17
新たな執行官がやってきた。楽しみだなあ。
どんな奴だろう。声を聞いた感じでは若かったぞ。ヤツダみたいな三十路間近のオッサンはもういいよ、ほんと。飽きたから。
足立はその場からしばらく動かずに様々な妄想をめぐらせたあと、高揚する心身そのままに夕飯の残りの冷飯を食缶からかき込んだ。缶詰のひとつくらい残しておけば良かったかな。まあいいや。
「天におわします神よ。この罪深き私をお
数多の罪人が体液を落とした畳を舐めると、やわらかな苦味が走り、その棘が舌をちくりと刺した。そうか。これが罰だというのなら、私は甘んじて受け入れましょう。神さま仏さま悪魔さま。
共用廊下と階段を忍び足で行くと、眼前には自身の影を映した死体があった。今はもう、ヤツダでも、屍体でもなく、命の蒸発した死体、
「かわいそうに」
顔がこっちを向いていないので、向くように顎を思い切り手前に引いた。鼻や口から血とも脳ともとれない何かが流出していたが、それでもいくらかマシになった。
なんて、なんて
足立はいてもたってもいられず、立ち上がって紐の抜かれたスウェットをおろし下半身を露出した。
ならば。足立は放尿した。その放物線は風と光を受けて輝き、
身震いしてから、足立は気付いた。銃創にもっと注いでやれば、内側も浄化できたのではないか。しくったなあ。しくった。もう、くそ。
ならば。ならばだ——。
ややあって、足立が房の扉を閉じる頃、照明に半分照らされた土の上には、股間に鉄筋棒を突き刺された体と、銃創に精液を溜めた頭だけが残された。そして、我に返って足立は思った。俺はなんて汚く、醜いんだ。「少年A」、そんな大層なものじゃない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます