第五章 予兆
1
「どこかしら、とてつもなく邪悪なものが蠢いている。いまはまだ、ちいさな点にすぎないけれど、怨念の波動は強烈だわ」
「場所は特定できませんか」
「だめよ、わたしの力ではだめ」
真吾に応えている夏子の横顔をみながら、隼人は道場にケイタイをいれた。
真吾をブジに救いだしたことを祖父につたえた。
「それで夏子は……」
祖父は鹿未来とかわった。
「そうなの、夏子。わたしも感じている。夏子のいる場所からは北の方角よ……そこまでしかわからない。トウキョウの夜の一族は、南に去っていったとすると、なにがこうも邪悪に蠢いているのかしら。よこしま波動がひろがっている。だれかを呼んでいるみたい」
「お母さん、わたし北にいって見る。ここにいて考えていてもなにもわからないもの。でも……これから起きることは、ぜんぶわたしに関係あることのように思えるの。鹿沼にもどってきて、故郷、鹿沼の土の寝床で休んでいたときに、そう感じたの。お母さんに呼ばれてこの故郷の土をふんだときから、わたし宿命を感じた。駅におりたとたんに、隼人と会った。わたしが、恋をするなんて……そして彼がわたしたちの、お母さんの家の子孫だなんて……時の流れのなかで、わたしに、させようとしている、なにか、させようとしているものがあるのよ。それがなんであるか、わからないの」
病室にもどる。真吾が八重子に事情を説明する。
おれたちは、北にむかう……。
おれたちにもなにが起きるか予断できない。
「あたしもいく」
「ダメダ。八重子と早苗でみんなの看病をたのむ」
「女の子の仕事なんて、あたしにはむりよ。それに、ここは完全看護なの」
「トミオとタカシが死んでいる。明日になれば、プレスの連中が押し掛けてくる。それをサバケルのは、八重子だけだ」
隼人のルノーを、真吾と高見、矢野はバイクで追尾する。国道4号線を北上した。平成通りを左折、鹿沼インターで高速にのった。
東北縦断道路だ。あまりこんではいない。とくに、下り車線は空いている。
2
牙がくいこむ。鋭い牙だ。ナイフのように鋭く鋼色に光っている。ぶすと音をたてた。真吾の首筋に楔となってうちこまれた。真紅の血が頸動脈から噴き上がった。赤い噴水だ。
真吾の目は反転した。黒目が瞼にかくれる。白目となる。顔がひきつる。手が虚空にある。
なにかつかもうとした。もがく。なにかにすがろうと虚空で指がふるえてといる。ズルッと音をたてて吸われている。
ズルッ。真紅の血が吸血鬼の唇から滴った。真吾が血を吸われている。真吾の顔がみるまに、ひからびて縮んでいく。青ざめて死相……真吾、わたしの愛する真吾がふりかえる。
白い目は八重子の像をうつしていない。八重子は、動けない。足が動かない。金縛りに合ったように、体が恐怖でかたまっている。なんとかして助けなければ。動けない。わたしの真吾、真吾がわたしのまえで死んでしまう。悲鳴をあげた。
イヤーァ。
声はでた。
声だけは必死であげた。
誰かきて。
誰か、わたしの声をききつけて助けにきて。わたしの真吾を助けて。声だけはだすことができた。
……八重子は目覚めかけていた。
体は金縛り。まだ動けない。疲れていた。たてつづけに、理解をこえた、異常なことが起こりすぎた。それにしても、これは夢だ。夢を見ていたのだ。覚めかけた夢のなかでまだ考えていた。なぜ吸血鬼なんかが現れたのだ。
真吾がバールを突き立てるようにと――叫んでいた。
王子のパーテイは、いつからあんなに強くなったのよ。へんな技をくりだしてきた。ひとりだけバールを突き立てたら消えてしまった。そうよ。ほんとうにあいつ一瞬灰になって、消えてしまったのだ。胸にバールをつきたてられて……消える……。灰になる……。あれって、やはり、吸血鬼なのだ? 夢うつつの中で八重子は考えていた。
