第22話

翌日。

 ユニを正式に仲間としてパーティに迎え、報酬の500億サクルを一人づつ貰った。

 その金をどうするか、と話し合っているとウィンが「武器を作らないか」と言った。

「武器か……ウェポンドールの方が使い勝手いいしなあ」

「でもウェポンドールより威力は高くなるぞ」

 前に言っていた気がする。

「前にも言ったがウェポンドールはドールとしての重さを維持したままだし、何よりその変形に魔力を使ってるから多少なりとも本物に威力は劣る」

 そういえばこいつ……その辺の知識はあるのか。いや、それともベートに教えてもらったのか。おそらく後者だろう。


「私は武器を作るのは賛成ですよ?もちろん、レジェンドになるには全ての武器を使いこなせないといけないからウェポンドールの方がいいけど。まず本物の一つも満足に使えないならレジェンドになれないですしね」

「は?レジェンドになるのは俺だ」

「なんでですか。別に私でもいいでしょう」

 とまあリオさんとウィンが言い合いをしている間に俺はユニと話していた。

「ユニは武器持ってるの?」

「一応ウェポンドールとあと小さい剣を一つ」

「へー。そうだ、武器ってどこで作れるか知ってるか?俺も作ったほうがいいのかと思って」

 すると

「女だから何だっていうんですかっ!」

 と、リオさんの叫び声が聞こえた。

 二人の方を見ると物凄い剣幕で起こっているリオさんと首筋に剣を当てられているウィン。ウィンの首筋の剣は分かると思うがベートである。

 しかしリオさんがこんなに怒るとか見たことないぞーーまあ一週間ちょっとの付き合いではあるが。

「何があったんだよ……」


「つまり、どっちがレジェンドになれるか言い争いをしていて、ウィンがリオさんに対して『女がなれるわけない』とか言って怒らせた、と」

「あの……」

「なんだよ」

「どうして俺は膝に石を乗せられてるんですかね……?」

 今のウィンは膝に石を乗せてーーつまり拷問を受けている状態だ。

「そんなの人を、それも女性を侮辱したからに決まってるじゃないですか」

 ベートが言った。

「そんな!侮辱ならいつもお前らがしてるじゃないか!」

「あ゛?あなたの場合は見て分かることをそのまま言っただけでしょう。文句を言う筋合いは無いです」

「ごめんなさいさらっと首に剣を当てないでくださいごめんなさいごめんなさい」

「……見てて可哀想になるな」

 ベートがブチ切れてウィンをぶちのめすというからやらせてみたが……拷問用具にまでなれるのか。本当は冷静に見えてもそうでないのかもしれない。


 けれども、不思議だったのはそこまでリオさんが怒るということだ。昔何かあったのだろうか。おそらくリオさんの口から聞くことはできないし……。

 本人が怒るようなことは聞かないほうがいいな。

 ウィンはなんとか解放してもらえた。もっとも、一時的なものかもしれないが。


「武器を作って欲しい?どんな武器だい」

「ええっと……こんな武器です」

 鍛冶屋に着いた俺たちは武器を作ってもらうためにウェポンドールで見本を見せていた。

「ふん……見たことない形だな。刃が片方にだけあるのか。で、残りの二人は?剣と杖か。よし、じゃあ料金前払いで……30万サクルだ」

 というので俺たちは躊躇いなくその値段を払った。武器の適正価格なんてものは知らないし、俺たちは三人合わせて1500億サクルあるしな。たったの……500分の1だ。

「……ちゃんとあるな。じゃあ6時間くらい待っていてくれ」

「意外と早いんですね」

「そうか?こんなもんだと思うが」

 まあ6時間待つというのならそうするしかないだろう。

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