第5話 初クエスト 1

学校も終わり、僕は家に帰ってきた。あ、ちなみに言うと一人で帰ってきた。結は置いてきた。まあ、一緒に帰る歳でもないしね。


家に帰って来ると、とりあえず一回ログインしようと思ったがそれほど時間がないので諦めて、手軽にできることをしながら時間潰しをして、飯を食べ、風呂に入り、そしてようやく連続して時間が取れるくらいになったのは、昨日と同じくらいの時間であった。


昨日と同じようにして、ログインをした。



ログインすると、昨日の独房のようなところにでた。


前にログアウトしたところに出るのかな?それとも自動でセーブされてそこに出るのか?


疑問は尽きないが昨日のことがあるから、掲示板も見るに見れない。見たいが見たらまた後悔しそうな予感がするんだよな。


まあ、いつまで考えても仕方ないのでとりあえず、独房から出ることに。


独房から出てギルドの方へ行き、クエストを見てみることにしたが、クエストボードみたいなものは見当たらなかった。仕方ないので、受付の方へ行くことにした。


受付は昨日一人だったのに、今日は五人もいた。しかも、それぞれの受付の前には列までできている。昨日の風景が嘘のような光景だ。


新しい受付嬢のところでは落ち着かないと思うので、昨日と同じ受付嬢のところに並んだ。


しばらくして、僕の番がまわってきた。


「本日はどのような──って零さんじゃないてわすか。本日はクエストを受けに来たんですか?」


「はい」


「三日間も何をしてたんですか?もう少し早く来てもよかったんじゃないですか?」


「え?三日?」


「?そうですよ。三日ぶりです」


え?時間の流れが違うのか?ってことはリアルでの一日はこっちでだいたい三日なのか。


「まあ、いろいろありまして」


「そこらへんは詮索しませんが。それでクエストですね。零様ができるようなクエストは、こちらですね」


・薬草の採取。

・薬草の採取。

・薬草の採取。……etc。


「って薬草の採取しかないじゃないですか!?」


「それは、零さんのステータスでは討伐系のクエストは不可能ですから」


「くっ、言い返せない」


「それに、FとEランクではほとんどが採取クエストですよ」


「それでも、薬草以外もあるのではないですか?」


「いえ、薬草が一番簡単に採取できて、一番需要がありますから。それに他の採取クエストは、危険地帯にあるものの採取ばかりなので、こうなってしまうのです」


「はあ、そうですか。それなら、どの薬草採取がおすすめですか?」


「これはどうですか?」


・薬草の採取

薬草10本の採取。


「まあ、最初はこんなもんか。はい、これでお願いします」


「わかりました。処理することはないので、もう行ってもいいですよ」


「そうですか、わかりました。それでは行ってき──あ、そういえば、薬草ってどこら辺で取れるんですか?」


「え?そんなことも知らないのですか?」


「はい、知りません」


「はあ、薬草はどこにでも生えています。それにこの街の周辺には生えているところがたくさんあります。なのですぐ見つかると思いますよ。あ、それと取りすぎにだけ注意してください。ある程度群生してるので、その群生してるところで1本だけ残してくれれば、あとは取り尽くしても大丈夫です」


「はい、わかりました。それで申し上げにくいのですが、薬草ってどんな形状をしてるのでしょうか?」


「はあ、もう何も言いません」


「ほんと、申し訳ないです」


「多分言葉では説明しにくいので、違うことをいいますね」


「え?違うことを説明する意味ってあるんですか?」


「薬草に関係あることなので問題はないはずです。それにたぶんこのこともわからないと思うので、今の内に教えておこうと思いまして。鑑定を使用することです」


「鑑定?ああ、スキル欄にあったやつですね。それを使うとわかるんですね」


「はい、そうです。持っていることは知っているんですね。なら、使い方はわかりますか?」


「えーっと、わかりません」


「やっぱりですか。使い方は、調べたいものを視認しながら鑑定と言えばできますよ」


「そうですか。ありがとうございます。それでは改めて行ってきます」


「いってらっしゃい。また、わからないことがあったら聞いてくださいね」


「了解です」


そして、僕は初めてのクエストに出発した。



言われた通り街の周辺に来ている。しかし、さっきからずっと鑑定って言い続けているがいっこうに見つかる様子がない。


それに、僕は走ることができないから更に効率も悪い。走ることができないというより、走らないようにしているって方が正しい。昨日のことがあるから、走ったら見知らぬ地に立ってそうでこわいのだ。


