第06話
炎は襲ってこなかった。リオさんの杖から出たのは焚き火すら出来ないほど小さい火の玉。夜に驚かせることも出来るかどうかというレベルだ。まあ冒険者なりたてだし仕方ないか。ん?待てよ?
「リオさん、魔法使ったことないんですか?」
「……うん」
「じゃあ剣でも使います?」
「そうしようかな、コーヤ君も使える感じみたいだし」
しかしリオさんの攻撃は一度も当たらなかった。これは…クエストなんて受けるべきじゃなかったな。リオさんは攻撃出来ないし
「こ、これは……」
転生者にありがちな状況だな……と思いつつも俺はこの技に賭けた。俺のステータスに書かれていたスキル。普通は新米冒険者が持ってるようなものじゃない。これこそまさに俺の求めていた転生特典!
「喰らえ!はああああああああ!」
ゴブリン共は弾け飛んだ。
「今のは…火属性と水属性の混合技…。あいつ、本当に新米冒険者なのか?どうやらあいつを認めないといけない様だな」
「凄い上から目線ですね。認めるも何も貴方の方が全てにおいて弱いということは明白です」
ウィン達はそんな会話をしていた。
「さっきの技はそんなに凄いのか?」
「凄いも何も二属性の混合技ですよ!」
へえ、さすが転生特典だ。そんな強い技なのか。
クエストの達成報酬は1万サクルだった。どうやら"サクル"というのがこの世界の通貨単位の様だ。価値としては1サクル=1円といったところか。
「じゃあこの1万サクルを分けて一人5000サクルかな」
すると
「おい、俺を忘れてないか?俺も一緒に行ったんだぞ?」
「貴方は何か役に立ったんですか?立ってないですよね?ですから貴方には報酬を貰う権利はありません」
どうして自分も報酬をもらえると思っていたんだろう。どういう頭のつくりをしているんだろう。
このギルドはクエストを受けた日は飯と宿泊が
**********
なんだか身体が痛いな。昨日のクエストで筋肉痛になったか?そんなことを考えつつ俺は目覚めた。しかし、寝ていた俺の隣に居たのはリオさんでもウィンでもベートでもはたまたアルトでもなく………睦月リオと音野都だった。そう、俺が居たのはギルドの宿ではなく生前の俺が住んでいた家だった。まさか、異世界での一日は夢…だったのか?
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