悲鳴がしていた。こんどこそはっきりと目覚めた。
悲鳴は八重子の口からでていない。
集中治療室の横の廊下。長椅子に座っていた。
うたた寝をしていた。となりに早苗もいる。
治療室の扉が開いている。
悲鳴はその奥でしていた。
集中治療室の扉がひとりでにひらいた。自動扉だ。
治療室の側にひとが立てば扉は自動的に開く。
なんのふしぎもない。
治療室から医師か看護婦がでてくる。
そうしたら弟の病状を訊こう。……あれは病気なんかじゃないけど……でも誰も出て来ない。
八重子は不安になった。信じられないことばかり起きている。八重子は立ちあがった。治療室で悲鳴が起きた。
八重子はかけこんだ。
キャャァァ。
真っ赤な布がおちていた。布はすこしもりあがりぴくぴく蠢いていた。赤い塊はナースであったもの。赤い布はナースの白衣であった。八重子にもはっきりと見ることができた。
超近代的な医療器具の狭間に――。
おぞましい爬虫類の青い表皮におおわれたQが――。つぎなるナースを生け贄にしょうとして抱え込んでいた。
鋭い歯はまさに白い喉もとに当てていた。鉤爪が赤くそまっていた。それを長い舌でペロリとなめている。口から伸びた舌が、なんと床に流れた血も吸い込んでいる。たのしんでいる。
ナースは恐怖に耐えられず、失神していた。
吸血鬼は殺戮をたのしんでいるのだ。
「おれのオヤツをどこにやった? おれの、餌をどこにかくした」
「それならここよ。あんたの相手はわたしよ。なに血迷っているの。わたしが見えない」
「おまえ、そこにいたのか。キンジとかいうボーヤとなるほどおなじ血の匂いがする。姉弟だな。ボーヤはどこだ。おまえらの血は勇ましいだけ純粋だからおいしいのだ。おれ好みだ」
「わたしが相手よ。吸血鬼さん」
八重子は確信をもって相手が吸血鬼であると認識した。そうわかってしまえば怖いもの知らずの八重子だ。八重子は恐れていなかった。
真吾に見えて、わたしに見えなかったものの実体をいまはっきりと視認できた。真吾との再会が彼への愛をさらに深めた。それで異界のものをみる可視能力がたかまったのだ。
敵の正体がみえた。
相手は、人外魔境に存在する吸血鬼。それがみえる。うれしかった。
この敵を倒すため。真吾とともに闘う。もう離れない。真吾から離れない。これからは、いつも共に闘う。
夏子さんと隼人さんのように。
真吾と生死を共にする覚悟はできていた。
八重子の感覚がワンランク向上しのだ。
人の目でははっきりと捉えることが出来なくても、心の目には見える。
目に見えないものの実体を見透かすことのできる眼力が備わった。
弟を捕食した。
餌とした。
復讐する。
この目の前の吸血鬼を倒す。
そうだ。
敵は王子の奴らではない。
吸血鬼だ。吸血鬼だったのだ。
敵が吸血鬼だから、真吾はわたしを置いていったのだ。
「光りをあてて。こいつは光りに弱いはずよ」
可働できるかぎりの光源が吸血鬼にむけられた。医師や看護婦、ベッドの患者にはこのものはどんな形ちに映っているのか。わからない。しかし、医療チームの全員が、さすが血は見慣れているので動揺した気配もなく、臨戦体制をとった。騒ぎをききつけ警備員や看護師がなんにんか飛び込んできた。医師がおおぶりのレザーメスをかまえてきりつけた。ナイフできった。バールでなぐった。でも傷つかなかった。爬虫類の分厚いごつごつ凹凸した膚。いまや興奮しているためか埋没鱗があらわれていた。
レザーメスがくいこんだ。鱗がとびちった。緑色の血がふきだした。さすがにこの色は視覚でとらえることができるらしい。
