第39話 少女の主張・・・脇坂千鶴 その1

 こんばんは。脇坂千鶴です。

 今夜は、わたしが皆さんにお話しします。

 まず、”もよ法”は当然もよちゃんが主人公なのですが、どうかわたしの主観で進めるこのエピソードも読んでいただけるととても嬉しいです。

 時はわたしが中2の秋に遡ります。

 その夜は土砂降りの、まだ秋だというのに吐く息が白い寒さでした。

「千鶴、悪いけど一緒に乗って行って」

 母から言われて軽四の助手席に身を滑らせ、シートベルトを締めました。

「ごめんね。あの辺路駐無理だからさあ」

 母の運転で”タバーン”に向かいます。

 その店は結婚式の2次会や簡単な立食パーティができるイベントスペースです。父が勤める会社、正確に言うとその親会社の御用達です。

 父は子会社の販売課長。当日は親会社の執行役員も合流して取引先との親睦パーティーの日でした。

 パーティーが終わった後、帰る足の無い父を迎えるために母とわたしはその店に向かったのです。こういうことは時々ありました。

 いつものように母がハザードランプを点滅させて軽四で待機し、わたしはあとどのぐらいで父が帰れそうか、様子を見に店の中へ入って行きました。

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