第六話 「敵はだれ?」

ロケットランチャーを放つ前の頃リボとメアリーは霧が覆う大きな城の頑丈で入る隙のない門の前に立っていた。体に縛り付けたロープもほどいてリュックにしまう。

「どうやって入りますか?」

「……っ!」

「うそ」

リボはロケットランチャーを直ぐ様構え始めて、メアリーは慌ててその場を離れた。

その瞬間に弾を発し、メアリーはたまらず悲鳴が漏れる。

弾は頑丈の門と接触すると大きな爆発音と地面が揺れるほどの威力を発し、門は溶け、破片が飛び散る。

「行くぞ」

リボは平然とした表情でロケットランチャーをしまい、敷居を跨ぐ。

メアリーも恐る恐る従って跨ぐと門の溶けた鉄と焦げた植物の匂いがする。

リボは躊躇いもなくロケットランチャーを玄関の重く閉じた扉をも弾を発し、吹き飛ばした。

「あまりにもめちゃくちゃだぁ…」

メアリーは敵に完全に諭されていること思いつつ、破壊された玄関を跨ぐ。

「手荒な客。あまりにも野蛮」

凛と弾むような声が玄関に響く。

リボは敵の姿を探す。メアリーも一緒に探すが、見当たりもしない。

「僕はそんなところにいない」

声が小バカにするように言った。

「ごく最近に白髪の少年と大剣を持つ少年を拐わなかったか?」

リボはキッザーとナイトメアのことを言っている。メアリーはどうか的外れではないことを祈った。

「僕の能力を無視できる子がたまにいる。その少年たちは僕の術中の中です。フフフ。もう僕のお友達になっているわ」

リボは声がする方へ向かう。

「どうしてもというなら勝手に探せばいい。僕はこのドアの向こうにいるんだから」

明らかにリボをからかって楽しんでいる言い方だ。実際声がする方の反対側がドアが開く。

リボは警戒してドアに近づき、通って見せた。メアリーも恐々と通ってまだ見ぬ敵の姿に怯え、苦しむ。

リボはそんなメアリーに目をくれやしない。

部屋を入って暗い部屋に2人は構わず、歩く。

するとパッと部屋全体が明るく照らす。

「……っ」

メアリーは眩しくて目を覆い、なれるまで待った。

「貴様がこの屋敷の主か?」

リボは鼻で笑っているのが聞こえる。

やっと目がなれて敵を見た。そこにはメアリーと対して年がかわらぬ幼き少女だった。少女は不気味ウサギのぬいぐるみを所持している。そしてなんだかこの部屋が寒いと。

「私と変わらない女の子なのに」

女の子は不愉快そうに顔を歪める。

「少女よ。君は僕の術中にはまらなかったのが後で後悔することになるよ。そして僕は君みたいな浅はかな人間なんかじゃない僕は人形」

「えっ……」

メアリーは口を覆い、驚きを隠すとリボでさえわからなかったようだ。目を怪しみながら細めて舌打ちをする。

「お前に聞きたいことがある」

「僕はお前ではない」

少女はなお顔を不愉快そうに歪める。

「では名があるなら聞かせて貰おうか」

少女はにんまりと微笑ましく笑った。

「よろしい、答えましょう。僕はアリス・c・ミランジェ」

「アリス。質問がある。アリスには八つの感情石の一つを所持しているか?」

アリスはそれを聞いてニヤッと不適な笑みを浮かべる。

「確かに僕は八つの感情石である傲慢をもっている。それが何か?」

そのことを聞いたリボは俊敏に動いた。

メアリーはリボがあまりにも速く行動して戸惑う隙もなかった。リボはサバイバルナイフを掴み、アリスの首元に刃を向けて威嚇する。

「さぁ、機内に持っているのだろう。抉り取らせてもらう」

リボは囚われた二人より先にリボの目的である石を優先していた。

しかしアリスは何も言わない。いきなりリボの身体に鋭く鈍く光る鋭利な刃物が貫いた。

「「……!?」」

メアリーからみてリボの身体で見えない。ただ身体を突き破り鋭利が見えるのみ。リボは一瞬なにがあったのか理解ができないでいた。

そのときリボとメアリーが入ってきたドアからキッザーが入ってきた。

「リボ!」

キッザーはメアリーと同様と信じられない気持ちでいっぱいになる。

リボは強い。一撃をもらったのはリボの妹以外見たことがない。しかし今現在でリボは一撃をもらっている。

突き刺した鋭利が力が入って動くとリボは「今」を理解した。リボは直ぐにアリスから離れた。

刺されたが、制御不能となった訳ではない。

「リボ」

メアリーとキッザーが近づく。

「キッザーさん、捕らえらたはずじゃ」

「僕は大丈夫。彼女の術中が浅かったんだ。リボ、聞いて。彼女の術は霊を呼び覚まし、操ること。それで僕も死んだ母さんにあった」

リボはキッザーの顔をみる。キッザーの母親の話も聞いていた。メアリーの様子も伺ってなかったのにリボは相手の能力を聞いてキッザーが少し気にしたみたいだったが、すぐに敵を分析するような目つきに戻る。

「そうか。だから子供は死んだ母親を恋しくなる。それを知っていながらこそそれを付け入り、操った。正体不明の病気を振り撒いて子供を誘拐していたのか」

「あたりです。女性だけが発症する病気はいくらでもあります。君たちは廃墟になった町を通ってきたみたいですね」

アリスは乾いた笑みを浮かべる。少女は動かない代わりに今まで担がれていた不気味なつぎはぎだらけのウサギのぬいぐるみが鋭利な刃物を持ち、ついた油を素早く払って落とす。

「本体はこっち。何を勘違いしているの?」

ぬいぐるみは表情こそはないがアリスは楽しげに笑っている。

「改めて紹介してあげる。少女のほうはアリス・c・ミランジェ。僕はリズ」

アリスはぬいぐるみをつきだして紹介した。


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