第18話

 そいつはこう言った。

「俺ね、カミサマ」


 正直絶句した。まさか第二次の二回だったとは。同じくらいの目線だったから同い年だと思っていた。いやまさか第二次の二回とは。

「——って思ってるでしょ」

「なんで分かるんだよ!」

「だってカミサマだし?」

「ちゃんと説明しろよ!」

「はいはい、分かった。説明するよ。俺はね。君を異世界に転生させた張本人」

「なっ⁉︎」

「の部下」

「どういうことだ⁉︎」

「だからさ、君を異世界に転生させた神様の下の神様なの。いや神様と天使の中間で神様より……ぐらい?の位置にいるわけ」

「そうだったのか……」

「あ、ちなみにアムストラ学院の第三次の一回生だから」

「は⁉︎」

「俺ね、君の監視役なんだよ。こっちの世界での。だから君が音野君の告白を見てたのも見てたし、川に落ちたのも見た。もちろん異世界での行動も見てたしこの大惨事学校に来たのも見た。で、さっきの戦いも全部見てた」

「全部かよ……」

「……なんならこっちで生まれたときからだけどね」

「なんか言ったか」

「何も。まあ早く逃げようよ。誰か来たら大変だよ」

「え、ああ、分かった」

 俺たちはひとまず俺の家に向かった。


「そういえば名乗ってなかったね。俺はこっちの名前では有来露麻「ありたい ろま)。向こうではロマ・ターリーで通してる。よろしく、コーヤ・セタフくん。にしてもセタフって無理ありすぎじゃない?笑っちゃったよ」

「うるせぇ。だったら異世界での名前用意しとけよ」

「いやーそこはちょっとね。色々ゴタゴタがあって。さて何から聞きたい?何か聞きたいことあるんでしょ?」

 そうだ。おれはこいつに色々聞きたかったんだ。

「じゃあ遠慮なく聞かせてもらう。

 まず、なんで《変異体》がここにいるんだ?いや、俺のスキルでこっちに来たのは分かる。でも何で何年も前からいることになってるんだ?」

「あーそれはね、ちょっとふくざつというか……。パラレルワールド、つまり平行世界ってあるよね?」

「ああ」

「その名のとおりそれぞれの世界どうしら平行になってるんだけど、中には一つを除いて何もかもが同じパラレルワールドもあるんだよ」

「何でだ?」

「その世界が始まった時間が違うんだよ。まあこの世界でいうとビッグバンが始まったときかな?この世界より全てが1時間遅い世界ってものがあったり、逆に1時間早い世界もある。つまりそういう世界に行くことがタイムスリップってわけだよ。まあだからタイムマシンは異世界に行くための道具になるわけだよ。

 理論的には他の世界にも行ける」

「ということは《変異体》がここにいたのは向こうの世界から移動するとこの世界で何年か前になって……ん?おかしくないか?じゃあおれは向こうの世界から移動したときに数年後に行ってることになるぞ?」

「それは……ちょっと言いづらいんだけど……」

「なんだよ」

「交也くんは……一つの時間に固定されちゃったんだよね……」

「……どういうことだ」

「つまり、世界の流れを縦線で表すと、交也くんは横にしか移動できなくなってる」

「ということは……」

「最初の世界に戻ったときはまた音野くんが睦月ちゃんに告白しようとするね」

「うわぁ……いやそこじゃない」

 なんてこった。俺はおかしくなってたのか。

 先へは進めず、一度寝たら別の世界に移動して少しを過ごす。それこそ俺が死ぬことになる世界まで。

「まあそんなに気を落とさないでよ。基本的には支障は無いし、なんなら過去を変えることもできるかもしれないしさ」

「……じゃあ次だ。なんで《変異体》には俺しか攻撃できなかったんだ?」

「それは《変異体》の正体に関わるんだけど、《変異体》って×××××××××××なんだよね。だから……」

「待て、今全然聞こえなかった。もう一度」

「あーこれはね……規制がかかってるんだ。俺でも言えることと言えないことがある。話を戻すけど《変異体》がダメージを受ける条件は3つ。

 1つ、異世界の武器。ただし概念だけも含む。2つ、異世界の体。3つ、異世界の魂。これがそれぞれ《変異体》の××××××××じゃないと駄目」

「また規制か。色々きついな。じゃあ俺が《変異体》に攻撃できたのは最初は刀にしたウェポンドールだったから。今は刀と俺自身だったから。というわけか」

「そういうことになるね」

「分かった。ありがとう。じゃあ俺もう寝る」

「オッケー。王都でのセレモニーとかあったら一応気をつけてね」

 分かったよ、と言って俺はロマと別れた。

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