第10話 時間とポーション

3日目はそこまで長くゲームをしてなかったので授業に影響は出なかった。


それに今日は金曜日だ。明日のことを考えずにゲームができる。って言ってもやることなんてほとんどないんだけどね。しかも、クロエさんにいろいろ管理されているし。そのせいで、自由に外にも出られないよ。


まあ、こんなステータスだからいけないんだけどね。


そういえば、昨日は結局時間の表示を見つけることはできなかったし、自分で調べてみますか。


掲示板を見る?そんなことするわけないじゃない。絶対後悔するからな。


まずは、1日目と2日目に大体同じ時間にログインしたら、3日経っていたから、時間は3倍になっているはず。それで、2日目は22時から1時までやっていたから、リアル時間で3時間。ゲーム内時間で9時間ってことになる。


ってことはリアルで8時間経てば、ゲーム内では1日経ったことになる。


でも、基準がわからない。どの時間で区切られているか。


まあ、そこはゲームで太陽?が真上に来た時ログアウトしてみれば大体わかるかな?


ということでとりあえずログインして太陽?が真上に来たらログアウトしてみますか。ほんとこんなこと掲示板とか、攻略サイトとかですぐにわかるんだろうけど。そんなことしたら、絶対落ち込むのが目に見えているからな。


いつも通りの時間にログインして、いつも通り独房からスタートして、いつも通り薬草採取をやって今日は早めに全てを終わらせてきた。


そして、日が真上に来る少し前に独房に帰り、ログアウトした。



ログアウトすると、0時であった。


ゲーム内の正午とこちらの0時が同じくらいということだな。ということは、半日過ぎるのに4時間かかるから、こちらで4時くらいのとき、ゲーム内では日付が変わるってことか。


つまり、4時と12時と20時に日付が変わるってことになるな。


ってことは、僕って朝の6時頃にギルドに行っていたのか。そんな朝はやくからギルドってやってるんだな。


ほんと、このくらいのことなら、掲示板とかで確認した方が早かったな。でもそれはしたくなかったから仕方ないけど。


まあ、これでリアルにいるとき、ゲーム内での時間がある程度把握できるようになった。だから、それに合わせてログインができるということだ。逆にゲーム内にいるとき、リアルでの時間もある程度は把握できるということだ。


それじゃあ、またログインしますか。今日は金曜日だからな、まだゲームしていても問題はない。明日も特に予定はないし。リア充でもないので。



ログインし直してもあまり時間は変わっているようには見えなかった。


クエストに行くのもいいけど、なんかクロエさんにいろいろ言われそうでいけないんだよな。というか、受けさせてもらえないなんてこともありうるな。


ということは、ポーションの作り方でも学びに行きますか。


そういうわけで独房から出て、近くにあるポーションの売っている店に行くことにした。


あ、そう言えば、店なんてほぼ行く必要がなかったから、どこにあるか、わからないや。またクロエさんに聞こうかな。


ということで、店に行く前にクロエさんに聞こうと思ったが、今、かなりの冒険者が受付の前で列を成していた。なので、聞きに行くのはやめた。たまには自分の力だけでなんとかしなくちゃいけないし。



案外早くポーションが売っているところは見つけることはできた。ギルドを出てすぐのところにあった。が、やはりギルドの前なので、かなりの列を成していた。ギルドでああだったんだから、こうもなるよな。


他のところでも探しますか。


しかし、この選択は間違っていた。


それから、いくら探してもポーションの売り場らしきところは見つからなかった。ギルドの前で並んでいればよかったと後悔しても遅かった。街の人に聞かないのかと思われるかもしれないが、コミュ症のそんなことできるはずがない。クロエさんの場合は仕方なかったからだ。


そして、ようやく他のポーション売り場を見つけたときには、もう辺りは暗くなっていた。それに路地裏にあってかなり暗く感じた。こんなとこにあって繁盛するのか、疑問である。


もう暗いからやってないかもしれないが、それでも一応は行ってみる。もしかしたら、夜遅くまでやってるかもしれないし。


恐る恐るドアを開けると、カランカランと鳴り、中から誰か慌ただしく出てきた。


「い、いらっしゃいませ」


そう言って中出てきたのは、女の子であった。しかもかなり可愛い感じで、金髪の美少女である。そしてなんと!耳が長いではありませんか!そう、エルフっ子である。この街に来て初めて見た。というか、人生で初めてみた。


