第6話 初クエスト 2

そして僕は惜しげもなく瞬歩を使い続けて移動をしていた。


【ピコーン】


「?!なんだ?!」


あまりにも薬草探しを夢中になっていて急な音の発生にいつも以上に反応してしまった。


【瞬歩のレベルが上がりました】


なんだレベルアップかよ。まったく驚か──。


【ピコーン】


「ひぁい?!」


二度も来るなんてわかるはずもなく、さっき以上に驚いてしまった。そのせいで、変な声が出てしまった。


【MP回復速度上昇を覚えました】


そんなスキルもあるのか。というか、スキルは覚えられるのね。これはいい発見ではある。とそんなことを考えながら、急な音に気をつけていた。二度あることは三度あるって言うしね。


しかし、しばらくしても音は鳴らなかった。


「こないんかい!?」


こなかったおかげで少し落ち着くことができたので、スキルを確認してみることにした。


えーと、まずは瞬歩からかな?


・瞬歩Lv2 レア度1

MPを10消費することで2メートルの範囲内どこにでも移動できる。発声なしで使用することができる。レベルが上がると範囲が広がる。

MPを消費するとレベルが上がる。


おお!移動範囲が2倍になってる!しかも無詠唱で使用できるのか。いやー、結構便利になったな。でも消費MPは変わらないんだな。


次はMP回復速度上昇か。


・MP回復速度上昇 レア度2

MPの回復速度が上昇する。レベルが上がると回復速度が速くなる。

MPを回復するとレベルが上がる。

MPを1000消費すると取得可能。


って、そのままかよ!でもこれも便利だな。でも割合ってどのくらいなんだろ?まあその辺は、おいおい検証していけばいいか。


って、のんきにこんなことしてる場合じゃないんだよ!とりあえず薬草集めを再開しなきゃ。


それからは移動しながら、薬草を見つけては取りまくっていた。まあ、ルールは守りながらだけど。


そんな感じにやっていたため、MPは今のところ切れてはいない。それと帰りの分のMPをとっておかないといけないから使いすぎるのは控えないといけない。


と思いつつ、全然自重する気はないんだけどね。なくなったら、その時考えればいいし、まあ不死だからそんな行き当たりばったりの考えになってるんだけど。


それと薬草を採取していて気付いたんだけど、一定間隔で発見できるんだよね。薬草が。不自然って思うくらいだ。まあ、そこら辺はゲームってことで、まあり考えないようにしよう。


そのおかげでもあるが、いい感じに休憩ができてMPが回復できるから、ありがたいんだけどね。


それと採取って意外と楽しいんだよね。なぜだ?他のゲームだとすごく退屈なのに。採取の仕方がリアルだからかな?いろいろ現実だと体験するのも大変だからな、特にこういうことは。そのせいかな、時間を忘れるくらい熱中して薬草探しと薬草採取をしていた。



どれくらい経ったかわからないが。


ぐぅ〜。


そんな音を聞いて僕は初めて自分のいる場所を理解した。そこは森の中であった。しかし、森に入ったばかりなのか近くで森は切れていた。


なので、森から出てきてから時間を確認してみた。そしたらやはりお昼の時間はとっくに過ぎていた。


お昼のことを考えたら急にお腹が空いてきた。なので街にすぐ帰ることにした。


それからも全て瞬歩で移動したが結局一度もMPが切れることはなかった。


それで採取している間にアイテムボックスのスキルレベルが1上がり、MP回復速度上昇のスキルレベルが1上がり、瞬歩のスキルレベルが4上がった。レベルアップの際は例の如くかなり驚いてしまった。集中していても驚いてしまった。


ギルドの中に入るとかなり賑わっていた。まだ、夜でもないのに酒盛りを始めるらしい。


まったく真昼間から何をしてるんだか。なんと言うか迷惑である。でもこれが普通なんだろうなと思うと、まあいいかと思ってしまう。


受付の方にはほとんど人は集まっていなかったので、こんどはスムーズに進んだ。


「あ、零さん、ようやく帰って来たんですか。ちょっと遅かったですね」


「ええ、採取にかなりはまってしまって、気付いたらお腹がすいてきまして」


「ほどほどにしてくださいよ。それで薬草は採れましたか?」


「はい、かなり採れました」


「ちゃんとルールは守りましたよね?」


「はい、ちゃんとそれぞれの場所で1本ずつ残しましたよ」


「それならいいんですが。それでどのくらい採ったんですか?」


「うーんと、ちょっと待ってください。…………528本ですね」


「え?」


「528本ありますね」


「どんだけ採ってるんですか?!そもそもそんなに生えていたんですか?!」


「はい生えていましたよ。まあ、気付いた時には森の中にいましたけど」


「!何やってんですか!森の方まで行っちゃダメじゃないですか!それでもし何かあったらどうするんですか!」


「え、す、すいません」


「すいませんで済むわけないでしょ!」


そう言うとクロエさんは、カウンターから出てきて。


「そこに正座しなさい」


「いや、でも」


「正座しなさい」


「は、はい」


それから約一時間説教されていた。私に心配をかけさせるなとか、如何にFランクにとって森が危ない場所かとか、今の森がかなり危険になっているだとか、等々。


なんか周りの視線が哀れんでいるようで居心地が悪かったが仕方ない。自分が撒いてしまった種なんだから。


ようやく終わり、報酬について精算するらしい。


「それでは薬草10本なんですが、528本もあるなら、他のクエストも同時に終わらせてしまいますか?」


「そんなことできるんですか?できるならしてください」


「わかりました。それでは他には……この辺りですかね」


そういうと数十枚の依頼書を出した。それもそれなりに報酬が良いものだ。


「なんか、ありがとうございます」


「いえ、またあんなことされちゃ困りますから。お金が少しでも多ければそういうのも減ると思いまして」


「ほんと、すいませんでしたぁぁぁ!」


「もう、そういうことは止めてくださいね」


「りょ、了解です」


「それでは、これらのクエストには合計で400本の薬草が必要ですので、用意をしておいてください。それではまずはこれからですね」



それから、更に約一時間後ようやく精算が終わった。合計で5千ゴールドになった。いやーほとんど収入は入らなかった。というか安すぎる。まあ、Fランクだから仕方ないといえば仕方ない。これからこれから。


「零さん、それとギルドランクが上がりました」


「え?ほんとに?」


「はい、次からはEランクです。頑張ってくださいね。ですがくれぐれも無理はしないように」


「りょ、了解です」


「それではEランクでの変更点などを説明しますね」


「よろしくお願いします」

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