「このひと緑の血を流している」
「なんなんだ、これは特写か、トリックか」
医師は看護婦を見た。看護婦は医師を見た。
八重子は点滴のポールを吸血鬼につきたてた。手元が狂い太腿にささった。
「あのままトウキョウにもどると思ったのか、おろかもの。南に去るとみせて、いまごろ、北は、那須山麓におれたちの仲間が集合している」
「だましたのね」
「麻の鞭を振る男と、破邪の剣をもつもの、そしてあのバンビーノ相手では分がわるかったからな。だがあいつらは吸血鬼の群れのなかにいまごろつっこんでいる。みな殺しだ」
「逃げる気」
吸血鬼Qのからだが霧のように消えていく。
目だけが最後まで赤光をはなっていた。
「せっかくきたのに、逃げる気……さあ餌はここにいる、弟の敵をうってあげる。さあおそってきて」
「いきがけに、食事していこうとおもったが、まあ……これで満腹とするか」
声だけがひびいてきた。
「早苗さん、金次のことたのむね」
八重子の胸騒ぎが現実のものとなろうとしていた。
真吾たちは吸血鬼の群れのまちうける真っただ中につっこもうとしている。
3
八重子は携帯をうちまくった。
レデイス『空っ風』のOGにかけまくった。
登録してある全員に連絡した。
旧車會 のセンパイ。知りうる限り。ありとあらゆるところに、携帯でSOSを発信した。
「あんたらのダチにも、みんな先のとがった戦闘用のパイプ持参の招集かけて。連絡できるかぎりのダチに、緊急出動をかけてよ。これは戦争だからね」
自治医大の広い駐車場。『黒髪連合』の精鋭は治療中の仲間を気づかって全員を残ってた。
黒く浮かびあがるかれらのバイクのかなたに――。茫漠とした関東平野が広がっていた。
遠く国道4号線を車両が光茫をひいて輻輳していた。さらに遥か、彼らが戦った石橋の雑木林が見えていた。
真吾の親戚のもの、ふいに現れてわたしたちを助けてくれた皐隼人と夏子さん……。
こんどはわたしたちが恩を返さなければ。
義理が廃れれば、この世は闇よ。
闇につよいは、吸血鬼。
だけどわたしも野州の女。
鬼を倒して、生きていく。
演歌もどきのメロデーが頭にひびく。
八重子はごきげんだ。八重子は那須山麓のほうに目を転じた。夜空があかい。小雨をもたらしている雲間に月が赤い。なにか不吉なことが起きそうな空の色だ。赤すぎる月だ。
バンと縦に揺れた。大地が跳ね上がった。
地鳴りがする。
縦揺れ。地下が突き上がるような地震だ。揺れは一度だけで治まった。
地鳴りはつづく。なにか巨大な獣が、地下で呻いているような薄気味悪いひびき。いや、竜が目覚めたのかもしれない。この、関東八州の地下には竜がいる。それがときどき暴れるのだ、とジッチャマに囲炉裏端で聴いたことがある。遥か北の大地から縦断してきている那須火山帯で巨大な地竜が蠢きだしたのだ。
眞吾には伴走を止められた。駐車場にいたものたちがどよめきたっている。金次たち仲間のようすを心配していたものたちが急に活気づいた。
リーゼント。
長ラン。
特攻服。
眉をほそくそり……。
80年代最後のつっぱりのイキをのこしている。全国でもめずらしいここ宇都宮の暴走族『黒髪連合』だ。
ケイタイを掛けまくる。
バイクの音も高らかにかれらは鹿沼のインターに向かった。
4
那須へ。那須へ。
いまは伝説となっている。
レデイス『空っ風』の元リーダー。
生きながら野州の伝説の女となっている八重子。
その八重子の勇姿が蘇ったのだ。
八重子の周囲はレデイスが固めた。
興奮のため泣いている。
はやくも鹿沼インターをでた。
百台近いバイクが加わった。宇都宮の駅前で巡幸していたグループだ。
「八重子さん、おひさしぶりス」
