第三章 色欲

プロログ「君だけを見ている」

鈍くベッドのきしむ音が何度も部屋に響きわたる。

ああ、なんて素晴らしいのだろう。

君と一緒に誰にも邪魔されずいられるのはとても興奮と喜びに満ちていた。

だけど君はぴくりとも動かない。でも僕は構わない。君を愛している。それは変わらない。いや、さらに愛が溢れるのだ。

君は何もかも受け付けられなくなってしまったけれど僕は君とこうしていられるだけで興奮と欲する力はとめられやしない。

君の首元に優しくキスをする。

君は何も反応もなかったけれど僕からの愛は止まらないよ。

君は触覚、味覚、嗅覚、視覚、聴覚の大五感の感覚すべてをなくされてしまった。

でも、あなたには私がついています。

私はこうやってあなたと身体と身体を重ねることまですすめたことに歓喜かんきに満ちて仕方がない。

あぁ、なんと素晴らしいことなんだろう。

君の身体を観察する。

痩せこけ、乾いた唇、ぱさついた髪、力さえ入らない身体。

あることが起きる前までは笑顔で活発で無茶ばかりする君は今はいない。

でもそれでもいい。君を愛しているには変わりはないのだから。

どんな容姿でもどんなに性格が変わろうとも僕は君だけを思い、愛してることにかわりはないのだから。

一生お使えいたします。この身がどうなろうとも僕はあなただけを愛し、支えていきます。どんなことがおきろうとも。




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