第14話 遺跡
ウェルはまずガブルの荷物が気になった。
「ガブルさん、その肩にかけている物は何なんですか?」
「これはマンドーラという楽器だ。俺はサポーターだからな、これで支援する。それと俺のことはガブルでいい」
話してみると案外怖くなく、ひとまず胸をなでおろす。
すると協会の扉が開き、中へ招かれた。
「デザートイーグルさん、フォレストベアーさん、キングコングさん。朝方からお呼びたてして申し訳ございません。ご説明の方をさせていただきます」
六人は席につき、協会の役員の話に耳をかたむけた。
「依頼主は商人。王都へ品を運ぶ途中にある森で、数か月前から濃い霧によって進めないためその原因の解決をしてほしいと」
「私どもは調査と聞いておりましたが」
ハーレはすぐに食い違いを指摘する。
「ええ、原因不明なため今回皆様に頼みたいのは調査までです」
「つまり霧の原因だけわかればいいわけですね」
「そういうことです」
話を終えたウェル達はすぐに出発し、森へと向かった。
「間違いなくここだな」
聞いた話の通り、森は濃い霧に覆われていた。
まるで一度入った者を外に出さないかのように。
「行こう」
ウェルが先頭に立ち、先へ進んでいく。
するとフェイが何かを木に巻いていた。
「フェイ、何をしているんだ?」
「目印っす。この濃い霧の中を進むならすぐに迷いそうなんで」
それは赤い布きれだった。
「よくそんなものを持っていたな」
これにはガブルも関心していた。
この森は昔からあったが、地形が悪いため中心部まで人が入ることはまずなかった。
鳥や他の動物すらいないこの森は、外とは思えないほどの静けさを保つ。
「とても静かですね!なんだか不気味ですよ!」
ナヤの声は森全体へ響くのではないかというくらい大きかった。
「おいナヤ、もう少し静かに話せ。もしこの霧の原因が魔物だったらどうするんだ」
「ご、ごめんガブル・・・」
ガブルのその言葉で大人しくなったところで、ハーレが何かに気付く。
「皆さん、あそこのあれ・・・見えますか?」
指さした先には、濃い霧ではっきりと見えなかったが何かがあることは全員わかった。
それはこの森の中には相応しくない、石でできた門。
目の前までくると、それはどうやら遺跡のようなものだった。
「入ろう、この中を調べなくちゃ・・・」
中は暗く、六人は松明の灯りを頼りに先へ進む。
狭い通路を進んでいくうちに、ウェルは徐々に下へ向かっていることに気が付いた。
「地下へ進んでいるのか・・・」
「そうみたいだね、この森にこんな遺跡があったなんて・・・」
リコは怖がっているのか、ウェルの背中にピッタリとくっついていた。
さらに進んでいくと、開けた場所にたどり着く。
そこは広く、中央には祭壇のようなものがある。
ウェルは祭壇に近付くと、その上には長細い木でできた箱があることに気が付いた。
しかし蓋は開けられ、中身はすでにない。
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