第五章 鷲、熊、大猿
第13話 共同調査
初の依頼をこなしてから、ひと月が過ぎた。
オークとトロルの討伐を終えた後も、いくつか簡単な依頼を済ませたウェルはこの日もまた次の依頼書に目を通していた。
「ウェル、リコ。少しいいか?」
朝からどこかへ出かけていたロックは、ホームへ戻るなり二人を呼び出した。
「なんでしょう?」
「今協会に呼び出されていたんだが、お前ら二人に行ってもらいたい依頼がある」
話を聞くと、数か月前から調査の依頼があったが、どの勇士団も引き受けようとしないため頼まれてほしいという内容だった。
しかしデザートイーグルも手が余っているとは言えなかった。
他所もたかが調査の依頼でそこまで人員を割けないのが、ここまで誰も引き受けなかった理由だろう。
かといってこのまま調査を進めないわけにもいかない協会側は、依頼の報酬金を上げいくつかゴールドランクの勇士団を指名することにした。
デザートイーグルが今回その一つだったというわけだ。
「つまり、俺ら以外にもこの依頼を請ける人がいるってことですか?」
「そういうことだな」
「私は別に構わないけど、どの勇士団が参加するの?」
「グレッグとウォーレンのところだ」
それは以前、ロックが会っていたフォレストベアーとキングコング勇士団だった。
「共同調査って・・・そんなに大規模な依頼になるんですか?」
「さぁな、だが報酬金を跳ね上げたってことから察するにそれなりの人手は必要になるってことだろう」
次の日、ロックから伝えられた集合場所に二人は向かった。
その場所とは協会前。
なんでも全員揃ったら協会側から詳しい話をするということであった。
「リコはフォレストベアーやキングコングと一緒に仕事をしたことがあるのか?」
「うーん、ないね。・・・まぁあっちもこっちも顔見知り程度ではあるけど」
二人が協会前に到着してから、全員集まるまではそう時間はかからなかった。
フォレストベアー勇士団、二名。
キングコング勇士団、二名。
リコ以外は全員男というメンバーになった。
ウェルとリコは自己紹介を済ませると、他も続いた。
「フォレストベアー勇士団、ハーレと申します」
「・・・ども、フェイっす」
ハーレは整えられた髪型に首元まで隠れるローブを纏い、愛想のいい笑顔を浮かべている。
フェイは目元まで隠れる前髪でどこを見ているのかわからず、その言葉遣いからしても掴みどころのなさを感じた。
えらくマジメと適当なコンビが来たなとウェルは内心思っていた。
「おはようございます!キングコング勇士団、ナヤといいます!」
「同じくキングコング勇士団、ガブルだ」
ナヤは元気、というよりはやたら声がデカいやつだった。背中には布で巻かれた大きな何かを背負っている。
ガブルは髪の毛一つ生やしておらず、黒いレンズの眼鏡をかけた姿からは少なからず圧を感じる。
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