「声かけてくれて、ありがとうス」
「八重子さんたのしませてもらいますよ」
「なにが起きてもひるまないで」
「もちろん、命は八重子さんに預けます」
「八重子さんとご一緒できるなんて夢みたいです」
「わたしたちもよ」
話しでしかきいていなかった八重子。レデイス仲間の
戦闘服に身を固めた勇猛な姿を見てみんなが奮いたっていた。
「わたしのカレが先にいってる」
「真吾さんですね」
「わたしカレとともに闘う。敵は、敵はヒトではないのよ」
「ワタシタチダッテ、ヒトデナシと罵られていますから」
この場に臨んでジーョクがとびたした。バイクの集団はスピードをあげた。
真吾、しんご、シンゴ。わたしが行くまで戦いを始めないで。
シンゴ。しんご。真吾。愛している。愛している。これからはどんなことがあってもいつも一緒にいよう。いつも、どんなことがあっても、隼人さんと夏子さんみたいに。いつも一緒にいる。離れているのは……いやだからね。離れない。離れない。離れない。
愛してる。
愛してる。
愛してる。
死ぬまでいっしょだよ。
死んでもいっしょだよ。
愛してるからね。
夏子さん、隼人さん。
まだ仕掛けなで……わたしたちが行くまで、オイシイとこ残して置いてぇ。
5
夜の空に赤い月がでている。
無幻斉と鹿未来。直下型の地震に誘われて道場の外に出ていた。
「これだったのですね」
「やはり玉藻の前の封印が解けかかっている。はやくいって封印しなおさないとたいへんなことになる」
「もう遅いかも知れません。わたしが感じていた不吉な予感はこれだったようです。わたしが棺の中の長い眠りの中で不安に耐えきれず夏子に呼びかけたのは、このときのあることを予知してのことだった……まちがいないわ。……隼人さんと夏子が危ない……」
「封印されているものの巨大さがわかっていない。ふたりだけでは、むりかもしれないな」
「殺生石の噴煙がとだえたから、那須火山帯の活動は休眠状態にはいったという、県のあやまりの情報にまどわされてはいけなかったのだ。那須岳火山防災マップをくばった気象庁の判断が当たってしまったな。水蒸気噴火は約百年に一度の割合、溶岩流などが伴うマグマ噴火は数千年に一度。その一度が巡ってきたことになる」
無幻斉はレンターカーを呼ばせた。
「小型バスを三台だ。通いの道場生にも非常招集をかけるんだ。そして吸血鬼との戦にそなえた武器をつめこむのだ」
「押忍」
住込みの道場生があわただしく準備にかかった。ふつうの剣道場ではなかった。破邪の剣、死可沼流を修行するのは親戚縁者同族の子弟だ。結束はかたい。すでに吸血鬼との戦いを経験している。
那須山麓にむかって出陣する。
6
妖気の発現点がルノ―のカーナビにも映っていた。赤い不吉な炎。怪しく揺らいでいる。
だいいちインプットされてもいない映像が映るというのもおかしい。カーナビをとおして、隼人は幻覚を見ている。人には見えない。それが見えている。その、怪しく燃える炎……を見てしまう。
人であって人ではない夏子。
彼女と行動をともにしている。隼人。彼にも人を越えた能力を発揮することが可能になった。剣道で鍛え上げている。強靭そのものの筋肉だ。その身体的パーワーアップはいままでに自覚していた。そのうえ、直感能力や予知能力までついてきたようだ
不可視の炎を見てしまう。あまりいい心地のものではない。
不安がある。
フロントの向こう。広漠とひろがる那須野が原に、妖気はたゆたゆとたなびいている。
隼人の視線の先で。妖気は彼を招いてでもいるように揺らぎ。ただよい、ふくらみ、縮み、燃立つ炎は強くなるばかりだ。
「見えた。あそこだ」
「わたしにも見えた」
