに君を欲しているのに」

ルーマスは傲慢ごうまんの策を用意していたのにうまくいかないことや、リボが欲しいがゆえに怒りが沸々ふつふつと込み上げてくる。

「一応、人間の死体人形液だけ場所を変えててよかった。傲慢め。何故故壊されたのだ? 石もなくなっていた。No.0201はいったい何が目的なのだ?」

ルーマスは自分を抑《》えられるほどに怒りがおさまりつつあった。

そのときだ。


『強欲』


あの水銀のようなものが入っている容器から声が漏れるようなか細い声が聞こえた。

ルーマスはすぐさま器の中を覗くと真っ暗だった。真っ暗に映っているところから女の声が聞こえた。

「はい」

『ようやく開放された』

「おめでとうございます」

『困っていたね』

「はい」

声の主は淡々と話、ルーマスが困っていたことまで見抜いている。

「No.0201は傲慢の石を手にいられたようなんですが、何故このようなことをしているのかわからないのです。彼女の目的がわからないのです」

ルーマスはリボのことすべてを知りたいのだ。

『そいつはね――』

声の主はリボの野望そして、その野望の叶えるにはをすべてを話す。

まるで全部知っているかのように。



ルーマスはすべて聞くとすぐさま行動に出た。

声の主の要望を聞き入れた後にだ。

「だめだ。No.0201よ。なぜそんなものになりたがるのだ?」

ルーマスはすでに笑えていない顔で水銀様な入れ物の中を見ながらぶつぶつと独り言を言っている。

「そこまできているのか」

リボがどの辺にいるのかわかるとすぐさまに仕度にかかった。

「きみを人間にはさせやしない」

ルーマスはそういうと自室を後にした。







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