第13話 純喫茶アラン その2
高校に入り、自転車で通学するようになってから行動範囲が急に広がった。
わたしが目を付けたその”純喫茶アラン”は、日々の自転車通学の際に微妙に遠回りをしながらコツコツと探し回り、久々に発見した新しい店だ。
「ところで、”純喫茶”って、何だろう」
古風な感じと少しだけ甘美な響きのその言葉。
しかも、その店は駅前ロータリーの目と鼻の先のごちゃごちゃしたビルの地下にある。すうっと下に続く階段。その地上の入り口のところに、純喫茶アラン、と書かれた小さな看板が置いてある。その看板には「ブレンド350円」の表示。安い。
「よーし」
わたしは勇気を振り絞って階段を降り始める。
すとすとすと、と階段をリズミカルに降りることで緊張感を和らげようとするわたし。我ながらいい精神構造をしてると思う。
降り切って、ふっ、と眼が合った。
「いらっしゃいませー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます