第82話 初デート? その3

「あなたは?」

「上代です」

「下の名前は?」

「もよりです」

「もよりさんですね」

 佐倉さんはわたしにごく自然な形で語り掛けて来る。

「それで奈月ちゃん、今日はもよりさんをコーディネートすればいいのかな?」

「うん。佐倉さん、うんとかっこよくしてあげて」

「じゃあ、もよりさん」

「はい?」

「ちょっと試着してみましょうか」

 不思議な状態だ。どういうことなんだろう。

「あの、わたし、買えないんですけど・・・」

 saleの値札が貼られているものでも5万円、とあったりする。無理だ。

「いいんですよ。未来のお客さんへの投資ですから」

 なんだか奈月さんにメイド服を着せられた時のことを思い出した。

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