第16話
「で、ここがその大惨事学校なわけ?」
着いてそうそうに睦月が声に出した。
「いやお前が連れてきたのに、なんだその言い方」
小野駅から徒歩で10分ほど歩いたほど近い場所に大惨事学校、もとい"元"小野第三次学校はあった。規模としてはどこにでもあるような大きさで、調べたら部活などもどこにでもあるようなもの、つまりは普通な学校だった。
しかしそこには今は怪物がいるとされているが……。
「怪物どころか校舎に傷一つ見当たんないわね」
そう、怪物は見えない、校舎は昔のまま。古き良き建物が残っていると言えばそうなのだが、手入れもされていない建物が綺麗なままなのは明らかにおかしい。
「まあいいわ。音野くん、ドローン出して」
そう言われると音野は最初から出していましたと言わんばかりにドローンを手に持っていた。
「じゃあさっさと撮って帰りましょ」
睦月がドローンを飛ばし、音野も自分のカメラで写真を撮っている。
それよりも何か視線を感じるような……。
もしかして怪物が見てるのか?
「特に怪しいものは写ってないわね」
「じゃあ帰る?」
「いや、実際に入って中を見てみましょう」
中に入るだと?まあ謎バリアが本当にあるのかも分からないし、怪物が本当にいるのかも分からないから中に入るのはいいのかもしれない。
「駄目ね。確かに変な壁がある。これじゃ入れないわね。こんどこそ帰りましょ」
謎バリアはある。それが分かったことで目的は達成した。無理矢理来させられた探検も1時間足らずで終了した。
帰り際に俺もバリアに触ってみた。すると。
「う……うわ……ぐぁぁ……」
俺は小さく呻き声を上げた。それと同時に耳鳴りと共に俺の頭の中に何かの光景がフラッシュバックした。その何かは、トゲの付いた球体のように見えた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
声が聞こえる。声と言うより叫びだろうか。目の前には大量の兵士、それと真っ二つになったトゲの付いた球体。後ろに見えるのは教会のようだった。手には日本刀のような武器を持っている。
ここは、どこだ?
その場所は見覚えの無いはずなのに、どこか懐かしい感じがした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
気が付けば辺りは暗く、2人はいなくなっていた。かすかに、帰らないのか、と聞かれて「もう少しいる」と答えた覚えがある。
さっきの映像はなんだったんだろうか。夢、としか言いようが無いが、寝ていたのだったら異世界に行っているはずだ。気のせいだったのだろうか。
と、ここまで考えてようやく気付いた。
大惨事学校の敷地に入っている⁉︎
明らかに俺がいる場所は大惨事学校の中だった。さっきまで居たはずの場所が門の外に見える。
「一体どうすりゃいいんだ……」
とりあえず、探索してみることにした。
大惨事学校の地図は頭に入れてきた。小野第三次学校のホームページが残っていたからだ。
「怪しいのは中庭か……?」
小野第三次学校は4つの校舎があり、正方形の形になっていた。何かが隠れているとすればそこしか無いと思った。
そもそも怪物がいる確証は無い。でも、俺の直感が何かがいる、と告げていた。
校舎の一部から中庭が見えそうだったから覗いてみた。
すると、そこには……。
大量の死体があった。
噂は本当だったのか……。
その時後ろで音がした。
ザッ、ザッ、ザッというように。
振り向くとそこには。
怪物がいた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
思わず逃げてしまった。
いくら異世界に行ってたからって現実で怪物が出てきたら落ち着ける訳が無い。いや、実は落ち着けるものだと思っていた。
だが、心の奥で怖くなった理由がもう一つあることが分かっていた。
思わず口に出してしまう。
「どうして倒した《変異体》が出てくんだよ……っ!」
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