第九章 キメラ

第25話 朝の訪問者

この日の朝、三人は食卓を囲み、朝食をとっていた。


「ジーナ、味はどう?」


「うむ、美味い。これはなんというものだ?」


「それはね、ポテトサラダっていうの。気に入った?」


「ポテトサラダ・・・毎日でもいけそうだ」


ジーナはリスのように頬張り、ポテトサラダに夢中になっている。

大人びた口調とは裏腹にやはり幼さもまだ残っており、そんなところをリコは大層気に入っていた。


するとホームの扉が二度叩かれた。

朝からの来客に、リコは軽く口元を拭くと立ち上がり玄関へと向かう。


「はいはーい」


そこには中性的な顔立ちにメガネをかけた青年が、一枚の紙を握りしめ扉の前に立っていた。

リコは彼を中に通し話を聞くと、どうやら元デザートイーグルのホーム、現オールドイーグルを訪れたところレイナにこの場所を紹介されたようだった。

持っていた紙にはここまでの地図と、話を聞いてあげてくれというレイナの手書きの文まであった。


「俺はウェル・バーギンだ」


「僕はエドウィン・クラプトンです」


「どうしてデザートイーグルのホームに?」


「ええ・・・実は10年前、僕の村が魔物の被害で困っていたところ、助けていただいてからずっと夢でして」


ロックの死により、それも今では叶わないことだと知ったエドウィンにウェルはいたたまれなくなった。


「そうだったのか・・・恥ずかしながら、この勇士団は作ったばかりで団員は3人。ランクもブロンズなんだ」


ゴールドランクで活躍したいのなら紹介をするとも言ったが、エドウィンは首を横に振った。


「ランクにはこだわりません。デザートイーグルの意志が残っているのなら、僕をここに置いて頂けませんか」


ここまで言われて断る理由もない三人はエドウィンを歓迎した。

まだジーナが入って間もないというのに、四人目の仲間が加わった。


「エド・・・って呼んでもいいか?」


「はい、もちろんですよ」


「じゃあエド、どこかポジションはできるのか?」


「一応、サポーターなら」


エドはバッグから一本の笛を取り出し、それをウェルに見せた。


「へぇー、これで音を奏でるんだな。後で見せてくれよ」


「はい、もちろんです」


それからの四人は協会へ行き、ジーナとエドの勇士となる書類の手続きを済ませた。

ひとまずホームへ戻ろうとした時、受付の者がウェルを呼び止める。


「ウェル・バーギン様、少々よろしいでしょうか」


「どうかしました?」


「只今シルバーランクのパンサークロー勇士団が、ある魔物の討伐に向かわれているのですが・・・」


総出で魔物の討伐に向かったパンサークロー勇士団は、かれこれ一週間音沙汰がないためホークハート勇士団に様子を見に向かってほしいという内容だった。

ウェルはこれを承諾し、四人でその場所へと向かった。

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