第12話
予想通り、畑には強そうなゴブリンがいた。その中でもリーダーのように振舞っているゴブリンは2mほどの大きさでその体躯に似合う大きさの斧を持っていた。そのゴブリンは俺たちを見つけると俺たちを敵だと認識したのか手下らしきゴブリンに何か命令しているように見えた。
「よし、さっさと倒して帰ろう…ちょ、ウィン!お前には無理だ!」
ウィンが一人で駆け出して行った。すると、ウィンがゴブリン相手にやられていないのだ。まあやられないのが普通だが。とにかく、強くなってるのは本当らしい。あっという間に二匹も倒した。それに感化されたのかリオさんも攻撃を仕掛けた。
『焔の神の力よ、我が肉体、魂、魔力を以ってこの下界に顕現せよ。今、神の焔で邪なる者を滅さん。《
まさか…昨日魔法が失敗したのは…。呪文を詠唱してなかったからか!?
今回はちゃんと詠唱したからか雑魚ゴブリンを一掃した。もちろんウィンはそれを避けている。
なんか…これ普通に勝てそうだな。俺も二人の攻撃を見つつ中くらいのゴブリンを倒していた。
残りはボスのゴブリンとその取り巻きらしきゴブリンのみ。ボスゴブリンに剣で攻撃する。
だが、文字通り『
「何でダメージが無いんだ…」
すると、ウィンがあることを呟いた。
「まさか…これが《変異体》なのか?」
「リオさん、《変異体》って何ですか?」
「何故に《変異体》と呟いた俺に聞かん」
こいつが答えられるのか?まあある程度は知っていそうだが。
「それじゃあ、教えてくれ」
「《変異体》というのは、ざっくり言うと一切の攻撃が通用しないんだ」
……ウソだろ?転生して2日目にいきなりボスレベルのチートな敵が出るとか聞いたことねえ。普通鎧着てるくらいで済んでるもんだろ。
「でも……本当に攻撃が効かないのか?」
「俺も噂でしか聞いたことは無いから本当かどうかはやるまでわからん。もしかしたら皮膚が硬いだけだったのかもしれない」
やる価値はあるってことか…。
どうやってゴブリンを倒すか頭の中で模索していると、やはりあの方法しか無いと思った。もちろん、効かない可能性もある。技の実で手に入れたスキルもどんなスキルかわからない。
そんな事を考えていると…。
このスキを突かれた。
ウィンは吹き飛びベートが治癒。リオさんも反撃しようとして魔力切れ。もう俺しか残ってない。すぐに仕留めなければ。
俺は集中し、ある物をイメージする。1度使ってみたかった物。男子なら誰もが憧れていただろう。
ゴブリンの前に剣を構えつつ出る。自分の方が強いと思っているのか余裕そうだ。あの武器と博打でゲットした何が起こるかわからないスキル。この2つがあれば《変異体》でさえ倒せるかもしれない。
転生特典のスキルで動きを速くし、ゴブリンの懐へ飛び込む。そして、アルトにイメージを注ぎ、同時に件のスキルを発動。
俺はゴブリン共に日本刀で切りつけた。
ゴブリン共に傷が付いた。《変異体》にもだ。すこしよろめいているのを見るとおそらくかなりのダメージだったのだろう。
すると次の瞬間。ゴブリン共が何かに吸い込まれるかのように消えた。もしかするとこれが手に入れたスキルの力なのかもしれない。
リオさんたちも回復したようで立てるようになっていた。
「その武器…一体何ですか?」
リオさんが聞いてきた。そうか、この世界には刀は無いのか。
「あー、これは僕の出身地で使われてた武器ですよ。」
取り敢えず適当に誤魔化しておく。
「見たところ刃が片方にしか無いな。痛っ。……普通の剣より鋭いな。しかも軽い」
意外と褒められたところでギルドに戻ってクエスト成功の手続きをした。
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