「あ、あのー、どうかしましたか?」


おおっといけない。我を忘れるところだった。、


「いえ、なんでもありません」


「そうですか、ご来店ありがとうございました」


「いやいや、まだ何も見てませんし、買ってませんから!」


「え?買っていただけるのですか?!」


「いや、買いしないけど」


「そうですか」


「その別の用事がありまして」


「そうですか。それで用事とはなんですか?」


なんか、そこまで凹まれると言いづらいんだけど。


「あ、はい。ポーションの作り方を教えてほしいのですが」


「わかりました。それではこちらに来てください」


あっさりと了承したことを疑問に思い、質問してしまった。


「え?そんな簡単に教えちゃっていいんですか?」


「ええ、問題はありません。というか。今はかなりポーションの類いが不足してる状態なんで、むしろポーションの作り方を教えるのは推奨されているんですよ。まあ、うちのポーションは全然売り残ってますけど」


「うっ、すいません」


「いえ、こんなところでしかも回復量もそこまで高くないので仕方ないですよ」


それから、なんとも言えない空気が流れたまま、奥の方について行った。


奥は工房っぽくなっていた。なんか怪しいことでもしていそうな雰囲気だ。


「それでは説明していきますね」


「はい、よろしくお願いします」


「まず、薬草を用意します。そしたら、スキルを使い乾燥させます」


「あのー、乾燥のスキルがない場合はどうすればいいですか?」


「その場合は、手動で乾燥させてください」


「え?手動って?」


「そのままの意味です。どんな手を使ってでも乾燥させてください」


「例えば?」


「例えば、日当たりの良いところに干しておくとかですね」


「なるほど」


「いいですね。そしたら、紅茶を淹れる要領で水に浸けてください。十分色がつけば完成です」


「え?そんな簡単にできるんですか?」


「ええ、これが一番簡単で一番効果が高くなります。他にもすりつぶしたりとかありますけど、こちらは劣化ポーションになるので気をつけてください」


「はい、わかりました」


「それと乾燥させ方の違いでHPの回復量が変わるので、これも気をつけてください。そこまで乾燥させないとHPの回復量は減りますので」


「そうなんですか」


「そうなんです。それと、数回作ってしまえば、後は調合師のスキルにポーション作成と言うのが追加されます」


「なるほど。ありがとうございました」


「どういたしまして。まあ、これは誰にでもできる方法でこれ以上に効果を高める方法はいくらでもあるのでそちらは自分で見つけてください」


「何から何までありがとうございました。そういえば、ここってMPポーションは売っていますか?」


「か、買っていただけるのですか?!」


「え、ええ。折角来たので。MPポーションは使い道がありますし」


「そうですか♪それでは店内の方に戻ってください♪」


売りものがある方に戻ってから、妙にテンションが高くなっていた。一体エルフっ子に何が?売れてないって言ってたから売れて嬉しいのかな?でもそこまで喜ぶものなのかな?


「それで何個お買いになられますか?」


「取り敢えず5個で」


「そんな5個も買っていただけるのですか?」


「まあ、これくらいあっても困らないだろうし」


「そうですか、それでは合計で500ゴールドになります」


「はい、500ゴールド──ってどれで足りますか?」


そう言うと持っていたすべてのコインを一種類ずつ出した。一種類ずつ出したのは、一応盗まれていいようにだ。


「え?」


「い、いや、今までまともに買い物もしてなかったもので」


「そ、そうなんですね。うーんと、じゃあ教えますね」


「はい、お願いします」


「まずこちらの銅色の小さいコインが銅貨と言われているもので1ゴールドになります」


「ふむふむ」


「それでこちらの銅貨より大きい銅色のコインが大銅貨です。こちらは10ゴールドになります」


「なるほどなるほど」


「次にこちら銀色の小さいコインが銀貨になります。こちらは100ゴールドになります。それで最後にこちらの銀貨より大きい銀色のコインが大銀貨です。こちらは1000ゴールドになります」


「ってことは銀貨5枚で足りますね」


「そう言うことになります。それとこちらにはありませんが、金貨、大金貨、白金貨、大白金貨があります。まあ、このあたりは貴族とか、Bランク以上の冒険者しか基本持ってませんね」


「なるほど、大白金貨1枚で1000万ゴールドになるってことですね」


「そうですね。そんなお金持ってみたいです。まあ、ほぼ無理でしょうけど。あ、それではお会計の方をしますね」


「それじゃあ、銀貨5枚です」


「はい、ちょうどですね。MPポーションをどうぞ。ありがとうございました」


「あ、それとMPポーションも作れるのですか?」


「はい、作れますよ。ただMPポーションは、それ専用の素材があるので、その素材がないと作れませんし、今の時期は採りに行くのが大変なんでやめておいたほうがいいですよ」


「そうなんですか。ありがとうございました」


そして僕がMPポーションを貰って出て行こうとしたとき、後ろか声が聞こえてきた。


「これで久しぶりにご飯が食べられる」


そこまで売れてないのか。


ちなみに残金は、10700ゴールドだ。……そう考えると5000ゴールドって結構高額なんだな。


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