隼人も夏子もそこが、どこなのか、場所は特定できない。部屋だ。地下の石室のビジョンだ。ふたりの頭に同時になだれこんできた。
「隼人は,九尾の狐の伝説を知っているかしら?」
「殺生石の話ですね。むかし、殷の国王紂が、妃の妲己を愛して酒色に溺れ、国をほろぼした。周の幽王。天笠は摩掲陀国の班足王。と誑かし、あげくのはてに吉備真備が唐からかえるさいにその船にひそみ隠れてわが国にわたり玉藻の前となり帝をまどわした。あの傾国の美女の話でしょう」
「すごい記憶力ね。でも……それは、社会科の教科書で学んだのよね。でなかったら、小説とか、漫画とか……」
「バレタ……]
隼人がいたずらっぽく笑う。
「妲己ちゃんのことは、藤崎竜の『封神演義』でベンキョウシマシター」
「時の鳥羽院が毎夜衰弱した。原因は玉藻の前だ。陰陽師が封じ込めた。ところが、わたしが伝えきいた話しはすこしちがうのよね……」
どこだ。カーナビに古典的な美貌の女性が、ふいにうかびあがる。ものめずらしそうに、あたりを見回している。どうして、カーナビに女性が映るのだ。
夏子に似ている。輪郭しかわからない。背景がない。
髪が見える。顔立ちはわかる。
細い美しい髪が肩にながれている。髪の線まではっきりと見える。背景がうつらない。
どこに、いるのかわからない。
隼人と夏子がめざす那須の方角だということだけは確かだ。
悲しんでいる。
ハイウエイを走る車がかすかな、低周波の震えをとらえる。
いや、車の中の夏子と隼人だからこそかんじられる地鳴りをともなった微動だ。
悪意の波動だ。
「ゆれている。那須火山帯が動きだした。女の悲しみにシンクロして、火山帯が戦慄している」
「殺生石からふきだしていた噴煙がとだえたと野州新聞にでていたわね」
「那須火山帯にはもう噴火をおこすエネルギーが枯れたのだろう、と地震研究所のコメントがのっいた」
「それは、ちがうのかも……。地下のマグマの流れが変わったのかも知れないわ」
「九尾の狐。玉藻の前の霊が蘇るのか」
「わからない。玉藻がわたしを呼んでいる。中国から渡来した、伝説の九尾の狐が。夜な夜な皇帝の血を吸ったという吸血姫の祖が、わたしを呼んでいる。わたしは彼女の悲しみを理解していた気がするのよ」
隼人にも予感があった。
黒い悪意の波動の中に閉じ込められている。
それはいままでにない強烈なもので、粘性のゼリー状をしていた。
そのなかに飲み込まれたら窒息死することまちがいなしだ。
「招かれている」
「ひきよせられていくわ……」
「もどることはできない……かな。いまからだったらまだ間に合うだろう」
「心にもないこといわないで。わたしのこと心配してくれるのはありがたいけど」
「戦うべきときは、戦かわなければならない」
「わかってるジャン」
夏子がわざとおどけた。しかし、緊張をときほごそうとしている。おどけることがさらなる緊張をうんでしまった。
ふたりは黙った。
ルノーのルーフに初秋の雨が降りだした。
しとしとと時雨が北関東の夜をぬらしていた。
「ダメだ。ハンドルがきかない」
「わたしを呼んでいるのよ。わたしが行けばクルマは運転が利くようになるはずよ」
「だめだ。夏子」
隼人が引き止めた。夏子は窓から身を乗り出した。妖気に吸い込まれていく。
夏子は蝙蝠に変身した。黒い羽をひろげ、またたくまに、小さな点となる。
「後からきてェ」
夏子の絶叫が隼人の心にひびく。
いままで上げたことのない悲鳴。
エコーとなってなんどもひびく。
すさまじい妖気がうすれ、運転機能が回復した。
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