第14話 純喫茶アラン その3
あれ?ウェイター、若いなー。高校生?わたしと同じくらいじゃないかな。あのズボンもなんか学生服っぽいな。ワイシャツも制服のやつっぽいし。蝶ネクタイは着けてるけど。学校帰りに来てそのまま蝶ネクタイだけ着けて変身しました、って感じ。
けれどもその後の動きを見て、わたしは自分を恥じた。
一番奥の柱の脇の2人掛けの席にすとっ、と腰を下ろしたわたしに、ウェイターが片手にお盆を持って滑らかな歩みでやって来た。そして、水の入ったグラスをトン、と映画のワンシーンに使われるような気持ちの良い音で置き、その後ろに熱いおしぼりをすっと置いてくれる。
ご注文は?とも訊かずに一連の身のこなしと軽い会釈だけでオーダーを促す。つられて気分良く流れるようにオーダーする。
「ホットコーヒー」
「かしこまりました」
きびきびした動きで彼はカウンターに向かい、マスターと思われる40代半ば位の細身の男性に言う。
「ホット・ワン願います」
「はい、ワンホット」
おー。ホット・ワン”願います”だって。かっこいー。
こういうのがわたしのイメージする喫茶店の風景なのだ。
ウェイターは背もかなり高いし、痩せてて蝶ネクタイと黒の革靴も似合ってる。結構いい感じ。
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