第26話 告白なんざされた事ねーよ!

 最近はピクシブなどのイラスト投稿メインのSNSで、気軽に作品を不特定多数に向けて発信する事ができる。

 更に人気ジャンルの二次創作イラストや漫画を投稿すれば、その作品のファンが沢山作品を閲覧し、応援のコメントをくれたりする事も余計にその事態を加速させた。


 オリジナル作品とはアクセス数が格段に違ったからだ。

 しかも同人誌を売れば、元手との差し引きで言えば小遣い程度だが、それなりに稼ぎが入ってきた事も大きかった。


 ちなみに春子さんは優司の同人活動については早々に本人から報告を受けており、最近では漫画家になるには色んな道があるようだし、優司の好きなようにやれば良いと言ってくれたそうだ。


 それから優司はすっかり二次創作にはまってしまい、それなりに充実した日々を過ごしていたが、小さい頃から一緒に漫画を読んだり、しょっちゅう自作の漫画を見せていた優奈とはあまり話さなくなったらしい。


 単純に優奈は漫画やアニメに対してはそこそこ好きという程度だったし、中学の終わり頃、もう自分の漫画は描かないのかと言われて答えに詰まってしまい、それからお互い少し気まずくなってしまっていたようだ。


 しかし、そんな日々が続き、二人とも別々の高校に上がった頃、ある転機が訪れた。

 優奈がコスプレに興味を持ちだし、ジャンルは何でもいいので、今度コスプレを生で見れそうなイベントに行く予定があるなら、一緒に連れて行ってくれと頼まれた。


 ちょうど当時はまっていたアニメの、同人誌即売会に優奈を連れて行けば、どうやらコスプレした知り合いと遭遇したようで、そこから優奈がコスプレイヤーになるのは早かった。


 それから尋ねられた色々な漫画を貸したりしているうちに、優奈とはまた以前のように話すようになったらしい。

 しかし、なぜ突然コスプレに興味を持ったのか気になった優司が優奈に尋ねると、優奈は俺のブログ、コスモ☆クラフトを優司に見せ、コスプレイヤーの+プレアデス+について熱く語ったそうだ。


 その時は特になんとも思わなかったそうだが、後日、同人誌を売っていたとあるオンリーイベントで+プレアデス+本人と会った時、優司は衝撃が走ったらしい。


 優司曰く、ブログの写真を見た時は、どうせ画像修正をがっつり入れているのだろうと思っていたが、実際に本人を前にしてみれば、むしろ写真よりも可愛いんじゃないかとさえ思ったそうだ。


 更に後日、自分の同人誌を気に入ってくれたのか、ピクシブやツイッターで声をかけてくれた+プレアデス+の事が気になり、+プレアデス+のブログのバックナンバーを全て読んだり、ツイッターでの発言を遡れる範囲まで見たりしたらしい。


 全て読み終わる頃には優司の好み、どストライクな+プレアデス+に、淡い恋心のような物を抱いていたそうだ。

 それから優司と同じく+プレアデス+に憧れていた優奈とはまたその話題で盛り上がった。

 その時点ではまだ好きな芸能人について語り合うような感覚だったらしい。


 それから度々+プレアデス+とはイベントで会ったり、SNSを通じて話すようになり、三人で遊ぶまでになった。

 優司は会う度にどんどん+プレアデス+に惹かれていった。


 ある日、

「もしすばるさんと一緒に暮らせたら、毎日超楽しいだろうなあ……私毎日遊びに行っちゃう。むしろ、すばるさんがいればずっと家でもいい……結婚しよ」

 と、ふざけ半分に優奈が言った。


 後から確認してみると、優奈が朝倉すばると結婚したい。毎日デートに出かけてしまいたくなる。いや、家デートでもいい。という意味だったらしい。


 だが、その時の優司は、もし将来すばるさんが優司と結婚したら、毎日二人の家に遊びに行くのに。という意味にとり、優奈が自分の朝倉すばるへの恋心に気付き、応援してくれていると誤解したらしい。


 その後はしばらく三人で出かけたりしていたのだが、優奈が突然

「冬に自分は他に用事があるので、今年は我が家のクリスマスに参加できないわ」

と言い出した。


 特に優司は何も聞いておらず、せっかくなので優司も思い切ってすばるにクリスマスに一緒に過ごさないかというメールを送ってみた。

 すると、すぐにすばるから自宅でクリスマスパーティーするので来てねと返事が来た。


 一瞬、あらぬ期待をしたが、家でやたら浮かれている優奈を見るうちに、まさかと思い、当日念のため三人分のチキンを持参し朝倉すばるの家に向かえば、当然のようにすばるだけでなく優奈もいて、だよなと納得すると同時に非常にがっかりしたらしい。



 そしてここからが本題なのだが、恐らく朝倉すばるは今まで会う時はほとんど優司と優奈がセットだったため、自分達が恋愛的な意味の好意を向けているとは気付いておらず、またそういう目でも見ていない。


 どうやったら彼女の好感度を上げつつ自分を恋愛対象として意識してもらえるかと言うのが優司の相談だった。

 ちなみにこの相談にたどり着くまでに三時間かかった。


 俺と違って優司は背も高いし顔も整っているし、結構モテるのではないか? と尋ねてみたところ、今まで何度か告白されて付き合った事もあるが、全員趣味の話をすると思っていたの違うと言って、大体一週間以内に別れる事になったそうだ。


 確かに、見た目は少女マンガの相手役に出てきそうなのに、中身は訓練された重度の萌え豚だもんなぁ、と、俺は妙に納得した。


 今までの女の子は萌えやヲタクに対して拒否反応を示していたけれど、すばるさんは自分でもコスプレしてるし、自分の同人誌に興味示してくれたし、その辺は理解があると思う。と前置きをした後で優司は一呼吸置いた。


「でも、そもそも女の人とどんな話したら好感持たれるのか全く解らない……」

 沈痛な面持ちで優司は言う。


「今度、優奈がすばるさんを二人っきりで初詣に誘うって言ってて、僕もすばるさんと二人でどこか出かけたいけど、なんて誘ったらいいのかわからないし、そもそも緊張して上手く話せる自信がない。というか、今までずっと言われる側だったから、どうやって話したら女の人と付き合えるのか解らない……」


 チラッと余計な一言が聞こえた気がしたが、本人がそれどころじゃなさそうなので黙っていてやることにした。


 俺なんて今まで生きてきて告白なんざされた事ねーよ!

 女装している時は本当の俺で無いのでノーカウントだ。


 そこで、どうやら彼女がいる上に、ふざけて押し倒してくる位、気安い関係の女友達までいる上に、朝倉すばる本人とも知り合いらしい俺に、どうやったら意中の相手を振り向かせられるかついて聞きたいらしい。

 そんなん俺が聞きたい。


「それに、すばるさん美人だから、大学の人間が絶対放っておくはずない……早くしないと」


 深刻な顔で優司は言うが、そもそも朝倉すばるなんて生徒は俺の大学には在籍していないので、そんな心配は全く必要ないのだが。


 だが、普段クールな優司からコレだけ赤裸々な話を聞かせてもらって頼られたとあれば、兄として悪い気はしない。


 雰囲気に飲まれて、思わず兄貴風を吹かせつつ、あれこれ優司にしたり顔でアドバイスしてしまった……つらい。

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