第04話
冒険者ギルドで俺はとある手続きをしていた。パーティーを組む、またはパーティーに入るか、ということ。もちろんリオさんとパーティーを組んでおいた。それとあと一つ。
「え?ウェポンドール?なんですか、それ」
受付で聞いたのはウェポンドールという言葉。ギルドの人に聞いてみるとどんなものか分かった。ウェポンドールというのはギルドに入ると欲しい人は貰えるもので、パーティー一つにつき一体らしい。その用途はウェポンと付くことからもちろん武器になるものであり、モンスターに負けたときなどの心身のケア、それと武器の持ち運びが楽というものだそうだ。貰えるものは貰っておこうということで貰っておいた。10分後、俺たちのウェポンドール、それは甲冑を纏い羽根を持った灰色の猫だった。
そいつは持っていた紙を広げて見せてきた。
「なになに…"このウェポンドールの名前は'アルト'です。二人分の武器に変化するのでよろしくお願いします。"か」
「という訳だからよろしくナ、新米冒険者ヨ」
今のもしかしてアルトなのか。喋れるなら自分で名乗ってくれよ。
悪かったナとだけそいつは言ったきり後は何も喋らなかった。
「ところでリオさんには目標とかあるんですか?」
俺はふと気になって聞いてみた。
「目標ですか?ありますよ。それはですね……」
リオさんは貯めに貯めてからこう言った。
「"レジェンド"になることです!」
その瞬間ギルドは静まり返り、さらに次の瞬間には笑い声が響き渡った。すると「今"レジェンド"になると言ったのはどこの誰だ!」
そんなことが聞こえた。リオさんが「私ですけど……」と恐る恐る手を上げると一人の男が歩いてこちらに向かってきた。その男は音野都に実にそっくりだった。
「見たところ新米の冒険者だな。ウェポンドールを使わないとだめなのか?」
その男は嫌味を言ってきた。すると男の武器が「貴方も昨日ギルドに入ったばかりの新米ですけどね」と喋った。
お前もウェポンドール使ってるじゃないか。
その男のウェポンドールは小さなドラゴンだった。
「私のマスターが失礼しました。私は"ベート"と申します。この方は……」
「自分で名乗る。お前は黙ってろ。俺はウィン・ストリアだ。お前らはパーティーを組んでいるみたいだな。パーティーを組まないといけないほど弱いのか?」
「貴方はパーティーを組めないほど友好関係が狭いですけどね」
「装備も無いじゃないか。そんなのでモンスターを倒せるのか?」
「貴方のは装備というかその辺で拾ったただの鉄板ですけどね。ほら、ふらついてる。重いんでしょう?外せばいいじゃないですか」
「とにかく、俺の方が先にギルドに入っているしお前らよりも経験がある。レジェンドになるのは俺だ!」
「この方達は確かに貴方よりも後にギルドに入ったようですし経験も無いみたいですがその分能力が未知数ということで貴方がレジェンドになれるかはわかりませんよ?」
ウィンとやらが発した言葉は全てベートに一蹴された。仲間にそうされるなんて虚しくないのか。それよりも気になることがある。
「あの、レジェンドって何ですか?」
「ほら見ろ、こんなことも知らない素人が。やはりレジェンドになるのは俺だな」
「じゃあ貴方はレジェンドが何か説明出来るんですか?さっき資料を見て知ったばかりですよね?」
ウィンはそれ以上何も喋らなかった。
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