第27話
「やあ、こんなところでボサッとしてないで、さっさと犯人捕まえようじゃない」
「ロマ⁉︎ どうしてここに!」
「いや、『コーヤ・セタフを建造物破壊の容疑で逮捕した』ってニュースが新聞に載ってたから」
「だからって牢屋までくるか⁉︎」
「そうしないと助けられないじゃん。ほら、早く出て」
「いや脱獄したら駄目だろ」
「大丈夫だよ。あのクレッシェとかいう人には話つけてるから。『コーヤくん脱獄させるからその情報を流しといて』って。オッケーってさ」
「……なんでクレッシェさんは許したんだよ」
「そりゃまあ、僕はカミサマですから? カミサマの不思議パワーで一発」
そういうものなのか?
「さて、無事に脱獄したわけだけど、この後どうする?」
「ノープランかよ!何なんだ一体……。まずは何で俺を脱獄させたか聞かせてもらおうか」
「ああそれね。だって真犯人は刀を持ってて、その犯人の隠れ蓑にされちゃったわけじゃない?だからコーヤくんが脱獄したって話が出回ったらまた犯行が起きると考えたわけ」
なるほど。それはそうかもしれない。
「あ、そうだ。コーヤくんに言いたいことが一つ」
「なんだよ」
「寝ないでね」
「はあ⁉︎ 1日中牢屋の中で疲れてるのに寝るなだと?ふざけてるのか」
「いやいや、ふざけてない。コーヤくんに寝られると運ぶのが面倒くさいし。そのまま置いてったら一応脱獄犯なんだから捕まっちゃうでしょ?」
それは確かに。
「それに僕はあくまでも現世での監視役だから君が現世に行くなら僕も行かなくちゃならないんだよ」
そういえば俺の監視役だと、そんなことも言っていた。
「分かった、なるべく寝ないようにするよ」
「よし、じゃあはいこれ持って。刀も持ってきたから。こうしないと君が犯行出来ないでしょ?」
「正確には俺が犯行をしたと思われない、だろ?」
こうして、俺の逃亡は始まった。
大通りでは既に俺の捜索が始まっているようだった。あくまでも静かに。
「さて……時間的にはそろそろ事件が起きそうだけど……。どこの教会かな」
「さあな? そもそも最初の教会すらどこにあるのか知らねえよ」
そんな話をしていると、ドゴォォォォォというような激しい音が聞こえてきた。
どうやら近いようだ。
教会は——教会のシンボルは、木っ端微塵になっていた。
原型をとどめていない。
もちろんこれは裏路地から見ている状況だ。
教会の周りには衛兵たちが集まってきている。
「いやー狙い通りさっそくやってくれたねー。犯人はもう逃げてるみたいだけど……」
「犯人の場所がわかったりしないのか?」
「いやそれが出来たら最初からやってるよ。今の僕は本質こそカミサマだけどスキルとかは普通だから。それにこの姿も仮のものだし」
「じゃあ自分たちでやらなきゃ駄目か」
そんな話をしていると、またもや轟音が鳴った。
「やれやれ、少しは休んだりしないのかな」
「大体何のために教会をぶっ壊してんだ……?」
その後、2、3個ほどの教会が破壊されて夜が明けた。
「分かったことがあるけど、犯人は大きな教会から狙ってるみたいだね」
「そうなのか」
「それに、その教会は全部10年前の事件で狙われたところなんだよね」
「……へぇ。そりゃクレッシェさんたちが案ずるのも無理はないな」
「ま、本当に10年前の模倣をするっていうのなら……」
ロマはその後を言わなかった。
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