第24話
「何も事件が起きてないなんて!」
起こったことを伝えるとロマは開口一番そう言った。
「なんだようるさいな」
「だって事件が起きてないじゃないか! 物語としてどうなんだよ!」
「いや何の話をしてるんだよ」
「この『平×××××××』の話だ!」
「今少し聞こえたのに規制かかった!」
何も起こらないなんて主人公としてどうなんだ、とロマは怒っていた。
「それで? 武器を作ったと」
「そう。 一応日本刀もどきだ。 これなら《変異体》にダメージを与えられるだろ」
「まあ異世界の魂があるから別に日本刀じゃなくてもいいけどね」
いちいちうるさい奴だ。
「で、その武器屋の人は失敗作を奥に置いてたわけね」
「ああ、まあ初めて作ったそうだから仕方ないだろ」
「え、まあそうかもしれないけどさ。……これで何か事件が起こるのかもしれないな」
「おい、今何て言った」
気にしないでよ、と言いつつも何かを隠しているようだった。
不吉な予感がする。
昼。
ロマがどこかへと行ったため、俺は数日ぶりに音野と昼飯を食べていた。
というのもロマのせいで昼飯を食べる時間があまり無かったのだ。
俺はラーメン、音野はうどんを食べていた。
「なんか最近あの露麻って人と話をしてたみたいだけど、今まで話したことって無かったよね。なんでいきなり話すようになったの?」
「え、あ……その。ほら前に大惨事学校の探索に言っただろ? その時帰りに会ってさ。向こうから話しかけてきて」
もちろん全部嘘……でもないか。帰りに会って話しかけてきたのは本当だ。
「それで、露麻も大惨事学校に興味があるっていうから話するようになったんだよ」
「ふーん。この間は睦月さんも加わってたよね」
「あれは睦月が勝手に混じってきて……。何を話してたのか言わないと俺とお前の恥ずかしい話をするとか脅してきて」
「僕とばっちりじゃん!」
思った通りの答えが帰ってきた。
その時。
「脅した覚えはないんだけどなー」
後ろに睦月が立っていた。
「いつからそこに⁉︎」
「んーとね、あの露麻って人の話を始めた辺りから」
本当に神出鬼没な奴だ。
「というか音野も気付かねえのかよ」
「ごめん気付けなかった」
目の前に睦月がいたはずの音野が気付けないとは。こいつ透明人間か何かか。
「で、何しに来たんだよ」
まさかまたどこかへ探検に行くとか言いださないだろうな。
「別に。なんか私の話してるみたいだったから一緒にお昼食べようかと思っただけ」
ふと横を見れば俺の隣にはカレーライス(大盛り)とチャーハン(大盛り)が並んでいた。なんだか胸焼けしてしまいそうだ。
もちろん食べるのは睦月1人である。
「こんなに食って太らねえのか。てか一緒に飯食う女子とかいないのかよ」
睦月が固まった。そして「……天才ってのは孤高の存在なの」と苦し紛れに言った。
自分のこと天才とか言いやがった。
というかこいつは天才というより天災じゃないのか。
**********
「ふわぁぁぁぁ。少し起きるの早かったか……?」
外はまだ明るいとは言えない。
暇だから刀に慣れるための練習でもしようかと思っていたその時、ドアの外がなんだか騒がしいことに気付いた。
「なんだ? 何かあるのか?」
すると、部屋にクレッシェさんが入ってきた。
「おはようございます。どうかしましたか?」
「……コーヤ・セタフ」
クレッシェさんは厳しい口調でとんでもないことを言った。
「建造物破壊の罪で君を連行する」
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