第105話 クリスマス・フィードバック・ブディズム その16

 葬儀ではお師匠は喪主として参列し、読経は別のお寺のご住職に頼んだ。

 お師匠の心の中までは分からないけれども、おそらく一生で一番辛い時間帯だったに違いない。

 衆生を救う立場に身を置いているはずが、自分の子供さえ救えなかった。

 多分、自分を責めているんだろうと想像できた。

 檀家さんたちは日ごろからお兄ちゃんのことを差し、

「咲蓮寺さんは本当に立派な跡取りに恵まれた。お寺は安泰ですね」

と言っていただけに、慰めの言葉をお師匠にも、お母さんにもかけてくれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る