第3話 修道服なのじゃ!

 上手く丸め込まれ冒険者からシスター見習いに転職した翌日。


「おはようございますルルさん、本日よりシスターとして務めて頂くことになりますがよろしいですか?」


「うむ!よいぞ!何でも言うがよい!」


 まだ小さく柔らかい手をくびれの無い腰に当て胸を張り、朝から元気いっぱいにハキハキと受け答えをするルル。昨晩お風呂に入ることも出来たので、元から綺麗であった金髪はさらに輝きを増しているように見える。


 そんなルルの頭を撫でながら、ギルは昨日ルルに教会にある居住スペースの一つを個人部屋として与えて別れた後に急ぎ用意した箱を指し示す。


「これはいったいなんじゃ?」


「これからの仕事において重要なものです、とりあえず開けてみてください」


「重要とな!なんじゃろな!……おお!」


 ルルがわくわくしながら箱を開けると中には一着の修道服が入っていた。さっそく箱から出し、両手で広げ掲げるとつやつやと不思議な光沢があり、さらりとした肌触りが気持ちの良い布であった。


「まずは形からはいるのじゃな!……っておおきいぞ!?」


 どんなものなのかと体に合わせて見ると喜んでいた顔が曇っていく。サイズがまるで合っていなかったのだ。かたやこれからに無限の可能性を見せるましまろ矮躯、かたや成熟した女性に合わせて作られた完成された大きさの修道服。


 これでは着たとしてもだぼだぼすぎて、服を着るというよりは服に着られる状態になってしまう。どう反応すればよいのか困っているとギルが笑いだした。


「ははは、大丈夫ですよ。その服は祝福されてますから」


「祝福とな!?」


「ええ、我らが聖霊様のご加護がついてますのでサイズがその人にあった形に変化するんですよ」


「なんと!それはすごいな!」


「でしょう?でもどんなに太っても着れてしまうので、体型の変化に気付けなくなる呪いであると言う方もいますがね」


 教会の服に祝福ではなく呪いがかかっていると言われることもあるなどと笑い話を交えながら説明するギル。それを聞きながらルルは先ほどくすんだ顔を笑顔でいっぱいにしさっそく着てみようと服を脱ぎだす。


 旅をしていたのに不思議と日焼けも傷もない透き通るような白い肌にピンクのベビーキャミソールと、年相応以上にむっちりとした下半身は上と同じピンクの色をした左右を紐で止めるタイプのパンツのみとなった。


 そこに幼児に与える服という事で着やすさを重視したのか、簡単なワンピースタイプであった修道服を頭から被って着ていく。最初は持って確かめた時の大きさだったためだぼだぼであったが、すぐにルルのサイズへと縮んで行きぴったりのサイズとなった。


 サイズを見ていたときは大きすぎて気付かなかったがスカート部分が短く太股のなかばまで終わっており、むちむちとした太股見せるミニスカート仕様となっていた。


 そして頭巾も子供用なのかカチューシャ付きのベールとなっており簡単に装着することができた。通常であれば髪の毛をしまうものだが、カチューシャタイプのため普通に髪の毛を出していた。


「おお!縮んだ!祝福しゅごい」


「そうでしょう、そうでしょう。聖霊様の加護はまさに奇跡なのですよ。しかしちょっとおかしいですね」


「む?なにがじゃ?」


「いえ、本来ならロングスカートになっているはずなのですが、なぜかミニスカートになってしまっているんですよ。あとでタイツかニーソックスを渡しますのでそれで露出を抑えるようにしてください」


「うむ!わかった!」


 こうして謀らずともミニスカニーソの絶対領域を持つシスターが誕生したのであった。

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