なので、ここらで休憩にして、何か使えそうなスキルはないか探そうと考えていたところだ。まあ、あまり期待はしてないが。まあ、とりあえず。


「ステータスオープン」


Name 零

Level 1

HP 1

MP 1,000

攻撃 0

防御 0

魔攻 0

魔防 0

俊敏 10,000,000

スキル

鑑定、瞬歩、MP上昇(超絶大)、物理系ステータス上昇(絶大)、魔法系ステータス上昇(絶大)、攻撃系ステータス上昇(絶大)、防御系ステータス上昇(絶大)、俊敏ステータス上昇(超絶大)、空間魔法、不死


こうやって改めて見るとほんとネタ振りにしか、見えないな。特に攻撃系、防御系のステータス上昇系のスキル。それ、必要あるかって思えてくるものばかりだ。というか、ステータスが0のまま上がらないのに何故付けたし、単なる嫌がらせにしか見えない。


人を期待させて置いて結局落とすとかほんと最低だと思う。


その中でよくわからないわからないスキルが何個かあった。まず、瞬歩だ。しかし、どうって詳細を見ればいいのかがわからない。


とりあえず、今まで通りにやってみる。


まずは声に出して言ってみることにした。


「瞬歩とは ?」


しかし、何も出現したりとかはしなかった。


「やっぱりこれは違うか。じゃあ、他に何がある?」


次は、視認してから強く念じてみることにした。そうすると詳細が出てきた。


・瞬歩Lv1 レア度1

MPを10消費することで1メートルの範囲内どこにでも移動できる。レベルが上がると範囲が広がる。

MPを消費するとレベルが上がる。

1万ポイントを俊敏に振り分けると取得可能。


スキルにレベルってあったんだ。それよりもスキルを見る方法がわかってよかった。


他はこれかな?


・空間魔法 レア度3

空間魔法を使えば使うほど使用できる魔法が増える。

10万ポイントを俊敏に振り分けると取得可能。

*使用できる魔法

・アイテムボックス


ん?これだけ?うーん、移動に使えそうなスキルではなかったな。まあ、そこまで期待はしてなかったし。まあ、これは後々使えるようになるでしょ。それよりアイテムボックスって、僕達そういうアイテム持ってなかったんだ。


・アイテムボックスLv1 レア度1

アイテムを収納したり、取り出したりできる。レベルが上がると収納できる量が増える。

多くのものを収納するとレベルが上がる。

空間魔法Lv1を持っていると取得可能。


おお!これは便利なものを手に入れたな。でもアイテムボックスの類が手に入らない場合はあたりだけど、そうじゃなかったら使わなくなりそうだな。まあ、今は使っておくか。あ、でも今何も持ってなかったわ。


それで、結局移動系のスキルは瞬歩しかなかったし、移動範囲も狭いからどうしようか。とりあえず使ってレベルでもあげますか。それとついでに薬草の採取もやらなくちゃ。


と、いうわけでさっそく。


「瞬歩」


そういうと少しだけ進んだ気がした。でもあまり実感がないので、目の前にある木まで瞬歩してみることにした。


「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」「瞬歩」


そうするとようやく木に辿り着いた。近くに草もあったので鑑定してみると。


「鑑定」


・薬草 レア度1

ポーションの原料。そのままでも効果はあるがポーションよりも効果は下がる。


「あ、薬草だ。いっよっしゃぁぁぁ!!何か運がいいぞ。まあ、そんなことはどうでもいい。薬草集めだ!」


その周辺には、あと5本ほどあったので、そのうち4本をとった。ここに来てさっそくアイテムボックスが役にたった。


「よっしゃ!次だ次。この調子で行ってみよう!」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る