第81話 初デート? その2

「待たせたかな?」

「いえ、ちょっと前に来たところです」

 奈月さんの趣味なのか、待ち合わせ場所はフランチャイズの古書店だった。

「ちょっとだけぶらぶら見てもいい?」

「はい。いいですよ」

 普段わたしはあまりマンガを読まないので、ちょこっと立ち読みするだけでも物珍しくって結構楽しい。

「奈月さんって、マンガ好きなんですか?」

「うん。これなんか全巻持ってるよ」

 示された棚を見てみると、宇宙人の女の子が地球の男の子の家に居候するという話のマンガだった。マンガそのものは読んだこと無いけれども、中学生の時にアニメでやってたのをちらほら観たことはある。

「さて、どこ行こっか?もよりの行きたい所、言ってみて?」

「うーん・・・」

「普段行かない所とか」

「じゃあ、服屋、とか」

「うん、分かった」

 そう言って奈月さんはものすごい速足で歩き始めた。コンパスはわたしよりもないけど驚くほど颯爽と歩く。そのまま、市で唯一のデパートに入った。

「ここの3階にいい店あるんだ」

 いわゆる、デパートに入っているちゃんとしたブランドの店だ。見るからに高そうなものばかり。

「あ、奈月ちゃん」

「佐倉さん、こんにちは」

 店員さんだろうか。細身の体にダークスーツがびしっと似合っている女の人が奈月さんに声を掛けて来た。佐倉さん、というらしい。

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