第13話

 魔法使いとなる儀式はこれで終了となった訳だが当然のように、これで全てが終わる訳ではないのだ。

魔導灯カンテラ。魔力を流す事で光を放つ魔導具だね」

「魔導具? 魔法のアイテムって事?」

「簡単に言えばそう言うこと。道具そのものに魔法の力を加えて、簡単に扱えるようにしたものだね」

「で、これ何に使うの?」

「あぁ、これはね魔力を通すと光り出すんだよ」

 そう言うと、手の中の水晶が仄かに白く光り出す。

「思ったより地味だな」

「何言ってんの。これの凄さがわからないなんてモグリだよ」

 何の? とは敢えて突っ込まずに眺めていると、浅葱はなおも説明を続ける。

「それにこれは魔法の基礎の練習用に最適なの」

「これが?」

「そう。例えば、こうやって魔力の量を増やすと……」

 そう言うと、水晶の中の光が強くなり、

「こうやって魔力のを変えれば……」

 そう言うと、水晶の中の光が白から赤に変化する。

 更に更に、力を込めれば中の色がグラデーションを描く様に色鮮やかに変化する。

「魔法ってのは素人からするとどうしても分かりにくいから、こうやって目に見える形にすれば復習しやすくなるからね」

 ほら、と言って魔導灯を手渡しす。

「ってイヤイヤ!いきなり何言ってんの⁉︎」

 対して浅葱はキョトンとした様子。

「いやー、実践しなきゃ指導も出来ないし……」

 コイツは本気で言ってるのか? と忠泰は考えるが、見るに冗談の類では無い様子。

 まさか……、と嫌な考えが頭によぎるが、「まさかね」と追い出し、その魔導具を受け取って見ると、どう見ても何だか普通の水晶玉にしか見えない。

「で、どうしたらいいの?」

「魔力を流せばいいんだよ」

「だから、それが分かんないんだけど……」

 ひょっとしたら、と言うまさかが確信に変わった。

(やっぱり、!)

 冗談でも何でもなく本気も本気。

 肩を上げて、指を動かし、声を出す。

 彼女はきっとそんな感覚で魔力を流す。

 手の動かし方などどうすれば教えられるというのか?

「ゴメン。どうすりゃいいの?」

「……」

 その言葉に浅葱も黙る。こんな事でつまづくなんて誰も思って無かったようだった。

 こんな形で忠泰の修行は開始数分で行き詰まりを迎える。

「「どうしよう?」」

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