十八歳
私は涙が溢れだした。
こんなにも隣に人がいて欲しいと思ったことはなかった。
今すぐ泣き崩れたかった、倒れかかる私を支えてくれる人が欲しかった。
友達みたいに話せる母親が隣にいたら、母はなんて言っただろう、まっすぐで思ったことをしっかり言ってくれる結衣がいたら、結衣はなんて言ってくれただろう。
周りで喜びや悲しみを分かち合っている人がいて騒がしいこの場所は、きっと毎年こうなのだろうか、そして次の日にはいつも通りに平然と、人がいない静かな飽き飽きした日常に戻っているのか。
この感情をいつか忘れて、非日常は日常へと変わり、毎日当たり前のようにこの大学に通うことになるのか。
涙をこらえるのに必死だった。
今すぐ泣き崩れてもいいのに、なぜこらえてるのかもわからないけど、泣きたくなかった。
こんなにも頑張ったのは初めてだった。
高校の受験は成行きで、その時の私が狙えるところを狙って、深く考えなかった私は毎日漫画を読んだり遊んでばっかりで母親に怒られながらも、ちょっと勉強しただけ受かった。
部活と同じように、私はこんなに真剣に物事に打ち込んだことはなかった。
そんな私の、
生まれて初めての、精一杯の努力だった。
その日、私の未来が決まった。
そして、私は18歳になった。
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