【第14話】バトル×洞窟内部
「アカオ、そろそろスピード落として」
エルダがアカオの肩を
「ここからは私も臨戦態勢で進みます」
続けてリオがそう言って降りようとしたので、アカオはいったんメタリュックを停止させた。リオが降りてすぐにポシェットから端末を取り出し操作すると、自分の身体の倍近くもあるガトリング砲が音もなくふっと現れた。
「はーいっ! あたしも降りて戦いまーす!」
ララミーもそう言ってぴょいっとメタリュックから飛び降りて二丁拳銃を構えた。
「アタシはコレに乗ったまま攻撃するわ。そろそろライトも消して」
エルダはそう言って、長銃を構えながらメタリュックのレーダーをのぞき込んだ。
「レーダー反応ナシね。壊れてるんじゃないでしょうね」
アカオはサーチライトを消すと、不満げにレーダーを見やった。
「故障はしてない。そもそも、ここに来る前に見た、消えた反応がずっと引っかかってたんだ」
「ちょっと待って。確か地上で反応していたのが、位置的にこの地下に入ったあたりから消えたってことよね」
「そういうことになるかな」
「そして今もまったく反応ナシ」
「そう――、あ!」
アカオは何かを思い出したように膝をぽんと打った。
「もしかして……」
「このレーダー、地下に対応してないんだった」
「アナタね……。やっぱり消してやろうかしら」
エルダは銃を構えた手をぷるぷると小刻みに震わせながら言った。
「みんなっ! 見てみて! この中すごいよっ」
すでに
「こら! ララミー! そんな大声出したらアタシたちの潜入に気づかれるでしょうが!」
エルダはララミーよりも大きな声でそう叫んだ。
「入口あたりには動体の気配は感じません。このまま奥へ入っても大丈夫だと思います」
リオは自分の身体よりも大きなガトリング砲の
「ったく。あの二人は慎重さに欠けるわね。アカオ、静かに速く行くのよ」
「はいはい、了解」
アカオはエルダに言われた通りにメタリュックの歩を
「地下なのにかなり明るいですね。植物も生息しているようです。しかも、地上のような原始的なシダ類ではなく、針葉樹や広葉樹の木々、草花も見えますね。事前情報にない環境です。これではまるで――」
リオはあたりをきょろきょろ見渡しながら言った。
「地球だ……。しかも、今の地球じゃなくて、かつての青い星の頃の――」
タタンッ!
アカオがあたりの景色を見渡しながらそう言っている最中に隣から突然銃声が響いた。
「敵だったわ。たぶん」
白く長い銃を構えたままエルダが言った。撃ち終えた彼女はその撃った何かを確認しに行け、とばかりにあごで合図した。アカオは、彼女が言った『たぶん』という言葉が気になったが、何かが倒れたであろう場所に向けてメタリュックを走らせようとした。
「お姉ちゃんっ! まだ貫通してないよっ」
ララミーはそう言って走り出すと同時に、エルダが銃弾を放った茂みから何かが飛び出してきた。
タタタンッ! タタンッ!
ララミーの二丁拳銃がリズミカルに火を噴いたかと思うと、飛び出してきた二体の影が同時にはじけるように跳ね上がった。
「リオちゃんっ! 横一列およそ10!」
ララミーはそう叫んだかと思うと、すでにリオの背後に回り込んでいた。
「了解です」
アカオたちを取り囲むように勢いよく謎の生物が飛び出すか出さないか。その一瞬にリオはガトリング砲で、有無も言わさぬ集中砲火を浴びせた。リオの背後にいたララミーも、弾丸の雨の中に時折撃ちこんでいた
凄まじい銃撃音と舞い上がる砂煙ではっきりと何が起こっているのかアカオにはわからなかったが、隣のエルダはすでに銃を下げていた。
「終わったわね」
「殲滅完了です」
アカオは何度か彼女たちの戦いぶりを見てきたが、今回の戦闘でそれぞれ役割が違うのだとはっきりとわかった。遠距離のエルダ、中距離のララミー、近距離のリオ。戦闘に関してはまったくのド素人のアカオだったが、そのバランスの良さ、組み合わせの妙に鳥肌が立った。
「はーいっ。終わり!」
ララミーはそう言って二丁拳銃をくるくると回し、腰元のホルスターにしゅっと収めた。もうもうと立ちこめていた砂煙がおさまってきて、彼女たちが撃ち倒したモノが見えてきた。
「なんだよ……。こいつらは……?」
アカオは声を震わせながら言った。
「どうやら今回の任務、一筋縄で終わらせてくれそうにないわね」
エルダはそう言ってメタリュックから飛び降りると、ララミーたちの側へゆっくりと向かった。
彼女たちの足元に転がる十数体の死骸。それは、人間の形をした恐竜、もしくは恐竜の形をした人間のどちらかだった。
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