第249話 るるる三者面談・・・その2

「お金があれば進学させてやりたいとは思います」


あれ。


何て普通のリアクションだろう。

わたしにとっては当たり前に聞こえたけれども、さゆり先生にとっては、え? という回答と映ったようだ。

さゆり先生はつい遠慮を忘れ、お師匠に対してストレートな質問をする。


「お金、無いんですか?」

「はい、無いです」


お師匠もこれまたストレートに返す。

聞いているわたしはなんだか段々恥ずかしくなってきた。


「あの、お父さん。お寺ってそんなに儲からないものなんですか?」

「・・・儲けるということがそもそも前提にはありませんので。仏様に対する報謝のお布施の中からおこぼれをいただいて生活するのが僧侶ですので」

「いえ、でも・・・変な話ですが、私の同級生のお坊さんは1000万円近くする高級車を3台持ってますよ」

「まあ、中にはそういうお寺もあるのかもしれませんが。そもそもお布施は私のお金ではないですからそんな横着はできません」

「うーん、そうですか・・・ジョーダイさんは? 大学行きたくないの?」

「まあ、行けたらラッキーっていう程度でそこまで執着はありません」

「あら、どうして?」

「なんていうか、大学出ても変わらないというか・・・」

「寂しいこと言うのね」

「とにかく、もよりの意思は尊重したいのですが、現実に大学へ行かせるまでの余裕は今のところありません」

「お父さん、奨学金という方法もありますよ」

「さゆり先生。わたしの成績じゃ奨学金なんてむりでしょ」

「来年までに成績を上げればいいのよ」


さらっと簡単に言ってくれてるけど、それがみんなできないのだ。

みんなにできないということはわたしは余計にできにくいということだと思う。


「ジョーダイさんなら仏教大学の推薦ていう方法もあるわよ」


なんだかだんだんさゆり先生が、サプリなんかのセールスをしてるテレビショッピングの出演者に見えてきた。

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