第9話 ジョブ
その日も結局、昨日、一昨日と同じ時間にログインした。
ログインしてまず目にはいるのは、独房の個室だ。3回目だが全然慣れる気がしない。
いつまでも気にしていたって仕方ないので、独房から出てきて、昨日と同じくクエストをやっていこうと思う。ただ、昨日みたいにやり過ぎるといろいろと大変だからな。クロエさんとか、学校の授業とか。
そういうことで、今日は少し自重しようと思ったわけだ。
昨日同様、この時間なら受付は空いていた。あ、時間と言えば、このゲーム時間表示ってどこなんだろ?少し調べてみたがよくわからなかった。
よくわからないままクロエさんのところへ行った。
「あ、零さん、今日も3日振りですね。連続で2日も来ないなんて何かあるんですか?」
「そうですね。まあ、前回やり過ぎたのもありますけど、いろいろあるんで」
「そうですよ。もう、あんなことはしないでくださいね」
「わかってますよ。それで、今日もクエストの方をよろしくお願いします」
「わかりました。ですが、ほとんどが薬草集めですよ?それでも大丈夫ですか?」
「はい、以外と採取も楽しいんで」
「はあ、ほんと零さんみたいな人が増えてくれるとありがたいんですけどね」
「ん?どういうことですか?」
「いやね、最近新しく登録した人って軒並み討伐クエストしかしなんですよ。それはそれでありがたいんですけど、さすがに採取系のクエストが処理しきれなくなってきてるんですよ。だから、やってくれる人が少しでもいてくれると助かるんですよ」
「なるほど。僕の場合は採取クエストしかできないんですけどね。ははっ」
「あ、ごめんなさい」
「いえ、気にしないでください。元はと言えば僕がわるいんですから。それよりクエスト方お願いします」
「そうでした。えーと薬草集めでいいんですよね?」
「はい、それでは今日はどのくらい集めますか?」
なんか、すごい笑顔だった。しかし、笑顔だからこそ怖かった。
「え、えーと、とりあえず今日は100本くらいで止めようと思ってましたが……」
「それなら、大丈夫ですね。く・れ・ぐ・れ・も無理はしないでくださいね」
「りょ、了解です。それでは行ってきます」
「はい、がんばってきてください」
それから、僕は昨日と同じ場所を廻ってみた。そしたら、3日前採ったはずなのに、もうかなりの量が生えていた。
いやー、ほんと不思議だ。たった3日でここまで生えるとは。流石はゲームだ。
ということで、今日は自重しなければならないので、数を見ながら集めていくことに。
そうそう、このアイテムボックス入っている物も分かるし、数も分かるのだ。だからかなり便利なのだ。
僕は北の方に来ているのだ。すなわち、昨日も北に行っていたことになる。なぜ北かは、単純だ。最初北の方からきたからだ。まあ、そんなわけで北に来ているわけだ。相変わらず移動は瞬歩でしている。
まあ、そうこうしている内に薬草が100本集まった。
うーん、まだ時間があるし、また集めに行きま──。
「!?」
辺りを見回すが何もなかった。でも今すごい悪寒が走ったのだ。なんかやばそうなので大人しく帰ろうと思う。
そして、薬草100本ぴったり集めて帰ってきた。
「零さん、本当に100本集めてきましたね」
「ええ、まあ。本当はもう少し集めようとしたんですけど、すごい悪寒が走りまして、帰ってきたんですよ」
「ええ、そうですね。あと1本でも多く採ってきてたら、怒れたんですけどね」
「え?」
本当に100本で止めておいて良かったと思ったよ。また、1時間も説教されたくないからな。
「それでは精算の方していきますね。今回は100本あるので、この辺りをやればちょうど100本使えますね。それで、この辺りで大丈夫ですか?」
「はい、それでお願いします」
「今回は合計で1200ゴールドです。はい、どうぞ」
「ありがとうございます、それじゃあ今日はこの辺りで帰ります」
「あ、ちょっと待ってください」
「はい?なんですか?」
「零さんってMPどのくらいありますか?」
「え?言わないといけませんか?」
「いえ、無理にとは言いませんが。最初に登録したとき1000ありましたよね?」
「は、はい」
「それだけあれば、ポーション作成もできるはずなのですが、してないのかなと思いまして」
「え?そんなこともできるんですか?」
「はい。それに薬草で売るより、ポーションの方が高くえ売れますから。それに、ポーションなどを使うクエストもありますし」
「なんでもっとはやく言ってくれなかったんですか?!」
「いえ、知っているのかと、それに2日間も来ないので作成でもしているのかと思ってました」
「じゃあ、なんで今回聞いたんですか?」
「それは、ポーションのこと一切触れないんで常識も知らないし、もしかしたらと思いまして」
「あ、そういうことですか。こちらもなんかすいません」
「いえ、気にしてないんで」
「それでどうすればポーションの作り方がわかりますか?」
「それは、ポーションを売っているところに行けば教えてくれますよ。それとジョブに就いてないと作れません」
「あー、そうですか。というか、ジョブってなんですか?」
「やはりそこからですか。いいですか、ジョブというのは、技能を高められるものです。つまり、何かのジョブに就いていれば、それだけで今以上に強くなれるのです」
「例えばどんなことがありますか?」
「えーと、例えば魔法系のジョブに就けば、魔法が使えるようになります」
「それって、魔法系のジョブに就いてないと魔法は使えないってことですか?」
「いえ、そうではありません。中には魔法系のジョブに就いてないけど、魔法が使える人はいます」
「なるほど。それで、どこに行けばジョブに就けますか?」
「このギルド内のあちらの方でできますよ。それとステータスによって就けるジョブは決まりますので」
「ありがとうございます。それではさっそく行ってみますね」
そのジョブに就けるところに行って、就けるジョブを見てみたら、見事に生産職にしか就けなかった。まあ、こんなステータスじゃしょうがないよね。ほんとマジでどうしよう、こんなステータスの振り方して。
それで結局、調合師というジョブに就いた。これなら、ポーション作成もできるらしいし。それに他のジョブは、僕には合っているとは思えなかったし。
この日はこのまま、独房に帰ってログアウトした。今度は前と同じ部屋に入れた。
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