第3章*大惨事学校*ダイサンジガッコウ

第14話

「"大惨事学校"、元"小野第三次学校"。開校から30年経ったその年に突如崩壊。地球上では発見例の無い謎の生物が跡地を徘徊している。数は3匹ほど。警察や自衛隊が突入しようとするも何かに阻まれ失敗。5年に渡る監視の結果、内部から出てくる素振りは無かったため警戒は解除された。……っていうのが調べた結果だけど……。やっぱり中には入れないみたいだぜ。行く意味あんの?」

 俺たち3人は学校の図書室で土曜日の大惨事学校探索のための話し合いをしていた。

「分かってないわね。中を見る方法なんていくらでもあるでしょ。例えばドローンを飛ばすとか」

「……僕たちがいる必要ないと思うんだけど」

「何?あんたは見てみたくないの? 安全は確認されてるのよ?まあ多少はね、人が皆死んでる訳だから気持ち悪いかもしれないけど」

 睦月は音野と言い合い……もとい説得をしている。これは音野は確実に連れて行かれるな。

「てかさ、そもそも何で出てこないんだろうな」

 俺はふと疑問に思ったことを口にした。

「さあ?もしかしたらが足りてるからかもね」

「じゃあ足りなくなったら……?」

 俺たちはグロテスクなことを想像してしまった。

「あ、だったら遺体がどれだけ残ってるか見ればいいじゃない。その変なのが出てくるとしたらいつぐらいになるか分かるでしょ」

「でも、もしもうほとんど食べ尽くしてたら?」

「出てくるかもね。そんなときはあんたらが守ってよ」

「俺らが行くことになってるのをあえて見逃すが俺は体力が平均並の帰宅部だぜ?だいたい言い出しっぺはお前だから自己責任で行けよ」

「え、護衛のためにあんたらを呼んでるんだけど。それでもし死んだらそれはあんたらの力不足でしょ」

「いやいやいやいや、何でお前のせいで死ななきゃなんねえんだよ。絶対お断りだ」

「あんたらが死ねば変なのの食糧が増えて出てくるのが遅くなるんじゃない?他の人を守ると思えばいいでしょ」

 呆れた。話が全く通じてない。……死なないようにしよう。


 **********


 アルトはいる、リオさんもいる、ウィンもベートもいる。やっぱりどっちが夢とかじゃなくてどっちも現実なのか…。となると大惨事学校に行くのも現実だから…身を守れるようになったほうがいいのか?

 そう考えているとウィンが話を切り出してきた。

「武器を……作らないか?」

「え、武器?別にウェポンドールでいいじゃないですか。わざわざ作る必要なんて」

「いや、実はウェポンドールはその変形に魔力を使うために威力自体は普通より少し小さいんだ。昨日の《変異体》みたいのが来た時はそういうのがあった方が良いと思う」

「武器というとお前の場合剣だよな。少し走るだけでヘトヘトなのに持てるのか?」

「分からん。ベートしか持ったこと無いしな」

「俺も武器をちゃんと作るのは賛成だな。いざというときにも役立ちそうだし」

「二人がそう言うならいいですけど……。お金は足りるのかなあ」

 しまった。お金の問題があった。全員の所持金を合わせても20000サクルしかない。これだと二人分は作れない。

「……まずはクエストを受けよう」

 二人も頷いた。


「畑荒らしは…もうないな。やっぱり昨日のが親玉だったんだ」

「めぼしいクエストは…見当たらないですね」

「それでも何か受けた方がいいが……」

 その時だった。

『コーヤ・セタフさんとそのパーティの方々はカウンターまでお越し下さい』

 昨日のことの結論が出たのか。そう思ってカウンターへ向かった。


「分かっているとは思いますが、本日お呼び出ししましたのは昨日の《変異体》討伐の件です。報酬についての結論が出ましたのでご報告させていただきます。『《変異体》討伐による特別報酬は王立ギルド本部にての賞与とする』とのことです」

「ギルド本部って…まさか王都ですか!?」

「ええ、正真正銘この国、"ペドワツ王国"の王都"ヨロエズク"のギルド本部です」

 俺たちは《変異体》討伐の報酬をギルド本部で受け取ることになった。史上初のことだから仕方ないのだろう。王都では色々ありそうだ。


 だが、次の事件が起きるのは王都ではなかった。

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