第248話 るるる三者面談・・・その1

ついに来た。


わたしには関係ないって思ってたけど、自分の立場というものを今一度認識した。


三者面談。


高校2年生であり、括りとしては一応進学校の次年度に受験を控えた学生のわたし。


午後は授業ではなく、時間予約制の三者面談集中コースだ。


「もよりー、バトンタッチー」


わたしの前の順番だったクラスの女子が出てきてわたしに声をかけた。彼女のお母さんに会釈してわたしとお師匠とで入れ替わりに教室へと入った。


「失礼しまーす」

「いつも娘がお世話になっております」


担任のさゆり先生はわたしたちを見てにこにこする。


「上代さん、お待ちしておりました。さ、どうぞどうぞ」

「や、これはどうも」


わたしは思わず、ぷっ、と吹き出す。


お師匠はさゆり先生と会うのは初めてだ。若くてでもスパッとした気質が滲み出ている先生をみて、お師匠はやや緊張しているらしい。いつもの冷酷一歩手前のクールさが消え失せてる。

さゆり先生は初対面のお師匠の異変に気づくわけもなく、本題に入った。


「ジョーダイさんはまあ最終進路はお寺の跡を継ぐってことで変わらないんでしょうけど、その途中経路はどうしますか?」

「途中経路、ですか?」

「はい。お父さんは彼女を大学に進学させたりということは考えておられませんか? たとえば私にもお寺の跡をついで住職になった高校の同級生がいましたけど、彼は仏教大学を出た後でお寺に入りましたよ」

「それは・・・」


お。


いやー、さゆり先生さすがだな。


実際進学するかどうかはともかく、お師匠がこの手のことをどんな風に考えてるか、興味あるな。


って、わたしは完全に客観的に他人事の見世物のように自分の進路に関するやり取りを眺めてわくわくしていた。

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