努力
気づくと大学の職員と思われる人達によって紙が張り出される所だった。
周りのみんなも気づいてより近くに集まり、私はその波に飲まれ中に引き込まれる。
ぎゅうぎゅうになりながらも結果の張り出される紙を見上げると、ちょうど職員がスルスルと紙を広げ張り付けていく。
このぎゅうぎゅうさが高校の時の満員電車に似ていて懐かしく感じた。
ほんの少し前までそんな環境で毎日学校に行っていたのに、たったの数日乗ってないだけでこんなにも懐かしく感じるのか。
私は1人でまた、悲しくなる。
隠れた紙から次第に見える数字の桁数が大きくなっていく。
次々と公開されてその度に周りから泣きそうな声で喜んでる人や、友達と一緒に嬉しがってる人、家族と喜ぶ人の声、それと同じように泣いてる人の声が次々と聞こえてくる。
でも、もう周りのその声も聞こえなくなるほど私の心臓の音が強く大きくなっていく。
息が出来なくなるほどの緊張感が、私を押し寄せてくる。
高校で部活をしてない私は甲子園のような涙を流したことも、バスケットボールのように一点を競ってコートを走り敵と対峙する緊張感も味わったこともない。
中学の時はテニス部に入っていたがそこは主にガールズトークが飛び交う場所で、引退試合は毎年恒例の一回戦負けだった。
そんな私が、卒業してから毎日想像していた、この時が来た。
次々と、将来この大学に通うことの出来る人が、数字として表されていく。
そして
…私の番号は…_________。
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