第七話「虎の目覚め」

「だから私がわからなかったわけだ」

「どういうこと……?」

リボは悔しげにアリスたちをみるとメアリーが震えながら聞く。

「アリス事態が人形とは思えなかったって言うことだ。あれは死体だ。腐らないのは何故か解らないが、霊を操ることが出来るならその死体に魂をいられて操っているってところだろう。私はぬいぐるみにだまされたんだ」

リボは無表情に淡々答える。

「そう。僕は魂を操ることができる。僕自身戦闘が苦手。その少年は失敗したかもしれないけど君たちのもう1人のお仲間は戦闘向きなようだ。僕の代わりに君をってくれる」

そういったアリスの腕の中でリズは上を見ている。

「いや……!そんなことしないで」

メアリーはそのもう1人の少年が痛いほど誰かわかる。

上からナイトメアが静かに着地する。

目はうつろで動きかたがまるで操り人形のようにヨタヨタ歩く。

「少年は現在の身体能力や戦闘力はしれているが、潜在能力せんざいのうりょくは素晴らしい。それを目覚めさせた。意識がないあいだね」

アリスがそう言うとナイトメアはリボと代わらない俊敏しゅんびんさでリボに勝負を仕掛ける。

「リボ。絶対にナイトメアを傷つけてはダメだからね!」

キッザーはリボなら目的のためならナイトメアをやりかねない。

「……ッチ!」

了解したようだ大剣を全てサバイバルナイフで受け取り、もう1本取り出した。

だが、そのすきをつかれてリボは1本のサバイバルナイフで受けとることができずにそのまま壁に飛ばされた。

「リボ!」

キッザーはリボを心配して一身にけつけた。

「私はいい!メアリーをかばえ!」

キッザーはリボで頭がいっぱいになっていたが、リボに言われてメアリーをみると、ナイトメアがメアリーに大剣を首に突きつけていた。

キッザーは信じられなかった。ナイトメアなら絶対しないことだ。

「にいちゃぁ…」

メアリーは泣きじゃくっり震える。自分の弱さに嫌気がさす。

「にいちゃんに殺されるなら本望だから」

メアリーはそう言うと目を閉じた。

ナイトメアの表情は虚ろだ。

それがメアリーに震えを止まらせた。



「母ちゃん」

泣きじゃくったナイトメアは母親の顔を見る。

そこでナイトメアは怖くなって母親から離れた。

「母ちゃん……」

ナイトメアが怖くなったのは母親の鬼なる形相ぎょうそう

母親はナイトメアをきつく睨んだ。そして口を指を示す。

「母ちゃん、なにが言いたいの?」

見たくないそう思ったが目が離せない。

母親はわかりやすいようゆっくり口を動かす。

――私達の希望を護りなさい。それがナイトの務めなんだから――

ナイトメアはふと呆然と考え込んだ。頭が痛い。だが、それより頭が回る。

ここにはどこからどうやって、誰かときたか。自分が守らなくてはならない人がいることを明確にする。そして子供の身体から青年の身体に戻っていた。

母親の口が動く。今は厳しい目でナイトメアをみる。

――ナイトは姫を守るためにメアはメアリーから2文字を取った。そして繋いだのがナイトメア。あの時のこととかけたのね。自分のいましめとしていい名――

母親が言うあの時は両親にメアリーを託され、親が死んだ時のことだ。

――元の名は――

「お袋、俺はメアリーを守るために生まれてきたものだ。心配させてすまなかった」

ナイトメアは母親の言葉をさえぎる。

その目には母親などにもう目はくれないくらい猛々たけだけしい。

母親はナイトメアを厳しく見守る。

そして口を開いた。

――あなた達が産まれた故郷へ行きなさい――

ナイトメアはそれを聞いて見開く。

あそこは2人にとって禁断の地だからだ。

「何かあるんだな」

ナイトメアは呟くようにいった。

「メアリーの側にいく」

ナイトメアはもう母親に振り向かない。

母親とは離れるため走る。走る度に霧は晴れ出す。




「やめるんだ!ナイトメア!!」

ナイトメアはメアリーに刃を下ろし、切り裂こうとしていた。

だが、ナイトメアは虚ろな目から怒りに燃えたぎるような目で大剣をリズに向けて投げた。


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