第41話 少女の主張 脇坂千鶴 その3

 そのまま店を出て軽四に戻りました。

「どうだった?」

 そう訊く母に、

「まだかかりそう」

とだけ答えて目を閉じました。

 同時に、わたしは父の血を受け継いでいる、と強く感じました。

 はたく側とはたかれる側。

 残念ですが、わたしは今まで、はたかれる側の人生を送ってきました。

 だから、里先生が藤田先生の尊厳を傷つけた時、絶対に許せませんでした。

 はっきり言います。

 里先生に対して殺意を抱きました。

 でも、議論を挑んでもやっぱりわたしははたかれる側でした。里先生には歯が立ちません。

 その時、ジローくんが声を上げてくれました。

 本当に嬉しかった。

 そして、もよちゃんは自分の立場がどうなるかも顧みず戦ってくれました。

 わたしは、もよちゃんが好きです。

 もよちゃんのお蔭で高校生活が充実している、と断言できます。

 もよちゃんも、ジローくんも、学人くんも、空くんも、みんな大好きです。

 わたしは責任ある大人になりたいです。

 ”いい大人が・・・”って軽蔑されるようなのじゃなく、本当に”いい大人”になりたいって、そう思います。

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