第4話 学校にて

僕は翌日いつも通りに起きて、いつも通りに朝食を食べて、いつも通りに登校しようとしたら、母親に止められた。


「俊、あなたなんで学校に行くの?」


「なんでって母さん。今日から学校が始まるからでしょ」


「お母さんが言いたいのはそういうことじゃなくて、今日から、1週間休んでくれるって言ってじゃない。なのになんで学校に行こうとするの?」


うちの母親は本当に変わっている。僕がマジメ過ぎるから、少しは高校生らしくずる休みをしなさい、と言ってくるほどだからな。マジメなわけではないのだが、休まずに学校には行っている。それの何が悪いっていうんだよ。


「なんで母さんはいつも僕をダメにさせようとしているの?」


「だってそんなにマジメだと、友達もできないでしょ?」


「ああ、確かに少ないが、母さんには関係な──」


「関係なくはありません。お母さん、あなたに友達ができてないと思うと心配で心配で」


「それくらいこっちでなんとかしてるから、心配する必要なんてないの」


「でもボッチはつらいよ?」


「うっ、で、でもちゃんとやってるし、それに休む方が友達が減ると思うんだけど」


「それもそうか。ならちゃんと学校に行きなさい」


この手のひら返しである。なんというかよくわからん。


「はいはい、元々そのつもりですよ。それじゃあ、行ってきます」


「いってらっしゃい」



僕は、これでも高校1年だ。あ、ちなみに今日は冬休みが終わった1月6日(火)だ。


友達はあまりいないが、そこまで問題があるわけでもない。それに多過ぎるのも問題だと思っているし。


僕は、人見知りで未だにクラスで友人以外とまともに話すことすらできない。そのせいでもう話しかけてくるクラスメイトは、友人達くらいだ。まあ、それが嫌になったことはないけど。こっちの方が楽なときもあるし。


まあ、友人達は僕だけが友人ってわけでもなく、クラスメイト全員と普通に話せていたりする。それに比べて僕ダメである。


こんな話をしたのも僕の登校時間に関係がある。僕は今学校に着いた。現時刻は午前7時である。


つまり、誰もいない時間に学校に来たいのだ。今の時間なら、教室にはほとんど誰もいない。そのため挨拶なんてしなくてもなんら問題はない!これなら、人見知りの僕でも問題ないのだ。


クラスメイトが多くいる中行くと、注目を集めてしまう(本人だけしかそう思ってない)が、元々いればそこまで注目されない。だからこそ朝早くから学校にいるのだ。


朝来てすることといえば、小説を読むか、スマホをいじるかだ。勉強などしなくてもなんとかなる。今のところは。


そんなこんなで、過ごしているとだんだんと生徒が登校してきた。ポツポツとだが。その一人に僕の友人がいた。そいつは僕を見ると、驚いた顔をして近付いてきた。


「俊、なんでおまえ学校にきてんの?」


「おまえもそれを言うか」


こいつは、佐藤誠だ。うん、改めて言うとありきたりな名前だと思う。こいつは腐れ縁とかではなく、高校でできた友人だ。というか、中学のやつがほとんど来ないって理由でここを選んだし。人見知りでも友人くらいはできるのだ。それにこいつは僕と同じヲタクだ。


「誰に言われたかは知らんが、俊休み前に宣言してたじゃん。休み明けからしばらく休むって。βテスターに選ばれたって。こっちがどれだけおまえを恨んだことか。それなのに、なんでやらずに来てんの?(怒)」


「いやー、それは、いろいろあってだな」


「当たったなら、当たった人らしくちゃんとやろうよ(怒)」


「いや、ほんとすまん」


「まあ、別にいいんだけどね」


「いいのかよ」


「そこまでよくはないが、まあ何かあったんだろうし。もしかしてつまらなかった?」


「まだ全然やってないからわからん」


「じゃあ、なんで学校に来たん?」


「詰んだからな」


「詰んだ?どんな風に?」


「攻撃はできない、レベルが上がらない、リセット不可って状況」


「うわ、もしかしてバグ?」


「多分仕様。それにステータスの振り方でこうなるだけだから、バグではないと思う」


「なんとかいうか……ざまぁぁwww」


「てめ、人の不幸を笑いやがって」


「あんたたち、朝からうるさいわよ」


「ん?なんだ結か」


「なんだとは失礼ね!」


こいつは、御影結だ。なんか名前がかっこいい。名前からわかるように女だ。しかも僕の唯一の女の友人だ。と、この二人が僕の高校での唯一の友人たちだ。ちなみに僕とは幼なじみで、家も近い。なのになんで一緒に登校しないのかは、お察しの通り、僕が一方的に拒んでいるだけだ。母さんもこのことはもう諦めている。ちなみに黒髪のセミロングで背は150ちょいで眼鏡を掛けている。眼鏡を掛けている。大事なことなので二回いいました。顔つきはかわいい感じではあるが眼鏡のせいで地味になっているが、それがまたいい。だが、腐女子のためいろいろ台無しにしている。付き合いたいと思うが振られる未来しか見えないため、行動には起こさない。


ちなみに大分前からいたが、僕らの会話を見ていて妄想に浸っていたりしていた。


え?誠の特徴は?って。そんな男の描写をして誰得なん?あえて言うなら、残念イケメン。


「それにしても休み明けから、騒々しいわね。それよりなんで、俊が学校に来てるの?」


「おまえもそれを言うか!今日で何回目だ!」


「ん?三回目だろ?」


「いや、そこはリアルに言わなくても」


「ふーん、私で三回目なんだ。それよりなんでよ」


「カクカクシカジカなんだよ」


「ふーん、そうなんだ。って、そんなことが通じるのは物語の中だけよ!」


「あれ、理解してない?」


「当たり前でしょうが!」


「まあ、簡単に言っちゃうと、詰んだから、することがなくなったからかな」


「なんで詰んだのよ」


「ステータスの振り方を間違えた。そのせいで攻撃不可、レベルアップ不可、リセット不可って状況になった。というか、話についてこれてるの?」


「VRMMOのβテストの話でしょ?」


「そうだけど。よくわかったな」


「そりゃ、私もやってみたかったし」


「え、そうだったの?なら貸そうか?」


「え?いいの?!」


「いや、貸さんけど」


「この鬼畜男!」


「ははは、まったく俊と結ちゃんはほんと面白いね」


「面白くないわよ!」


「そうだ、そうだ」


「はははははっ」


そんな感じで1日が過ぎていく。僕は人見知りってだけで結構話すのだ。


それより、結大丈夫かな?あんなに叫んで。


「そうだ、俊」


「ん?なんだ?」


「今日、帰ったらやるのか?」


「やるよ。あるんだから一応ね。でもそこまで真剣にはやらないかな?」


「そうなんだ。まあ、頑張ってよ」


「俺たちも買えたらやるからさ、それまでには強くなっていてよ」


「そうだよ、先駆者としてちゃんと教えなさいよ」


「ぜ、善処します」












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