第09話

「第三次学校がどうしたんだよ。知ってるも何もここじゃねえか」

「違う違う。第三次学校じゃなくて学校。知らないの?」

「全く聞き覚えが無い。何だそれ」

「え!?交也…大惨事学校の事知らないの…?」

 全く分からん。教えてくれよ。


「は?学校が丸々一つ謎の生物によって壊滅?どういうことだ」

 音野が見せてくれたのはかなり昔のネット記事だった。

「へえ、とある第三次学校が一週間ほどで壊滅。何故か敷地内には入れない…か。何なんだろうな。結構昔の記事みたいだけど今更どうしたんだよ」

「この学校隣町なのよ。だからこの街にも来るんじゃないかって大騒ぎだったのよ。まあ大惨事学校自体知らないんだからこれも知らないと思うけど。それでね、探検に行きたいの」

 は?何を言っているんだこいつは。誰も入れないはずだろ?

「だから自分で確かめたいのよ。ファンタジーじゃあるまいし入れないなんておかしいわ」

「だったら自分1人で行けよ。俺たちが付き合う必要無いだろ」

「私が死にそうになったらどうするつもり?」

「……どういう意味だよ」

「私はあんたらの命救ってやったんだからあんたらもいざという時命の恩人を助けなさいって話よ」

「だったら行くな。はい、これで俺はお前が死なないように注意しました。後は自己責任です。」

「残念だったわね。まだ音野君が残ってるわ。それにあんたは2回命を救われてるからあと1回しないと駄目よ。ちなみに、行くことは確定してるから。止めたって無駄よ。じゃあ今日が火曜日だから今度の土曜日ね」

 それまで言って睦月はどこかへ行った。よく考えたら……家に食べ物あったし飢え死にするところを助けたってのはおかしいんじゃないのか……?


「あいつこんなところに行こうとしてんのか……」

 ふと呟いてしまった。俺は家に帰ってから大惨事学校について調べてみた。どうやら隣町だというのは本当らしい。謎の生物は5体ほど。それが当時学校にいた生徒、教師を全員殺し、それを食べて生きているという。いくらなんでもそんなところに行くのは無謀だ。生きて帰ってこれる気がしない。

 俺は何でこの事を調べているんだ?別に行かなければいいだけじゃないか。それでも調べ続けているのはやはり、昨日の夢のせいだろう。こんなにファンタジーじみた話にはワクワクしてしまうのだろうか。あと3日ある、よく考えないといけない。


 ******************

 ……さてと、今日は図書館のタブレットで昨日の続きを調べようか……、いや待てどこだここ……いや、見覚えはあるんだ、でも自分の部屋じゃない。そして机の上には。まさか……ここは……。

じゃねえか…」

 こんなことがあり得るのか。まさか夢の続きを見るなんて。でもそんな話マンガでしか読んだことないぞ。もしかしたら似たシチュエーションなだけかもしれないしな。

「起きたナ。さっさと行くゾ」

「ぬいぐるみが喋った!?」

「…何馬鹿なことを言ってるんダ?ほら、早くベッドから出ロ」

 どうやら続きみたいだ。このぬいぐるみは間違いなくアルトだ。でもなあ……。

「どうしタ?変な顔をしテ。変な夢でも見たカ?」

 夢?まさか学校での音野や睦月との会話は夢だったのか?もしも俺が生きていたらみたいな夢か?でもまずはこれが現実なのか確かめないとな。

「アルト、俺のほっぺたを叩いてみてくれないか?」

「何でダ?」

「いや、お前が言ったみたいにあまりに変な夢だったからこんがらがってさ。ほらやってみてよ。」

「自分でやればいいのにナ…。ほラ」

 部屋にパシンという音が響いた。痛い。ということはこれは現実か。ぬいぐるみに叩かれて痛いというのもおかしいがここは異世界だからな。さて、異世界生活2日目はどうなることだろうか。

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